拡張型心筋症
- 拡張型心筋症(DCM)は心室が拡張しポンプ機能が低下する疾患で、心不全の主要な原因の一つ
- DNA領域rs2303510のG型変異を持つ人は発症リスクが高い傾向にあることが研究で判明
- 治療には薬物療法・生活習慣改善・デバイス治療があり、重症例では心臓移植が必要となる場合がある
概要 拡張型心筋症は、心臓の筋肉が弱くなり、心室が拡張して血液を十分に送り出せなくなる疾患です。この病気は、心臓のポンプ機能が低下し、全身に必要な血液を供給する能力が減少するため、心不全を引き起こします。 原因は、遺伝的要因、ウイルス感染、アルコールや薬物の乱用、特定の薬物の副作用、栄養不良、自己免疫疾患、妊娠中の合併症などが挙げられますが、明確な原因が特定できない場合もあります。 この病気は、疲労感、息切れ、動悸、胸痛、足や腹部のむくみ、夜間の呼吸困難などの症状を示します。進行すると症状が悪化し、日常生活に支障をきたします。 診断には、病歴や身体診察、心電図、心臓超音波検査(エコー)、胸部X線、MRI、心臓カテーテル検査などが行われます。 治療は、症状の緩和と病気の進行を遅らせることを目指します。薬物療法として、心不全の管理のために利尿剤、ACE阻害薬、ベータ遮断薬、デジタリスなどが用いられます。 生活習慣の改善として、塩分摂取の制限、適度な運動、禁煙、アルコールの制限が推奨されます。 治療は投薬(ACE阻害剤、ベータ遮断薬、利尿剤など)、生活習慣の変更(塩分制限や運動、禁酒、禁煙)などが行われます。 重症例な場合は、植え込み型除細動器(ICD)の装着や心臓再同期療法(CRT)などのデバイス治療、最終的には心臓移植が必要になることもあります。 モントリオール大学のRafik Tadrosらの研究により、拡張型心筋症の罹患リスクがrs2303510というDNA領域と関連していることが明らかになりました。 このDNA領域にはGG、GA、AAの3つの遺伝子型があり、Gを持つ遺伝子型の人は、拡張型心筋症のリスクが高い傾向にあることが分かりました。
拡張型心筋症とは何か
拡張型心筋症(DCM:Dilated Cardiomyopathy)は、心臓の筋肉が弱くなり心室が拡張することで、血液を十分に送り出せなくなる疾患です。心臓のポンプ機能が低下し、全身への血液供給能力が減少するため、心不全を引き起こします。
拡張型心筋症の原因とメカニズム
拡張型心筋症の原因は以下の通りです。全体の約30〜50%に遺伝的要因が関与するとされています。
- 遺伝的要因:家族歴のある場合、発症リスクが上昇
- ウイルス感染:心筋炎を引き起こすウイルス(コクサッキーウイルスなど)
- アルコール・薬物の乱用:長期的な過剰摂取が心筋を障害
- 自己免疫疾患:免疫系の異常による心筋の攻撃
- 妊娠中の合併症:周産期心筋症
- 栄養不良:ビタミンB1欠乏やセレン欠乏
原因が特定できない場合は「特発性拡張型心筋症」と診断されます。
拡張型心筋症の主な症状
症状は徐々に進行し、初期段階では自覚症状がない場合があります。
- 疲労感・倦怠感
- 息切れ(特に運動時・就寝時)
- 動悸・不整脈
- 胸痛
- 足・腹部のむくみ(浮腫)
- 夜間の呼吸困難(起座呼吸)
拡張型心筋症と肥大型心筋症の違い
| 比較項目 | 拡張型心筋症 | 肥大型心筋症 |
|---|---|---|
| 病態 | 心室拡張・壁の菲薄化 | 心室壁の異常肥厚 |
| ポンプ機能 | 収縮機能低下(駆出率低下) | 拡張機能障害 |
| 遺伝性 | 約30〜50% | 約60〜70% |
| 主な症状 | 息切れ・疲労・浮腫 | 息切れ・胸痛・失神 |
| 突然死リスク | あり(不整脈由来) | あり(流出路閉塞由来) |
