スタチンの効果の良さ
- スタチンは悪玉コレステロールを下げ、心臓や血管の病気が起こるリスクを20〜35%下げる薬です。
- DNA領域rs10455872のGタイプを持つ人はスタチンがよく効く傾向にあることが研究で分かっています。
- 血液検査で悪玉コレステロールの値の変化を確かめられ、血管のプラークの安定化によって、心臓や血管を守る効果が期待できます。
概要
【疾患の概要】 スタチンは、悪玉コレステロール(低密度リポタンパク質コレステロール)の値を下げる薬です。これにより、心臓病や脳卒中など、心臓や血管の病気が起こるリスクを下げる大切な効果があります。 悪玉コレステロールは血管の壁にたまりやすく、「プラーク」と呼ばれるかたまりを作ります。これが心臓病のリスクを高めます。
【症状と特徴】 スタチンは、肝臓でコレステロールを作るのに必要な酵素のはたらきをおさえ、コレステロールが作られる量を減らします。 その結果、血液中の悪玉コレステロールが大きく減り、悪玉コレステロールが多いことで起こる心臓や血管の病気のリスクも下がります。
【治療と注意点】 スタチンがどれくらい効いているかは、血液検査で確かめられます。 時間がたつにつれて悪玉コレステロールが下がると、血管のプラークが安定し、心臓や血管を守る効果につながります。
【遺伝的リスク】 カリフォルニア大学サンフランシスコ校のOni-Orisanらの研究により、スタチンの効果がrs10455872というDNA領域と関係していることが分かりました。 このDNA領域にはAA,AG,GGの3つの遺伝子型があり、Gを持つ遺伝子型の人は、スタチンがよく効く傾向にあることが分かりました。
スタチンとは?
スタチンは、肝臓でコレステロールを作るのに必要な酵素のはたらきをおさえ、悪玉コレステロール(低密度リポタンパク質コレステロール)が作られる量を減らす薬です。心筋梗塞や脳卒中など、心臓や血管の病気のリスクを20〜35%下げる効果が、臨床試験(人を対象とした試験)で確認されています。
スタチンが効くしくみ
スタチンは次のしくみで悪玉コレステロールを下げます。
- コレステロールを作る酵素をおさえる:肝臓でコレステロールが作られるのを直接おさえます。
- 悪玉コレステロールの「受け皿」が増える:肝臓の細胞の表面にある、悪玉コレステロールを取り込む「受け皿」を増やし、血液中の悪玉コレステロールの取り込みをうながします。
- 血管のプラークの安定化:時間がたつにつれてたまった血管のプラークを安定させ、破れるリスクを下げます。
スタチンの効果が高い人の特徴
スタチンの効き方には個人差があり、次のような要因が影響します。
- 遺伝子型:DNA領域rs10455872にGタイプを持つ人は効果が高い傾向があります。
- 悪玉コレステロールのもとの値:治療前の悪玉コレステロールの値が高い人ほど、スタチンの効果を感じやすいです。
- 一緒に取り組む生活の見直し:食事の見直しや運動と組み合わせると効果が大きくなります。
スタチンの種類と効果比較
| スタチンの種類 | 悪玉コレステロールの低下率 | 特徴 |
|---|---|---|
| ロスバスタチン | 45〜55% | 最も効き目が強いスタチン |
| アトルバスタチン | 40〜50% | 広く処方されている効き目の強いスタチン |
| シンバスタチン | 25〜35% | 効き目が中くらいのスタチンの代表 |
| プラバスタチン | 20〜30% | 副作用が少ない、効き目が弱め〜中くらいのスタチン |
スタチンの主な副作用
スタチンを使ったときに報告されている主な副作用は次のとおりです。
- 筋肉痛(ミオパチー:筋肉の障害):飲んでいる人の約5〜10%に症状が出ます。
- 肝臓のはたらきの異常:肝臓の検査値(肝酵素の値)が上がることがあります。
- おなかの症状:腹痛・下痢・便秘などが報告されています。
- 横紋筋融解症(筋肉がこわれる病気):非常にまれだが重い副作用(起こる割合は約0.01%)です。
スタチンの効果を確認する方法
