β遮断薬の効果(血圧降下作用)の良さ
概要
ベータ遮断薬は、心臓や血管に働きかけ、主に血圧を下げる効果があります。これは、ベータアドレナリン受容体と呼ばれる部位に作用し、エピネフリン(アドレナリン)の働きを阻害します。
このことから、心拍数の低下や心臓の収縮力を弱め、血圧が低下します。また、ベータ遮断薬は、腎臓からレニン(血圧上昇につながる物質)の分泌を減らすことで、血圧上昇を抑制します。
高血圧を抱える人がベータ遮断薬を服用すると、血圧が下がります。そのため、脈拍数の低下や高血圧に関連する症状が軽減されます。
ただし、投与量や薬の種類、初期の血圧レベル、心臓血管の健康状態などに影響を受けるため、個人によって投薬の効果は異なります。
フロリダ大学のShahinらの研究により、β遮断薬の効果(血圧降下作用)がrs1042713というDNA領域と関連していることが明らかになりました。
このDNA領域にはGG、GA、AAの3つの遺伝子型があり、Gを持つ遺伝子型の人は、β遮断薬の効果が高い傾向にあることが分かりました。
遺伝子領域rs1042713において日本で各遺伝タイプを持つ人の割合
- GG31.10%
- GA49.33%
- AA19.56%
遺伝子領域rs1042713において世界で各遺伝タイプを持つ人の割合
- GG37.45%
- GA47.49%
- AA15.05%
遺伝子領域rs2200733において日本で各遺伝タイプを持つ人の割合
- CC27.97%
- CT49.83%
- TT22.20%
遺伝子領域rs2200733において世界で各遺伝タイプを持つ人の割合
- CC72.68%
- CT25.15%
- TT2.18%
検査の理論的根拠
体表的なDNA領域:β遮断薬の効果(血圧降下作用)の良さ
体表的なDNA領域:β遮断薬の効果(血圧降下作用)の良さ
β遮断薬の効果(血圧降下作用)の良さ に最も強く影響する遺伝子領域は、rs1042713です。 日本における同型の遺伝子タイプの分布は下記のとおりです。
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GG
31.1% -
GA
49.3% -
AA
19.6%
他に、β遮断薬の効果(血圧降下作用)の良さに関わる遺伝子領域はrs2200733があります。 日本における同型の遺伝子タイプの分布は下記のとおりです
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CC
28.0% -
CT
49.8% -
TT
22.2%
検査の根拠
フロリダ大学のShahinらの研究により、β遮断薬の効果(血圧降下作用)が遺伝子と関連していることが明らかになりました。人間のゲノムには、rs1042713という領域が存在し、その領域の遺伝子にはGとAの2種類の変異があります。Gタイプの変異を持つ人は、β遮断薬の効果が高い傾向にあることが分かりました。
今回調査したDNA領域
細胞中に存在するDNAマップの模式図
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関連遺伝子
| 関連遺伝子 | ADRB2 |
|---|---|
| 関連遺伝子 | PITX2 |
参考文献
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関連遺伝子 ADRB2
- 参考リンク : 2019 Nov、Mohamed H Shahinと研究グループがJ Clin Pharmacol に発表したβ2 -Adrenergic Receptor Gene Affects the Heart Rate Response of β-Blockers: Evidence From 3 Clinical Studiesという研究によるとβ遮断薬の効果(血圧降下作用)の良さ に関連するrs1042713の関連性が認められました。
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関連遺伝子 PITX2
- 参考リンク : 2021 Oct、Saori Sakaueと研究グループがNat Genet に発表したA cross-population atlas of genetic associations for 220 human phenotypesという研究によるとβ遮断薬の効果(血圧降下作用)の良さ に関連するrs2200733の関連性が認められました。