末期腎不全
- 末期腎不全は慢性腎臓病の最後の段階で、腎臓の働きが10〜15%以下に下がり、透析や腎移植をしなければ生きていくことができない状態です。
- DNA領域rs12963285のTタイプを持つ人は末期腎不全になりやすい傾向があることが、ノースカロライナ大学の研究でわかりました。
- 日本人でTを持つ人(TT+TC)の割合は96.0%で、世界平均の99.6%と比べるとやや低い割合です。
概要
【疾患の概要】 末期腎不全(まっきじんふぜん)は、慢性腎臓病(腎臓の働きが長い期間をかけて少しずつ弱っていく病気)の最後の段階です。腎臓の働きがほとんど失われている状態を指します。
【症状と特徴】 この段階まで進むと、腎臓の働きは10〜15%以下にまで下がります。いらないもの(老廃物)や余分な水分をこし取る、尿をつくる、ミネラルのバランスを整えるといった大切な働きが、ほとんどできなくなります。 末期腎不全の人は、老廃物や余分な水分が体にたまるため、さまざまな症状が出ることがあります。 たとえば、貧血による疲れやだるさ、水分がたまることによるむくみ(特に足や目のまわり)、食欲がない、体重が減るなどです。 また、水分が肺にたまると、息苦しくなることもあります。
【治療と注意点】 末期腎不全は、治療を受けないと命にかかわる状態になります。 透析(機械などを使って腎臓の代わりに血液をきれいにする治療)は腎臓の働きを代わりに行い、腎移植は健康な腎臓を体に移すことで対応します。 腎臓の働きが大きく下がると、血液の中の成分のバランスがくずれ、心臓のリズムの乱れや骨の病気などの健康問題が起こる可能性があります。 毎日の生活にも大きな影響が出るため、専門の医療機関での治療が必要です。
【遺伝子との関係】 ノースカロライナ大学チャペルヒル校のBridget M Linらの研究で、末期腎不全になりやすさがrs12963285というDNA領域と関係していることがわかりました。 このDNA領域にはTT、TC、CCの3つの遺伝子型があり、Tを持つ遺伝子型の人は、末期腎不全になりやすい傾向があることがわかりました。
末期腎不全とは何か
末期腎不全とは、慢性腎臓病(腎臓の働きが長い期間をかけて少しずつ弱っていく病気)の最後の段階で、腎臓の働きが10〜15%以下に下がった状態のことです。治療をしなければ命にかかわる病気で、透析または腎移植が欠かせません。
末期腎不全が体に与える影響
腎臓の働きが10〜15%以下に下がると、老廃物や余分な水分をこし取る、尿をつくる、ミネラルのバランスを整えるなどの大切な働きがほぼ止まります。主な症状を種類ごとに紹介します。
主な身体症状
- 疲れ・だるさ:貧血が原因で起こります。腎臓から出る、赤血球をつくるよう指示するホルモン(エリスロポエチン)が減るためです。
- むくみ:水分がたまり、足や目のまわりがむくみます。
- 食欲がない・体重が減る:老廃物がたまり、胃や腸などの消化器にも影響が出ます。
- 息苦しさ:水分が肺にたまり、呼吸がしにくくなります。
合併症(ほかに起こりやすい病気)
- 心臓や血管:血液の中の成分のバランスがくずれ、心臓のリズムが乱れます(不整脈)。
- 骨の病気:カルシウムやリンのバランスが乱れ、骨がもろくなります。
- 生活への影響:透析治療は週3回・1回4時間ほど必要で、毎日の生活に制限が出ます。
末期腎不全の治療法の比較
| 比較項目 | 血液透析 | 腹膜透析 | 腎移植 |
|---|---|---|---|
| 方法 | 機械で血液をきれいにします。 | おなかの中の膜(腹膜)を使ってろ過 | 提供者(ドナー)の腎臓を移植 |
| 頻度 | 週3回・1回約4時間 | 毎日(自宅で行うことができる) | 手術は1回 |
| 生活の制限 | 通院が必要・食事の制限あり | 自宅での管理が必要 | 免疫の働きをおさえる薬(免疫抑制剤)を飲む必要があります。 |
| その後の経過 | 5年生存率約35% | 5年生存率約35% | 5年生存率約85%以上 |
遺伝子と末期腎不全のなりやすさの関係
DNA領域rs12963285と末期腎不全の関係
