糖尿病
- 糖尿病はインスリンが十分に出ない・効きにくいことで、血糖値が高い状態が続く病気で、空腹時血糖値126 mg/dL以上、またはグリコヘモグロビン6.5%以上で診断されます。
- DNA領域rs1260326のCタイプを持つ人は糖尿病になるリスクが高い傾向があることが、エクセター大学の研究で分かりました。
- きちんと治療しないと心臓病・神経の障害・腎不全・目の障害などの重い合併症が起こります。
概要
【疾患の概要】 糖尿病かどうかを調べるには、空腹時の血糖値と、グリコヘモグロビン(血液中の糖がたんぱく質にくっついた割合)の検査が大切です。
【症状と特徴】 空腹時の血糖値は、8時間以上何も食べていない状態で測った血糖値です。 この検査で2回続けて126 mg/dL(7.0 mmol/L)以上の値が出ると、糖尿病が疑われます。 グリコヘモグロビンの検査では、過去2〜3ヶ月間の平均的な血糖値が分かるため、長い期間の状態を確かめることができます。
【治療と注意点】 この検査結果は、血液中のヘモグロビン(赤血球の中のたんぱく質)に糖がくっついた割合をパーセントで示したもので、2回続けて6.5%以上の値が出ると、糖尿病と診断されます。 これらの検査は、糖尿病の診断にとってとても大切です。 糖尿病をきちんと治療しないと、心臓病、神経の障害、腎臓の働きの低下(腎不全)、目の障害など、多くの合併症が起こります。
【遺伝的リスク】 エクセター大学のJi Chenらの研究で、糖尿病になるリスクがrs1260326というDNA領域と関係していることが分かりました。 このDNA領域にはTT、TC、CCの3つの遺伝子型があり、Cを持つ遺伝子型の人は、糖尿病のリスクが高い傾向にあることが分かりました。
糖尿病とは何か
糖尿病は、インスリン(血糖値を下げるホルモン)が十分に出なかったり、効きにくくなったりして、血液中の糖(ブドウ糖)の量が高い状態が続く病気です。世界保健機関によると、世界の糖尿病の患者数は約4億2,200万人にのぼります。
糖尿病の診断基準とは
糖尿病の診断には、主に次の2つの検査値が使われます。
- 空腹時血糖値:8時間以上何も食べていない状態で血糖値を測り、2回続けて126 mg/dL(7.0 mmol/L)以上の場合、糖尿病が疑われます。
- グリコヘモグロビン:過去2〜3ヶ月間の平均的な血糖値が分かり、2回続けて6.5%以上の場合、糖尿病と診断されます。
糖尿病の原因とメカニズム
糖尿病は、次のような原因がいくつも重なって起こります。
- インスリンが足りない:すい臓のβ細胞(インスリンを作る細胞)が作るインスリンの量が減ります。
- インスリンが効きにくい:体の細胞がインスリンに反応しにくくなります。
- 遺伝子の影響:DNA領域rs1260326など、いくつものDNA領域がなりやすさに関わります。
- 生活習慣:肥満、運動不足、かたよった食生活
糖尿病の主な合併症
糖尿病をきちんと治療しないと、次のような合併症が起こる可能性があります。
| 合併症 | 影響を受ける体の部分 | 主な症状 |
|---|---|---|
| 心臓病 | 心臓・血管 | 心筋梗塞・動脈硬化(血管がかたくなる) |
| 糖尿病性神経障害 | 末梢神経 | 手足のしびれ・痛み |
| 糖尿病性腎症 | 腎臓 | 腎臓の働きの低下・腎不全 |
| 糖尿病性網膜症 | 眼 | 視力が落ちる・失明のおそれ |
糖尿病の診断基準の比較
| 検査項目 | 正常値 | 糖尿病型 | 測り方 |
|---|---|---|---|
| 空腹時血糖値 | 110 mg/dL未満 | 126 mg/dL以上 | 8時間以上何も食べずに測定 |
| グリコヘモグロビン | 5.6%未満 | 6.5%以上 | 過去2〜3ヶ月の平均 |
糖尿病を予防するための生活習慣
糖尿病を防いだり、悪化をおさえたりするには、次のような生活習慣の見直しが効果的です。
- 適正体重を保つ:体格指数(体重と身長から計算する肥満の目安)18.5〜24.9を目指します。
- 定期的な運動:週150分以上のほどよい有酸素運動(ウォーキングなど)
