子宮内膜癌
- 子宮内膜癌は子宮の内膜にできる悪性腫瘍(がん)で、子宮体がんの約80%以上を占め、閉経後の女性によく起こります。
- DNA領域rs12970291のA型変異を持つ人は発症リスクが高い傾向にあることがオックスフォード大学の研究で分かりました。
- 早期発見で5年生存率は約95%になるため、不正出血があれば早めに受診し、定期検診を受けることが大切です。
概要
【疾患の概要】 子宮内膜がんは、子宮の内側をおおう膜(内膜)にできるがんの一種です。 内膜が厚くなり、子宮の中に腫瘍(できもの)ができます。
【症状と特徴】 子宮内膜がんで最もよく見られる症状は、月経(生理)以外のときの出血や、閉経後に起こる多めの膣からの出血です。 また、骨盤のあたりの痛みや体重が減るなどの症状が出ることもあります。 病気が進むと、がんがまわりの組織に広がり、尿や便が出にくくなるなどの合併症が起こります。 子宮内膜がんは、大きさや形、悪性度(がんのたちの悪さ)に個人差があり、初期には症状が出ないこともあります。
【治療と注意点】 診断には画像検査や、組織を少し取って調べる検査(生体検査)が使われ、子宮の中にがんがあるか、どこまで広がっているかを調べます。
【遺伝的リスク】 オックスフォード大学のChengらの研究により、子宮内膜癌へのかかりやすさがrs12970291というDNA領域と関係していることが分かりました。 このDNA領域にはGG、GA、AAの3つの遺伝子型があり、Aを持つ遺伝子型の人は、子宮内膜癌のリスクが高い傾向にあることが分かりました。
子宮内膜癌とは何か
子宮内膜癌は、子宮の内膜(子宮の奥の部分=体部の内側をおおう膜)にできる悪性腫瘍(がん)です。子宮体がんの約80%以上を占め、先進国では女性特有の病気(婦人科)の中で最も多いがんの一つです。
子宮内膜癌の原因とメカニズム
子宮内膜癌は大きく2つのタイプに分けられます。
- I型(エストロゲンに関係するタイプ):全体の約80%を占めます。女性ホルモン(エストロゲン)が過剰に働くことで子宮内膜が異常に増えて発症します。
- II型(エストロゲンに関係しないタイプ):約20%を占め、薄くなった内膜から発症し、治療後の経過がよくないことが多いです。
主なリスク因子は以下のとおりです。
- 肥満(脂肪組織が女性ホルモンのエストロゲンを作るため、体格指数=肥満の目安が30以上でリスク約3倍)
- 出産経験がない・不妊
- 閉経が遅い(55歳以降)
- 糖尿病・高血圧
- タモキシフェン長期使用
- 遺伝子の影響(DNA領域rs12970291のA型変異)
子宮内膜癌の主な症状
子宮内膜癌の最もよく見られる初期症状は不正出血です。患者の約90%に不正出血(生理以外の出血)が見られます。
- 閉経後の不正出血(最も重要な警告サイン)
- 生理以外のときの異常な出血
- 骨盤のあたりの痛み・圧迫感
- 原因の分からない体重減少
- 尿や便が出にくくなります(進行した場合)。
子宮内膜癌と子宮頸癌の違い
| 比較項目 | 子宮内膜癌(体部) | 子宮頸癌 |
|---|---|---|
| できる場所 | 子宮体部の内膜 | 子宮頸部(入り口) |
| 主な原因 | 女性ホルモン(エストロゲン)の過剰な働き | ヒトパピローマウイルスの感染 |
| かかりやすい年齢 | 50〜60代(閉経後) | 30〜40代 |
| 主な症状 | 閉経後の不正出血 | 性行為の後の出血・おりものの異常 |
| 予防法 | 肥満の予防・定期検診 | ヒトパピローマウイルスのワクチン・子宮頸がん検診 |
| 早期治療後の経過 | 5年生存率 約95%(ステージI) | 5年生存率 約92%(ステージI) |
子宮内膜癌のステージ分類と予後
子宮内膜癌は、病気の進み具合によって次のように分けられます。
| ステージ | 進行範囲 | 5年生存率 |
|---|---|---|
| I期 | 子宮体部にとどまります。 | 約95% |
| II期 | 子宮頸部まで広がります。 | 約70% |