定期的な血液検査で悪玉コレステロールの値の変化を調べることで、効果を確かめられます。
- 飲み始めてから4〜6週間で悪玉コレステロールの値が下がります。
- 悪玉コレステロールの目標値は一般的に100mg/dL未満(心臓や血管の病気のリスクが高い人は70mg/dL未満)です。
- 長い目で見ると、血管のプラークが安定することで心臓や血管を守る効果が得られます。
遺伝子とスタチンの効果の関連
DNA領域rs10455872とスタチンの効果の関係
カリフォルニア大学サンフランシスコ校のOni-Orisanらの研究(2020年)により、DNA領域rs10455872がスタチンの効果と関係していることが分かりました。
- rs10455872にはAA・AG・GGの3つの遺伝子型があります。
- Gタイプを持つ遺伝子型の人は、スタチンで悪玉コレステロールが下がる効果が高い傾向があります。
日本人と世界における遺伝子型分布(rs10455872)
| 遺伝子型 | 日本人の割合 | 世界の割合 |
|---|---|---|
| AA型 | 99.9% | 88.0% |
| AG型 | 0.1%以下 | 11.5% |
| GG型 | 0.1%以下 | 0.3% |
日本人はAA型が99.9%をしめ、世界平均(88.0%)とくらべてAA型の割合が高い傾向にあります。
検査の科学的な根拠
代表的なDNA領域:スタチンの効果の良さ
スタチンの効果の良さ に最も強く影響するDNA領域は、rs10455872です。 日本でのそれぞれの遺伝子型の人の割合は下記のとおりです。
- AA
99.9 % - AG
0.1%以下 - GG
0.1%以下
検査の根拠
カリフォルニア大学サンフランシスコ校のOni-Orisanらの研究により、スタチンの効果が遺伝子と関係していることが分かりました。人のDNAには、rs10455872という領域があり、そこにはAとGの2種類のタイプがあります。Gタイプを持つ人は、スタチンがよく効く傾向にあることが分かりました。
今回調査したDNA領域
細胞の中にあるDNAマップのイメージ図
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関連遺伝子
| 関連遺伝子 | LPA |
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よくある質問
Q1. スタチンとは何ですか?
スタチンは、肝臓でコレステロールを作るのに必要な酵素のはたらきをおさえ、悪玉コレステロールが作られる量を減らす薬です。心筋梗塞や脳卒中など、心臓や血管の病気が起こるリスクを20〜35%下げる効果が、人を対象とした試験(臨床試験)で確認されています。
Q2. スタチンの効果に遺伝子はどう関係しますか?
カリフォルニア大学サンフランシスコ校のOni-Orisanらの研究により、DNA領域rs10455872がスタチンの効果と関係していることが分かりました。Gタイプを持つ遺伝子型の人は、スタチンで悪玉コレステロールが下がる効果が高い傾向にあります。
Q3. スタチンの効果はどのように確認できますか?
定期的な血液検査で悪玉コレステロールの値の変化を調べるすることで効果を確かめられます。飲み始めてから4〜6週間で悪玉コレステロールの値が下がり、血管のプラークが安定することで心臓や血管を守る効果が得られます。
Q4. スタチンの主な副作用は何ですか?
主な副作用は筋肉痛(ミオパチー)で、飲んでいる人の約5〜10%にみられます。そのほか肝臓のはたらきの異常や、おなかの症状などがありますが、重い副作用が起こることは少ない傾向です。
Q5. LPA遺伝子とスタチンの関係は?
LPA遺伝子は、リポタンパク質(a)という血液中の脂質の運び役を作ることに関わってしており、rs10455872はLPA遺伝子のすぐ近くにあります。このDNA領域の違いがスタチンの効き方に影響することが、2020年のOni-Orisanらの研究で報告されています。