濾胞性リンパ腫
- 濾胞性リンパ腫とは、Bリンパ球(免疫の細胞)が異常に増える非ホジキンリンパ腫の一種であり、首・脇の下・鼠径部(脚の付け根)の痛みのないリンパ節の腫れで見つかることが多いです。
- DNA領域rs11082438のG型を持つ人は濾胞性リンパ腫にかかりやすい傾向があることが、カリフォルニア大学バークレー校の研究で分かりました。
- 日本人のGG型を持つ人の割合は99.0%で、世界平均の86.9%と比べて高い割合です。
概要
【病気の概要】 濾胞性リンパ腫は、血液のがんである「非ホジキンリンパ腫」の一種です。体を守る免疫の細胞の1つであるBリンパ球が、異常に増えてしまうのが特徴です。このがんは多くの場合リンパ節にできますが、骨髄や血液に広がることもあります。
【初期症状】 ゆっくり進むことが多く、初めのうちは症状が出にくいがんです。首、脇の下、鼠径部(脚の付け根)のリンパ節にがん化したリンパ球がたまり、痛みのない腫れができることで、異変に気づく場合があります。
【全身症状と影響】 リンパ節の腫れのほかにも、体が異常な細胞の増加に反応することで、発熱、夜間の大量の汗、体重減少などが起こります。これらは「B症状」と呼ばれる全身の症状です。また、脾臓や肝臓に影響が及ぶと疲れやすさやお腹がすぐいっぱいになる感じが出ることがあり、免疫の働きが影響を受けると感染症にかかりやすくなります。
【治療と注意点】 ほかのがんと同じように、濾胞性リンパ腫も適切な治療をせずに進行すると、より重い症状や合併症(病気に伴って起こる別の病気)につながるため注意が必要です。
【遺伝子との関係】 カリフォルニア大学バークレー校のSkibolaらの研究によると、濾胞性リンパ腫のかかりやすさはrs11082438というDNA領域と関係していることが分かりました。このDNA領域にはGG、GT、TTの3つの遺伝子型があり、Gを持つ遺伝子型の人は濾胞性リンパ腫にかかりやすいことが分かっています。
濾胞性リンパ腫とは何か
濾胞性リンパ腫とは、免疫の細胞の1つであるBリンパ球が異常に増える、非ホジキンリンパ腫(血液のがんの一種)です。主にリンパ節にでき、骨髄や血液に広がる場合もあります。ゆっくり進み、初めのうちは症状が出にくいがんです。
濾胞性リンパ腫の主な症状とは
濾胞性リンパ腫の症状は、リンパ節の腫れ・全身の症状・臓器への影響の3つに分けられます。
リンパ節の腫れ
- 痛みのない腫れ:首・脇の下・鼠径部のリンパ節にがん化したBリンパ球がたまり、腫れます。
- 初めの段階:痛みがないため、見つかるのが遅れやすいです。
B症状(全身の症状)
- 発熱:原因の分からない38℃以上の発熱が続きます。
- 夜間の大量の汗:寝具がぬれるほどの大量の汗をかきます。
- 体重減少:6か月以内に体重の10%以上が減少します。
臓器への影響
- 脾臓・肝臓:脾臓の腫れによる疲れやすさ・お腹がすぐいっぱいになる感じが出ます。
- 免疫:免疫の働きが弱まり、感染症にかかりやすくなります。
濾胞性リンパ腫の症状と段階の比較
| 比較項目 | 初めの段階 | 進行段階 |
|---|---|---|
| リンパ節 | 痛みのない一部分の腫れ | いくつもの場所のリンパ節の腫れ |
| 全身症状 | 自覚症状はほとんどありません。 | B症状(発熱・夜間の大量の汗・体重減少) |
| 臓器への影響 | 臓器への影響は少ないです。 | 脾臓・肝臓の腫れ、免疫の働きの低下 |
| 治療 | 治療をせずに様子を見る「経過観察」が選ばれる場合があります。 | 抗がん剤による治療・免疫の力を使う治療・放射線治療が必要です。 |
適切な治療をせずに病気が進行すると、より重い症状や合併症につながるため、早めの対応が大切です。
遺伝子と濾胞性リンパ腫の関係
DNA領域rs11082438と濾胞性リンパ腫の関係
カリフォルニア大学バークレー校のSkibolaらの研究(2014年、American Journal of Human Genetics掲載)により、濾胞性リンパ腫のかかりやすさがDNA領域rs11082438と関係していることが明らかになりました。
- rs11082438にはGG・GT・TTの3つの遺伝子型があります。
- Gを持つ遺伝子型(GG型・GT型)の人は濾胞性リンパ腫にかかりやすい傾向があります。