診断方法
以下の検査により診断されます。
- 病歴聴取・身体診察
- 心電図(ECG)
- 心臓超音波検査(エコー):心室拡張と駆出率の低下を確認
- 胸部X線検査
- 心臓MRI検査
- 心臓カテーテル検査
治療法と予防
治療は症状の緩和と病気の進行を遅延させることを目的とします。
- 薬物療法:ACE阻害薬、ベータ遮断薬、利尿剤、デジタリス
- 生活習慣の改善:塩分制限、適度な運動、禁煙、アルコール制限
- デバイス治療:植え込み型除細動器(ICD)、心臓再同期療法(CRT)
- 心臓移植:重症例で他の治療が無効な場合の最終手段
遺伝子と拡張型心筋症の関連
DNA領域rs2303510と発症リスクの関係
モントリオール大学のRafik Tadrosらの研究により、DNA領域rs2303510が拡張型心筋症の罹患リスクと関連していることが判明しました。
- rs2303510にはGG・GA・AAの3つの遺伝子型が存在
- G型変異を持つ遺伝子型の人は、拡張型心筋症のリスクが高い傾向
日本人における遺伝子型分布(rs2303510)
| 遺伝子型 | 日本人の割合 | 世界の割合 |
|---|---|---|
| GG型 | 41.5% | 46.1% |
| GA型 | 45.8% | 43.5% |
| AA型 | 12.6% | 10.2% |
検査の理論的根拠
体表的なDNA領域:拡張型心筋症
拡張型心筋症 に最も強く影響する遺伝子領域は、rs2303510です。 日本における同型の遺伝子タイプの分布は下記のとおりです。
- GG
41.5 % - GA
45.8 % - AA
12.6 %
検査の根拠
モントリオール大学のRafik Tadrosらの研究により、拡張型心筋症の罹患リスクが遺伝子と関連していることが明らかになりました。人間のゲノムには、rs2303510という領域が存在し、その領域の遺伝子にはGとAの2種類の変異があります。G型変異を持つ人は、拡張型心筋症のリスクが高い傾向にあることが分かりました。
今回調査したDNA領域
細胞中に存在するDNAマップの模式図
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関連遺伝子
| 関連遺伝子 | FHOD3 |
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よくある質問(FAQ)
Q1. 拡張型心筋症とは何ですか?
拡張型心筋症(DCM)は、心臓の筋肉が弱くなり心室が拡張することで、血液を十分に送り出せなくなる疾患です。心不全の主要な原因の一つであり、遺伝的要因・ウイルス感染・アルコール乱用などが原因として挙げられます。
Q2. 拡張型心筋症の原因は何ですか?
主な原因は遺伝的要因、ウイルス感染、アルコールや薬物の乱用、自己免疫疾患などです。全体の約30〜50%に遺伝的要因が関与し、DNA領域rs2303510のG型変異保有者はリスクが高い傾向にあります。
Q3. 拡張型心筋症と肥大型心筋症の違いは?
拡張型心筋症は心室が拡張し壁が薄くなることでポンプ機能が低下します。肥大型心筋症は心室壁が異常に肥厚し血液の流出が妨げられます。両者とも遺伝的要因が関与しますが、病態メカニズムが異なります。
Q4. 遺伝子検査で拡張型心筋症のリスクは分かりますか?
DNA領域rs2303510の遺伝子型を調べることで、拡張型心筋症の発症リスク傾向を把握できます。G型変異を持つ遺伝子型の人はリスクが高い傾向にあることがモントリオール大学の研究で判明しています。
参考文献
- 参考リンク1 : 2021 Feb., Rafik Tadros, Nat Genet