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神経膠腫(グリオーマ)

神経膠腫(グリオーマ)のイメージ画像
  • 神経膠腫(グリオーマ)はグリア細胞から発生する脳腫瘍で、全脳腫瘍の約30%を占め、アストロサイトーマ・オリゴデンドログリオーマ・エペンディモーマの3種類に大別される
  • DNA領域rs1128503のA型変異を持つ人は発症リスクが高い傾向にあることがMunisamyらの研究で判明
  • 日本人ではAA型が36.1%、AG型が47.9%、GG型が15.9%の分布を示し、世界平均と比較してA型保有率が高いことが特徴

概要 神経膠腫(グリオーマ)は、脳や脊髄の機能を支えるグリア細胞から発生する腫瘍です。 この腫瘍は、アストロサイトーマ(グリオブラストーマも含む)、オリゴデンドログリオーマ、エペンディモーマなどの種類があり、発生元のグリア細胞の種類によって特徴が大きく異なります。 一般的には頭痛や発作、身体の衰弱、認知障害、性格や行動の変化などの症状を示します。 症状が進行すると、脳の周囲に浮腫(脳の組織に水分が過剰に溜まることで脳が膨張して、障害を引き起こすこと)が生じます。 また、前頭葉にあるグリオーマは気分や性格に影響を及ぼし、小脳にあるものは体のバランスが悪くなるなど、発症した場所によっても症状が異なります。 この病気にはMRIなどの画像診断が用いられます。診断により腫瘍の大きさや悪性度を把握することが、治療方針を決定するうえで重要となります。 マニパル高等教育アカデミーのMunisamyらの研究により、神経膠腫(グリオーマ)の罹患リスクがrs1128503というDNA領域と関連していることが明らかになりました。 このDNA領域にはAA、AG、GGの3つの遺伝子型があり、Aを持つ遺伝子型の人は、神経膠腫のリスクが高い傾向にあることが分かりました。

神経膠腫(グリオーマ)とは何か

神経膠腫(グリオーマ)は、脳や脊髄の機能を支えるグリア細胞(神経膠細胞)から発生する腫瘍です。全脳腫瘍の約30%を占め、中枢神経系の腫瘍としては最も発生頻度が高い疾患の一つです。

グリア細胞はニューロン(神経細胞)の支持・保護・栄養供給を担う細胞であり、その種類に応じて以下の腫瘍タイプに分類されます。

神経膠腫の主な種類と特徴

腫瘍タイプ 発生元細胞 特徴
アストロサイトーマ アストロサイト(星状膠細胞) 最も頻度が高く、グリオブラストーマ(膠芽腫)を含む
オリゴデンドログリオーマ オリゴデンドロサイト(乏突起膠細胞) 髄鞘形成に関与する細胞が起源で、緩徐な経過を辿る傾向
エペンディモーマ 上衣細胞 脳室やCSF(脳脊髄液)に接する部位に発生

神経膠腫の原因とリスク要因

神経膠腫の正確な発症メカニズムは完全には解明されていません。ただし、以下の因子がリスクに関与することが知られています。

  • 遺伝的素因:DNA領域rs1128503(遺伝子ABCB1)のA型変異がリスク因子として特定
  • 電離放射線への曝露:放射線治療歴がある場合にリスクが上昇
  • 家族歴:神経膠腫の家族歴がある場合にリスクがやや高い
  • 遺伝性症候群:リ・フラウメニ症候群や神経線維腫症に関連するケースがある

神経膠腫の主な症状

症状は腫瘍の発生部位と大きさに依存し、以下のように多様です。

  • 頭痛(特に朝方に増悪する傾向)
  • 発作(てんかん発作)
  • 身体の衰弱・麻痺
  • 認知障害(記憶力・判断力の低下)
  • 性格や行動の変化

腫瘍の進行に伴い、脳浮腫(脳組織に水分が過剰に蓄積し脳が膨張する状態)が生じ、症状がさらに増悪します。

発生部位による症状の違い

腫瘍の発生部位 主な症状
前頭葉 気分変動、性格変化、判断力の低下
側頭葉 言語障害、記憶障害
小脳 平衡障害、協調運動の困難
頭頂葉 感覚障害、空間認識の困難

診断方法

神経膠腫の診断には以下の画像検査が用いられます。

  • MRI検査:腫瘍の位置・大きさ・浸潤範囲を高精度で描出
  • CT検査:石灰化や出血の検出に有用
  • PET検査:腫瘍の代謝活性を評価
  • 組織生検:腫瘍の悪性度(グレード)を確定診断