- もう1つ関係するDNA領域としてrs17749561(G型とA型)があります。
日本人と世界における遺伝子型分布の比較(rs11082438)
| 遺伝子型 | 日本人の割合 | 世界の割合 |
|---|---|---|
| GG型 | 99.0% | 86.9% |
| GT型 | 0.9% | 12.5% |
| TT型 | 0.1%以下 | 0.4% |
日本人のG型を持つ人の割合(GG+GT)は99.9%であり、世界平均の99.4%とほぼ同水準です。GG型の割合は日本人が99.0%と世界平均の86.9%より約12.1ポイント高く、日本人の遺伝子の特徴を表しています。
日本人と世界における遺伝子型分布の比較(rs17749561)
| 遺伝子型 | 日本人の割合 | 世界の割合 |
|---|---|---|
| GG型 | 99.9% | 83.4% |
| GA型 | 0.1%以下 | 15.7% |
| AA型 | 0.1%以下 | 0.7% |
検査の科学的な根拠
代表的なDNA領域:濾胞性リンパ腫
濾胞性リンパ腫 に最も強く影響するDNA領域は、rs11082438です。 日本における遺伝子型の分布は下記のとおりです。
- GG
99.0 % - GT
0.9 % - TT
0.1%以下
他に、濾胞性リンパ腫に関わるDNA領域としてrs17749561があります。 日本における遺伝子型の分布は下記のとおりです。
- GG
99.9 % - GA
0.1%以下 - AA
0.1%以下
検査の根拠
カリフォルニア大学バークレー校のSkibolaらの研究によると、濾胞性リンパ腫のかかりやすさは特定の遺伝子の違いと関係していることが分かりました。人間のDNAにあるrs11082438という領域には、GとTの2つのタイプがあります。Gタイプを持つ人は、濾胞性リンパ腫にかかりやすいことが分かっています。
今回調査したDNA領域
細胞の中にあるDNAマップの模式図
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関連遺伝子
| 関連遺伝子 | SLC14A2 |
|---|---|
| 関連遺伝子 | PHLPP1 |
よくある質問
Q1. 濾胞性リンパ腫とは何ですか?
濾胞性リンパ腫とは、免疫の細胞の1つであるBリンパ球が異常に増える、非ホジキンリンパ腫(血液のがんの一種)です。主にリンパ節にでき、首・脇の下・鼠径部(脚の付け根)の痛みのない腫れで見つかります。ゆっくり進むため初めのうちは自覚症状が出にくく、B症状(発熱・夜間の大量の汗・体重減少)や、脾臓の腫れによる疲れやすさが出た段階で診断される場合があります。
Q2. 濾胞性リンパ腫のかかりやすさは遺伝子と関係していますか?
はい。カリフォルニア大学バークレー校のSkibolaらの研究(2014年、American Journal of Human Genetics掲載)により、DNA領域rs11082438が濾胞性リンパ腫のかかりやすさと関係していることが分かっています。rs11082438にはGG・GT・TTの3つの遺伝子型があり、Gを持つ遺伝子型の人はかかりやすい傾向があります。
Q3. 濾胞性リンパ腫に関係する遺伝子型(rs11082438)の日本人における分布は?
日本人におけるrs11082438の遺伝子型の分布はGG型99.0%、GT型0.9%、TT型0.1%以下です。世界全体ではGG型86.9%、GT型12.5%、TT型0.4%であり、日本人はGG型の割合が世界平均より約12.1ポイント高い特徴があります。
Q4. 濾胞性リンパ腫の主な症状は何ですか?
濾胞性リンパ腫の主な症状は、首・脇の下・鼠径部の痛みのないリンパ節の腫れ、B症状(発熱・夜間の大量の汗・体重減少)、脾臓への影響による疲れやすさ・お腹がすぐいっぱいになる感じ、免疫の働きが弱まることによる感染症へのかかりやすさです。適切な治療をせずに進行すると、より重い合併症につながるため、早めの対応が大切です。
Q5. 濾胞性リンパ腫に関係する遺伝子は何ですか?
濾胞性リンパ腫に関係する主な遺伝子はSLC14A2とPHLPP1の2つです。DNA領域rs11082438はSLC14A2に、rs17749561はPHLPP1にそれぞれ関係しており、これらの遺伝子の違いが濾胞性リンパ腫のかかりやすさに影響することが研究で示されています。