大腸がん
- 大腸がんは大腸・直腸に発生する悪性腫瘍で、日本人のがん罹患数第1位(年間約15万人が新規診断)
- DNA領域rs1128503のG型変異を持つ人は大腸がんリスクが高い傾向にあることがオタワ大学の研究で判明
- 早期発見時の5年生存率は90%以上であり、40歳以上は年1回の便潜血検査が推奨されている
概要 大腸がんは、大腸や直腸で発症するがんの一種で、消化や食物の処理を担う消化管の一部です。典型的には大腸直腸領域の細胞が異常に成長して悪性腫瘍を形成します。 最初は非がん性の細胞塊であるポリープとして始まり、時が経つにつれて一部ががん化することがあります。 症状は様々ですが、持続的な下痢や便秘、腹部不快感、直腸出血や便中の血、体重減少、衰弱、疲労感などが一般的です。 これらは他の状態でも見られるため、正確な診断のためには医療専門家の診察が必要です。 大腸がんのリスク要因には、家族歴、ポリープの過去、炎症性腸疾患、遺伝的病気、生活習慣(食事、喫煙、運動不足)、高齢などが含まれます。 診断には血液検査と内視鏡検査が一般的で、異常な組織を生体検査してがんかどうかを確認します。 早期発見のためのスクリーニングが重要で、治療はがんの段階によって手術から化学療法や放射線治療に至る幅広い範囲があります。 オタワ大学のMontazeriらの研究により、大腸がんの罹患リスクがrs1128503というDNA領域と関連していることが明らかになりました。 このDNA領域にはAA、AG、GGの3つの遺伝子型があり、Gを持つ遺伝子型の人は、大腸がんのリスクが高い傾向にあることが分かりました。
大腸がんとは何か
大腸がんとは、大腸(結腸)や直腸の粘膜に発生する悪性腫瘍です。日本人のがん罹患数第1位であり、年間約15万人が新たに診断されます。初期段階ではポリープ(非がん性の細胞塊)として始まり、時間の経過とともに一部ががん化します。
大腸がんの主な症状
大腸がんは初期には自覚症状が乏しいですが、進行すると以下の症状が現れます。
- 血便・下血:便に血液が混じる、または直腸からの出血
- 便通異常:持続的な下痢・便秘、または交互に繰り返す
- 腹部症状:腹痛・腹部膨満感・腹部不快感
- 全身症状:原因不明の体重減少、持続的な疲労感・倦怠感
大腸がんのリスク要因
大腸がんの発症リスクを高める要因は以下のとおりです。
| カテゴリ | リスク要因 | 詳細 |
|---|---|---|
| 遺伝的要因 | 家族歴・遺伝子変異 | 第一度近親者に大腸がん患者がいる場合リスクは約2〜3倍 |
| 既往歴 | 大腸ポリープ・炎症性腸疾患 | 潰瘍性大腸炎・クローン病の患者はリスクが上昇 |
| 生活習慣 | 食事・喫煙・飲酒 | 高脂肪・低繊維食、加工肉摂取、喫煙・過度な飲酒 |
| 身体的要因 | 運動不足・肥満・高齢 | 50歳以上で発症率が顕著に上昇 |
大腸がんの検査と早期発見の重要性
大腸がんは早期発見により5年生存率が90%以上に達します。以下の検査が有効です。
- 便潜血検査(FOBT):40歳以上に年1回推奨。便中の微量出血を検出する非侵襲的な検査
- 大腸内視鏡検査:便潜血陽性時の精密検査。ポリープの発見・切除も同時に行える
- CT検査・血液検査:腫瘍マーカー(CEA・CA19-9)の測定やCTコロノグラフィー
大腸がんの治療法
治療法はがんの進行度(ステージ)により異なります。
- ステージ0〜I:内視鏡的切除または外科手術。5年生存率は約95%以上
- ステージII〜III:外科手術+補助化学療法。リンパ節転移の有無で治療方針が変わる
- ステージIV:化学療法・分子標的治療・放射線治療を組み合わせた集学的治療
遺伝子と大腸がんの関連
DNA領域rs1128503と大腸がんの関係
オタワ大学のMontazeriらの研究により、大腸がんの罹患リスクがDNA領域rs1128503と関連していることが明らかになりました。
- rs1128503にはAA・AG・GGの3つの遺伝子型が存在
- G型変異を持つ遺伝子型(AG型・GG型)の人は大腸がんリスクが高い傾向
DNA領域rs751402と大腸がんの関係
Hanらの研究により、DNA領域rs751402も大腸がんとの関連が報告されています。rs751402にはAA・AG・GGの3つの遺伝子型があり、DNA修復遺伝子ERCC5(XPG)に位置しています。
