ネフローゼ症候群に対するステロイドの有効性
概要
ネフローゼ症候群は、腎臓のフィルター機能が損なわれ、タンパク質が尿中に漏れ出す病気です。
通常、腎臓は血液から不要な物質を尿に排出し、必要なタンパク質は保持しますが、この病気では糸球体の損傷によりタンパク質が漏れ出します。これにより、低アルブミン血症、浮腫、高脂血症などの症状が現れます。
一般的な治療法として、ステロイドが使用されます。ステロイド治療は、糸球体の炎症や免疫反応を抑えることで、タンパク尿を減少させ、症状を改善します。
しかし、ステロイドの効き目がない患者や副作用が強く現れる患者(ステロイド抵抗性の患者)もいるため、その場合は別の治療法の検討が必要となります。
主な副作用には、免疫抑制による感染症のリスク増加、体重増加、むくみ、高血圧、糖尿病の悪化、骨粗鬆症、胃潰瘍などがあります。
ステロイド治療は、ネフローゼ症候群の治療において重要な役割を果たしますが、その効果と副作用のバランスを見極めることが重要となります。
ノアカリ科学技術大学のMd Abdul Azizらの研究により、ネフローゼ症候群に対するステロイドの有効性がrs1128503というDNA領域と関連していることが明らかになりました。
このDNA領域にはAA、AG、GGの3つの遺伝子型があり、Aを持つ遺伝子型の人は、ステロイド治療に高い効果が期待できることが分かりました。
遺伝子領域rs1128503において日本で各遺伝タイプを持つ人の割合
- AA36.12%
- AG47.96%
- GG15.92%
遺伝子領域rs1128503において世界で各遺伝タイプを持つ人の割合
- AA17.88%
- AG48.81%
- GG33.31%
検査の理論的根拠
体表的なDNA領域:ネフローゼ症候群に対するステロイドの有効性
体表的なDNA領域:ネフローゼ症候群に対するステロイドの有効性
ネフローゼ症候群に対するステロイドの有効性 に最も強く影響する遺伝子領域は、rs1128503です。 日本における同型の遺伝子タイプの分布は下記のとおりです。
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AA
36.1% -
AG
48.0% -
GG
15.9%
検査の根拠
ノアカリ科学技術大学のMd Abdul Azizらの研究により、ネフローゼ症候群に対するステロイドの有効性が遺伝子と関連していることが明らかになりました。人間のゲノムには、rs1128503という領域が存在し、その領域の遺伝子にはAとGの2種類の変異があります。Aタイプの変異を持つ人は、ステロイド治療に高い効果が期待できることが分かりました。
今回調査したDNA領域
細胞中に存在するDNAマップの模式図
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関連遺伝子
| 関連遺伝子 | ABCB1 |
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参考文献
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関連遺伝子 ABCB1
- 参考リンク : 2022 Jul、Md Abdul Azizと研究グループがJ Gene Med に発表したThe role of ABCB1 gene polymorphisms in steroid-resistant nephrotic syndrome: Evidence from a meta-analysis of steroid-receiving patientsという研究によるとネフローゼ症候群に対するステロイドの有効性 に関連するrs1128503の関連性が認められました。