WHO分類ではグレードI〜IVに分類され、グレードIVのグリオブラストーマ(膠芽腫)が最も悪性度が高いとされています。

治療法

治療はグレード・腫瘍の位置・患者の全身状態に応じて選択されます。

  • 外科的切除:可能な限り腫瘍を摘出する第一選択
  • 放射線療法:残存腫瘍への照射や再発抑制
  • 化学療法:テモゾロミド等の抗がん剤投与
  • 腫瘍治療電場療法(TTFields):グリオブラストーマに対する電場治療

遺伝子と神経膠腫の関連

DNA領域rs1128503と発症リスクの関係

マニパル高等教育アカデミーのMunisamyらの研究により、遺伝子ABCB1上のDNA領域rs1128503が神経膠腫の罹患リスクと関連していることが判明しました。

  • rs1128503にはAA・AG・GGの3つの遺伝子型が存在
  • A型変異を持つAA型は神経膠腫を発症しやすい
  • AG型はやや発症しやすい傾向がある
  • GG型は相対的に低リスク

ABCB1遺伝子はP-糖タンパク質をコードし、細胞から有害物質を排出するポンプとして機能します。rs1128503の変異によりP-糖タンパク質の機能が変化し、脳内での有害物質の蓄積や薬剤耐性に影響を及ぼす可能性が指摘されています。

日本人における遺伝子型分布(rs1128503)

遺伝子型 日本人の割合 世界の割合
AA型 36.1% 17.8%
AG型 47.9% 48.8%
GG型 15.9% 33.3%

日本人はAA型の保有率が36.1%と世界平均の17.8%に比べて約2倍高く、遺伝的にA型変異を保有する割合が高いことが特徴です。

遺伝子領域rs1128503において日本で各遺伝タイプを持つ人の割合

  • AA
    36.1%
  • AG
    47.9%
  • GG
    15.9%

遺伝子領域rs1128503において世界で各遺伝タイプを持つ人の割合

  • AA
    17.8%
  • AG
    48.8%
  • GG
    33.3%

検査の理論的根拠

体表的なDNA領域:神経膠腫(グリオーマ)

神経膠腫(グリオーマ) に最も強く影響する遺伝子領域は、rs1128503です。 日本における同型の遺伝子タイプの分布は下記のとおりです。

  • AA
    36.1 %
  • AG
    47.9 %
  • GG
    15.9 %

検査の根拠

マニパル高等教育アカデミーのMunisamyらの研究により、神経膠腫(グリオーマ)の罹患リスクが遺伝子と関連していることが明らかになりました。人間のゲノムには、rs1128503という領域が存在し、その領域の遺伝子にはAとGの2種類の変異があります。A型変異を持つ人は、神経膠腫のリスクが高い傾向にあることが分かりました。日本人ではAA型が36.1%、AG型が47.9%、GG型が15.9%の分布を示し、世界平均と比較してA型保有率が高いことが特徴です。

今回調査したDNA領域

細胞中に存在するDNAマップの模式図

Image

関連遺伝子

関連遺伝子 ABCB1

よくある質問(FAQ)

Q1. 神経膠腫(グリオーマ)とは何ですか?

神経膠腫(グリオーマ)は、脳や脊髄のグリア細胞から発生する腫瘍です。全脳腫瘍の約30%を占め、アストロサイトーマ・オリゴデンドログリオーマ・エペンディモーマの3種類に大別されます。頭痛、発作、認知障害、性格変化などの症状を引き起こします。

Q2. 神経膠腫の原因と遺伝子の関係は?

マニパル高等教育アカデミーのMunisamyらの研究により、DNA領域rs1128503のA型変異を持つ人は神経膠腫のリスクが高い傾向にあることが判明しています。遺伝子ABCB1(P-糖タンパク質)が関与し、細胞内の有害物質排出メカニズムに影響します。

Q3. 神経膠腫にはどのような種類がありますか?

主な種類は3つあります。アストロサイトーマ(星細胞腫、グリオブラストーマを含む)、オリゴデンドログリオーマ(乏突起膠腫)、エペンディモーマ(上衣腫)です。WHO分類ではグレードI〜IVに分類されます。

Q4. 神経膠腫の症状にはどのようなものがありますか?

代表的な症状は頭痛、発作(てんかん)、身体の衰弱、認知障害、性格や行動の変化です。腫瘍の発生部位により症状は異なり、前頭葉では気分・性格変化、小脳では平衡障害が生じます。進行すると脳浮腫により症状が増悪します。

Q5. 遺伝子検査で神経膠腫のリスクは分かりますか?

DNA領域rs1128503の遺伝子型を調べることで、神経膠腫の発症リスク傾向を把握できます。日本人ではAA型が36.1%(高リスク)、AG型が47.9%(やや高リスク)、GG型が15.9%(低リスク)の分布を示します。

参考文献