日本人と世界における遺伝子型分布の比較(rs1128503)
| 遺伝子型 | 日本人の割合 | 世界の割合 |
|---|---|---|
| AA型 | 36.1% | 17.8% |
| AG型 | 47.9% | 48.8% |
| GG型 | 15.9% | 33.3% |
日本人と世界における遺伝子型分布の比較(rs751402)
| 遺伝子型 | 日本人の割合 | 世界の割合 |
|---|---|---|
| AA型 | 14.0% | 4.0% |
| AG型 | 46.8% | 32.0% |
| GG型 | 39.0% | 63.9% |
日本人のG型変異保有率(AG+GG)はrs1128503で63.8%であり、世界平均の82.1%と比較して低い割合です。一方、rs751402ではAA型比率が日本人14.0%に対し世界4.0%と、日本人のAA型保有率が約3.5倍高い特徴があります。
検査の理論的根拠
体表的なDNA領域:大腸がん
大腸がん に最も強く影響する遺伝子領域は、rs1128503です。 日本における同型の遺伝子タイプの分布は下記のとおりです。
- AA
36.1 % - AG
47.9 % - GG
15.9 %
他に、大腸がんに関わる遺伝子領域はrs751402があります。 日本における同型の遺伝子タイプの分布は下記のとおりです
- AA
14.0 % - AG
46.8 % - GG
39.0 %
検査の根拠
オタワ大学のMontazeriらの研究により、大腸がんの罹患リスクが遺伝子と関連していることが明らかになりました。人間のゲノムには、rs1128503という領域が存在し、その領域の遺伝子にはAとGの2種類の変異があります。Aタイプの変異を持つ人は、大腸がんのリスクが高い傾向にあることが分かりました。
今回調査したDNA領域
細胞中に存在するDNAマップの模式図
- ■
- ■
- ■
- ■
- ■
- ■
- ■
- ■
- ■
関連遺伝子
| 関連遺伝子 | ABCB1 |
|---|---|
| 関連遺伝子 | ERCC5 |
よくある質問(FAQ)
Q1. 大腸がんとは何ですか?
大腸がんとは、大腸(結腸)や直腸の粘膜に発生する悪性腫瘍です。日本人のがん罹患数第1位であり、年間約15万人が新たに診断されます。初期はポリープとして始まり、時間の経過とともに一部ががん化します。血便・便通異常・腹痛・体重減少などが主な症状ですが、初期は自覚症状が乏しいため定期検査が重要です。
Q2. 大腸がんと遺伝子は関連していますか?
はい。オタワ大学のMontazeriらの研究により、DNA領域rs1128503が大腸がんの罹患リスクと関連していることが判明しています。rs1128503にはAA・AG・GGの3つの遺伝子型があり、G型変異を持つ遺伝子型の人はリスクが高い傾向にあります。さらにrs751402(ERCC5遺伝子領域)も大腸がんとの関連が報告されています。
Q3. 大腸がんのリスク要因は何ですか?
大腸がんのリスク要因は遺伝的要因と環境的要因の両方が関与します。家族歴(第一度近親者にがん患者がいる場合リスク約2〜3倍)、大腸ポリープの既往、炎症性腸疾患、高脂肪・低繊維の食事、喫煙、過度な飲酒、運動不足、肥満、50歳以上の年齢が主なリスク要因です。
Q4. 大腸がん関連遺伝子型(rs1128503)の日本人における分布は?
日本人におけるrs1128503の遺伝子型分布はAA型36.1%、AG型47.9%、GG型15.9%です。世界全体ではAA型17.8%、AG型48.8%、GG型33.3%であり、日本人はAA型の割合が世界平均の約2倍高い特徴があります。
Q5. 大腸がんの早期発見にはどのような検査がありますか?
便潜血検査(FOBT)と大腸内視鏡検査が有効です。40歳以上は年1回の便潜血検査が推奨されており、陽性の場合は大腸内視鏡検査で精密検査を行います。早期発見時(ステージI)の5年生存率は95%以上であり、定期的なスクリーニングが生存率向上の鍵となります。
参考文献
- 参考リンク1 : 2020 Aug., Zahra Montazeri, Gut
- 参考リンク2 : 2017 Aug., Cuihong Han, Medicine (Baltimore)