- 食事管理:食物繊維を多くとり、砂糖や白いパンなどの精製された糖質をひかえます。
- 定期検査:年1回以上、血糖値とグリコヘモグロビンの検査を受けます。
遺伝子と糖尿病の関連
DNA領域rs1260326と糖尿病になるリスクの関係
エクセター大学のJi Chenらの研究(1)で、DNA領域rs1260326が糖尿病になるリスクと関係していることが分かりました。
- rs1260326にはTT・TC・CCの3つの遺伝子型があります。
- Cタイプを持つ遺伝子型の人は、糖尿病のリスクが高い傾向があります。
日本人の遺伝子型の割合(rs1260326)
| 遺伝子型 | 日本人の割合 | 世界の割合 |
|---|---|---|
| TT型 | 33.8% | 16.7% |
| TC型 | 48.6% | 48.3% |
| CC型 | 17.4% | 34.8% |
DNA領域rs174570と糖尿病リスク
糖尿病に関わるもう1つの大切なDNA領域はrs174570です。
日本人の遺伝子型の割合(rs174570)
| 遺伝子型 | 日本人の割合 | 世界の割合 |
|---|---|---|
| CC型 | 44.6% | 75.0% |
| CT型 | 44.3% | 23.1% |
| TT型 | 11.0% | 1.7% |
検査の理論的な根拠
代表的なDNA領域:糖尿病
糖尿病に最も強く影響するDNA領域は、rs1260326です。 日本での各遺伝子型の人の割合は下のとおりです。
- TT
33.8 % - TC
48.6 % - CC
17.4 %
ほかに、糖尿病に関わるDNA領域としてrs174570があります。 日本での各遺伝子型の人の割合は下のとおりです。
- CC
44.6 % - CT
44.3 % - TT
11.0 %
検査の根拠
エクセター大学のJi Chenらの研究で、糖尿病になるリスクが遺伝子と関係していることが分かりました。人間のDNAにはrs1260326という場所があり、そこにはTとCの2種類のタイプがあります。Tタイプを持つ人は、糖尿病のリスクが高い傾向にあることが分かりました。
今回調査したDNA領域
細胞の中にあるDNAの地図のイメージ図
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関連遺伝子
| 関連遺伝子 | GCKR |
|---|---|
| 関連遺伝子 | FADS2 |
よくある質問
Q1. 糖尿病とは何ですか?
糖尿病は、インスリン(血糖値を下げるホルモン)が十分に出なかったり、効きにくくなったりして、血液中の糖(ブドウ糖)の量が高い状態が続く病気です。空腹時血糖値126 mg/dL以上、またはグリコヘモグロビン 6.5%以上が2回続けて確認されると診断されます(1)。
Q2. 糖尿病の診断基準は何ですか?
糖尿病の診断には主に空腹時血糖値とグリコヘモグロビン(過去2〜3ヶ月の血糖の平均を表す値)が使われます。空腹時血糖値が126 mg/dL(7.0 mmol/L)以上、またはグリコヘモグロビンが6.5%以上の場合、2回続けて確認されると糖尿病と診断されます。
Q3. 糖尿病と遺伝子の関係は?
エクセター大学のJi Chenらの研究で、DNA領域rs1260326が糖尿病になるリスクと関係していることが分かっています。Cタイプを持つ遺伝子型の人はリスクが高い傾向にあります(1)。
Q4. 糖尿病の主な合併症は何ですか?
糖尿病をきちんと治療しないと、心臓病、糖尿病性神経障害(神経の障害)、糖尿病性腎症(腎不全)、糖尿病性網膜症(目の障害)などの重い合併症が起こる可能性があります。
Q5. 糖尿病は予防できますか?
糖尿病の予防には、適正体重を保つこと、週150分以上のほどよい運動、バランスの良い食事、定期的な血糖値の検査が効果的です。遺伝子の影響でリスクが高い場合は、早いうちから生活習慣を見直すことがすすめられます。
参考文献
- 参考リンク1 : 2021 Jun., Ji Chen, Nat Genet
- 参考リンク2 : 2014 Jul., Peng Chen, Diabetes