ノースカロライナ大学チャペルヒル校のBridget M Linらの研究(2019年、Frontiers in Geneticsに掲載)で、末期腎不全になりやすさがDNA領域rs12963285と関係していることがわかりました。
- rs12963285にはTT・TC・CCの3つの遺伝子型が存在します。
- Tを持つ遺伝子型(TT型・TC型)の人は末期腎不全になりやすい傾向があります。
- このDNA領域はLINC-ROR遺伝子と関係しています。
日本人と世界の遺伝子型の割合の比較(rs12963285)
| 遺伝子型 | 日本人の割合 | 世界の割合 |
|---|---|---|
| TT型 | 64.4% | 89.5% |
| TC型 | 31.6% | 10.1% |
| CC型 | 3.8% | 0.2% |
日本人でTを持つ人(TT+TC)の割合は96.0%で、世界平均の99.6%と比べるとやや低い割合です。一方、CC型の割合は日本人が3.8%で、世界平均の0.2%より約19倍高く、日本人の遺伝子の特徴が表れています。
検査の理論的根拠
代表的なDNA領域:末期腎不全
末期腎不全 に最も強く影響するDNA領域は、rs12963285です。 日本人がそれぞれの遺伝子型を持つ割合は下のとおりです。
- TT
64.4 % - TC
31.6 % - CC
3.8 %
検査の根拠
ノースカロライナ大学チャペルヒル校のBridget M Linらの研究で、末期腎不全になりやすさが遺伝子と関係していることがわかりました。人のDNAには、rs12963285という場所があり、この場所にはTとCの2種類のタイプがあります。Tタイプを持つ人は、末期腎不全になりやすい傾向があることがわかりました。
今回調査したDNA領域
細胞の中にあるDNAの地図のイメージ図
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関係する遺伝子
| 関係する遺伝子 | LINC-ROR |
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よくある質問
Q1. 末期腎不全とは何ですか?
末期腎不全とは、慢性腎臓病の最後の段階で、腎臓の働きが10〜15%以下に下がった状態のことです。老廃物や余分な水分をこし取る、尿をつくる、ミネラルのバランスを整えるといった腎臓の基本的な働きがほぼ止まり、透析や腎移植をしなければ生きていくことができません。貧血、むくみ、食欲がない、息苦しさなどの症状が出ます。
Q2. 末期腎不全は遺伝子と関連していますか?
はい。ノースカロライナ大学チャペルヒル校のBridget M Linらの研究(2019年、Frontiers in Geneticsに掲載)で、DNA領域rs12963285が末期腎不全のなりやすさと関係していることがわかっています。rs12963285にはTT・TC・CCの3つの遺伝子型があり、Tを持つ遺伝子型の人は末期腎不全になりやすい傾向があります。
Q3. 末期腎不全に関係する遺伝子型(rs12963285)は、日本人ではどのような割合ですか?
日本人がrs12963285の各遺伝子型を持つ割合はTT型64.4%、TC型31.6%、CC型3.8%です。世界全体ではTT型89.5%、TC型10.1%、CC型0.2%なので、日本人はTC型・CC型の割合が世界平均より高いという特徴があります。
Q4. 末期腎不全の主な症状は何ですか?
末期腎不全の主な症状は、貧血による疲れ・だるさ、水分がたまることによるむくみ(特に足・目の周囲)、食欲がない・体重が減る、息苦しさです。腎臓の働きが下がると老廃物が体にたまり、心臓のリズムの乱れや骨の病気などの合併症(病気にともなって起こる別の病気)も起こります。
Q5. 末期腎不全の治療法にはどのようなものがありますか?
末期腎不全の治療法は主に透析療法(血液透析・腹膜透析)と腎移植の2種類です。血液透析は週3回・1回約4時間の通院が必要で、腹膜透析は自宅で毎日行うことができます。腎移植は5年生存率85%以上と、その後の経過が最もよい治療法ですが、腎臓を提供してくれる人(ドナー)が見つかる必要があり、免疫の働きをおさえる薬(免疫抑制剤)を飲み続ける必要があります。