| III期 | 子宮の外・骨盤内に広がります。 | 約40% |
| IV期 | 膀胱・直腸や離れた臓器に転移 | 約15% |
診断方法
次の検査で診断します。
- 経腟超音波検査(膣から入れる超音波で子宮内膜の厚さを測る)
- 子宮内膜生検(組織を少し取る検査)(組織を顕微鏡で調べる、最も確実な診断方法)
- 子宮鏡検査(細いカメラで子宮の中を直接見る)
- 磁気を使って体の断面を撮る検査(がんがどのくらい深く入り込んでいるかを調べる)
- エックス線で体の断面を撮る検査(離れた臓器への転移がないか確認)
遺伝子と子宮内膜癌の関連
DNA領域rs12970291と発症リスクの関係
オックスフォード大学のChengらの研究により、DNA領域rs12970291が子宮内膜癌へのかかりやすさと関係していることが分かりました。
- rs12970291にはGG・GA・AAの3つの遺伝子型が存在します。
- A型変異を持つ遺伝子型の人は、子宮内膜癌のリスクが高い傾向があります。
日本人における遺伝子型分布(rs12970291)
| 遺伝子型 | 日本人の割合 | 世界の割合 |
|---|---|---|
| GG型 | 90.6% | 93.2% |
| GA型 | 9.1% | 6.5% |
| AA型 | 0.2% | 0.1% |
検査の理論的な根拠
代表的なDNA領域:子宮内膜癌
子宮内膜癌 に最も強く影響するDNA領域は、rs12970291です。 日本人で、それぞれの遺伝子型を持つ人の割合は下記のとおりです。
- GG
90.6 % - GA
9.1 % - AA
0.2 %
検査の根拠
オックスフォード大学のChengらの研究により、子宮内膜癌へのかかりやすさが遺伝子と関係していることが分かりました。人の遺伝情報(ゲノム)には、rs12970291という場所があり、そこにはGとAの2種類のタイプがあります。A型変異を持つ人は、子宮内膜癌のリスクが高い傾向にあることが分かりました。
今回調査したDNA領域
細胞の中にあるDNAの地図の模式図
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関連遺伝子
| 関連遺伝子 | TSHZ1 |
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よくある質問
Q1. 子宮内膜癌とは何ですか?
子宮内膜癌は、子宮の内膜にできる悪性腫瘍(がん)です。子宮体がんの約80%以上を占め、閉経後の女性によく起こります。主な初期症状は不正出血(生理以外の出血)で、早く見つかれば、ステージIの5年生存率は約95%になります。
Q2. 子宮内膜癌の原因は何ですか?
主な原因は女性ホルモン(エストロゲン)の過剰な働きによる子宮内膜の異常な増加です。肥満(体格指数=体重と身長から計算する肥満の目安が30以上で、リスクが約3倍)、出産経験がないこと、閉経が遅いこと、糖尿病、遺伝子の影響(DNA領域rs12970291のA型変異)が主なリスク因子です。
Q3. 子宮内膜癌と子宮頸癌の違いは?
子宮内膜癌は子宮の奥(体部)の内膜にでき、閉経後によく起こります。子宮頸癌は子宮の入り口(頸部)にでき、ヒトパピローマウイルス(性行為でうつるウイルス)の感染が主な原因で、30〜40代によく起こります。できる場所・原因・かかりやすい年齢が異なります。
Q4. 遺伝子検査で子宮内膜癌のリスクは分かりますか?
DNA領域rs12970291の遺伝子型を調べることで、子宮内膜癌の発症リスクの傾向を知ることができます。A型変異を持つ遺伝子型の人は、リスクが高い傾向にあることがオックスフォード大学の研究で分かっています。
Q5. 子宮内膜癌を早く見つける方法は?
閉経後の不正出血が最も重要な警告サインです。膣から入れる超音波検査で子宮内膜の厚さを測り、異常があれば子宮内膜の組織を少し取って顕微鏡で調べます。定期的に婦人科の検診を受けることが、早く見つけるための大切なポイントです。