seeDNAロゴアイコン メラノーマ(悪性黒色腫)

概要

1. 概要

メラノーマは、皮膚がんの一種であり、黒色腫とも呼ばれます。
この病気は「ほくろ」と非常に似ており、皮膚の色素であるメラニンを作る細胞ががんになってしまうことが原因です。
メラノーマの発症頻度は、全皮膚がんのわずか4%に過ぎませんが、この病気による死亡の80%はメラノーマによるものだと言われています。
メラノーマは、主に「悪性黒子型」「表在拡大型」「肢端黒子型」「結節型」の4つに分類され、それぞれの発症頻度や好発部位は人種によって異なります。
白人に多い「表在拡大型」は、顔や体幹の露出部位に発症することが多く、日光紫外線や遺伝子変異が深く関係しているとされています。
日本人に多い「肢端黒子型」は、足裏などの紫外線に当たらない部位での発症が多く、外傷や皮膚への摩擦ががんの原因の一つとされています。(参考リンク1)
まだ明らかになっていないことも多く、メラノーマの発症メカニズムについては今も研究が続けられています。
しかしながら、最近の研究報告によると、遺伝子「MX2」がメラノーマの発症リスクにある程度影響を与えていることが明らかになりました。(参考リンク2)

2. 理論的根拠

アメリカのスタンフォード大学を含む研究により、特定の遺伝子「MX2」の型が、メラノーマのリスクを高めることが分かりました。
「MX2」のDNA領域には、「rs45430」という名前の領域があり、「TT型」「CT型」「CC型」という3つの遺伝子型が存在します。
Risk AlleleであるTを持つほどメラノーマの発症リスクが高くなるため、「TT型」は発症リスクが高く、「CT型」はやや高い傾向があります。
日本人の遺伝子型は、「TT型」が71.6%と最も多く、次いで「CT型」が26.0%、「CC型」が2.4%と最も少なく、「TT・CT型」が約97.6%を占めます。
世界的には、「TT型」が24.6%、「CT型」が50.0%(最も多い)、「CC型」が25.4%(最も少ない)で、「TT・CT型」が約75.4%を占めます。(参考リンク3)
つまり、日本人はメラノーマの発症リスクが高い遺伝的多型を持つ人種であると言えます。
メラノーマは進行が非常に速く、日本では患者の約4分の1にリンパ節転移が見られることが知られています。(参考リンク4)
また、メラノーマは前述の通り「ほくろ」に似ており、見過ごされることが多いため、早期発見が非常に重要です。
遺伝子検査により、メラノーマの遺伝的傾向を事前に知っておくことで、早期発見・治療に役立つことが期待されます。

3. 作用機序

「MX2」という遺伝子は、21番染色体に位置する24の染色体のうちの1つで、メラノーマの発症に関与している可能性がある遺伝子です。
この遺伝子は、がん細胞の増殖を抑え、メラノーマの進行を遅らせる働きがあることが分かっています。
また、人の細胞が分裂する際に、周期の「G1期」と「S期」と呼ばれる期間を延ばすことで、細胞の分裂を遅くするとも報告されています。(参考リンク5)
DNA領域「rs45430」の遺伝子多型により、遺伝子「MX2」タンパク質の動きに違いが生じ、メラノーマの発症に関連している可能性があることが考えられます。
このように、「MX2」遺伝子のDNA領域「rs45430」は、メラノーマの発症リスクに関係している注目すべき一塩基多型の1つです。

遺伝子領域rs45430において日本で各遺伝タイプを持つ人の割合

4.47% 33.36% 62.17%
  • CC4.47%
  • CT33.36%
  • TT62.17%

遺伝子領域rs45430において世界で各遺伝タイプを持つ人の割合

16.54% 48.26% 35.21%
  • CC16.54%
  • CT48.26%
  • TT35.21%

遺伝子領域rs2853667において日本で各遺伝タイプを持つ人の割合

77.41% 21.15% 1.44%
  • AA77.41%
  • AG21.15%
  • GG1.44%

遺伝子領域rs2853667において世界で各遺伝タイプを持つ人の割合

31.68% 49.21% 19.11%
  • AA31.68%
  • AG49.21%
  • GG19.11%

seeDNAロゴアイコン検査の理論的根拠

体表的なDNA領域:メラノーマ(悪性黒色腫)

体表的なDNA領域:メラノーマ(悪性黒色腫)

メラノーマ(悪性黒色腫) に最も強く影響する遺伝子領域は、rs45430です。 日本における同型の遺伝子タイプの分布は下記のとおりです。

  • CC

    4.5
    %
  • CT

    33.4
    %
  • TT

    62.2
    %

他に、メラノーマ(悪性黒色腫)に関わる遺伝子領域はrs2853667があります。 日本における同型の遺伝子タイプの分布は下記のとおりです

  • AA

    77.4
    %
  • AG

    21.1
    %
  • GG

    1.4
    %

検査の根拠

seeDNAロゴアイコン今回調査したDNA領域

細胞中に存在するDNAマップの模式図

seeDNAロゴアイコン関連遺伝子

関連遺伝子 MX2
関連遺伝子 TERT

seeDNAロゴアイコン参考文献

  • 関連遺伝子 MX2
  • 参考リンク : 2017 Mar、Katherine J Ransohoffと研究グループがOncotarget に発表したTwo-stage genome-wide association study identifies a novel susceptibility locus associated with melanomaという研究によるとメラノーマ(悪性黒色腫) に関連するrs45430の関連性が認められました。
  • 関連遺伝子 TERT
  • 参考リンク : 2020 May、Maria Teresa Landiと研究グループがNat Genet に発表したGenome-wide association meta-analyses combining multiple risk phenotypes provide insights into the genetic architecture of cutaneous melanoma susceptibilityという研究によるとメラノーマ(悪性黒色腫) に関連するrs2853667の関連性が認められました。
  • 関連遺伝子 MX2
  • 参考リンク : 2011 Oct、Jennifer H Barrettと研究グループがNat Genet に発表したGenome-wide association study identifies three new melanoma susceptibility lociという研究によるとメラノーマ(悪性黒色腫) に関連するrs45430の関連性が認められました。