虫歯
概要
1. 概要
虫歯になったことはありませんか?
20歳以上の日本人の約9割が虫歯になったことがあると言われています。それは、甘いものの食べ過ぎだけでなく、歯磨きや歯のケアが不十分なことも原因とされています。
しかし、遺伝的要因(体質)も虫歯のなりやすさに関わっていると言わ>ています(参考リンク1)。
自分が虫歯になりやすい体質なのかどうか、遺伝子検査を利用して調べてみませんか?
2. 理論的根拠
虫歯は「う蝕(うしょく)」とも呼ばれ、ミュータンス菌などが作り出した酸によって歯が溶かされる病気です。酸によって歯が溶かされることを脱灰と呼び、進行すると歯に痛みが出ます。
この原因遺伝子の一つとして見つかったのが、16番染色体に存在する遺伝子「FOXL1」であり、この遺伝子に属する様々なDNA領域の一つが「rs10048146」です。
このDNA領域は、GWASのメタ解析で、歯の表面の「う蝕」に関連して多型のあるDNA領域として発見されました(参考リンク2)。
「rs10048146」には、「AA型」、「AG型」、「GG型」の3つの遺伝子型があります。 日本人の遺伝子タイプは、「AA型」49.95%、「AG型」41.45%、「GG型」8.60%となっています。(参考リンク3)
DNA領域「rs10048146」が、Gを含む「AG型」や「GG型」のタイプだと、歯の形成が不十分になり、正常な場合に比べると歯がもろく、虫歯になりやすい可能性があるとされています。
特に「GG型」だと、虫歯の進行がより速くなるので、歯に穴が空きやすく、痛みを感じやすくなるとされています(参考リンク4)。
3. 作用機序
歯は表面にエナメル質があり、その内側に象牙質が存在し、さらに内側は歯根と呼ばれる神経などがある領域があります。
虫歯菌(ミュータンス菌など)は、糖質を栄養源にして酸を作り出すことで、歯を溶かし、歯の表面から内側に侵入していきます。
虫歯菌が象牙質に到達すると、多くの場合、歯に痛みを感じるようになります。
遺伝子「FOXL1」は、歯の形成に重要な役割を果たしており、歯の形成過程の初期段階において、象牙質の形成と歯根の発達に関わるとされています(参考リンク4、5)。
DNA領域「rs10048146」が、「AG型」や「GG型」となると、歯根を守るための象牙質の形成が不十分となり、「AA型」に比べ歯がもろく、虫歯になりやすくなる傾向があります。
また、歯根の発達も不十分となるため、歯が折れやすくも、抜けやすくもなる可能性があります。
歯は再生ができないため、現在の歯を大切にすることが必要となります。甘いものの摂り過ぎに注意し、歯磨きなどの適切なケアを行うことは重要です。
遺伝子領域rs10048146において日本で各遺伝タイプを持つ人の割合
- AA49.95%
- AG41.45%
- GG8.60%
遺伝子領域rs10048146において世界で各遺伝タイプを持つ人の割合
- AA67.26%
- AG29.50%
- GG3.24%
検査の理論的根拠
体表的なDNA領域:虫歯
体表的なDNA領域:虫歯
虫歯 に最も強く影響する遺伝子領域は、rs10048146です。 日本における同型の遺伝子タイプの分布は下記のとおりです。
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AA
49.9% -
AG
41.5% -
GG
8.6%
検査の根拠
今回調査したDNA領域
細胞中に存在するDNAマップの模式図
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関連遺伝子
| 関連遺伝子 | FOXL1 |
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参考文献
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関連遺伝子 FOXL1
- 参考リンク : 2019 Jun、Dmitry Shunginと研究グループがNat Commun に発表したGenome-wide analysis of dental caries and periodontitis combining clinical and self-reported dataという研究によると虫歯 に関連するrs10048146の関連性が認められました。