痛風
- 痛風は尿酸の結晶が関節にたまり、急な痛み・腫れ・炎症を引き起こす病気であり、プリン体の多い食べ物のとりすぎや腎臓の働きの低下がおもな原因です。
- DNA領域rs17786744のG型を持つ人は痛風になるリスクが高い傾向にあることがオタゴ大学の研究で判明しました。
- 適切な食事の管理・水分をとる・生活習慣の見直しにより、痛風になるリスクを下げ、再発を防ぐことができます。
概要
【病気の概要】 痛風は、尿酸が固まってできた結晶が関節にたまることで起こり、急な痛みや腫れを引き起こす病気です。 尿酸は、プリン体という物質が体の中で分解されるときにできる「ごみ」のようなものです。
【症状と特徴】 プリン体はいろいろな食べ物に含まれていて、体の中でも作られます。 ふつう、尿酸は血液に溶けていて、腎臓を通って尿と一緒に体の外へ出ていきます。 しかし、尿酸が作られすぎたり、腎臓が尿酸を十分に出せなかったりすると、尿酸が結晶になって関節にたまります。 尿酸の結晶は針のような形をしているため、関節にたまると激しい痛みと炎症(赤く腫れて熱をもつこと)を引き起こします。 最初の症状は足の親指の付け根に出ることが多いですが、膝、足首、肘、手首など他の関節に出ることもあります。 この痛みは突然起こり、夜にひどくなることがあります。 一度痛みがおさまっても、尿酸値を下げない限り、また痛風の発作が起こり、関節が傷つくおそれがあります。
【治療と注意点】 生活習慣を見直し、薬で尿酸値を正常に戻すことが、痛風の症状をおさえ、ほかの病気を防ぐための有効な方法です。
【遺伝子の影響】 オタゴ大学のBoocockらの研究により、痛風になるリスクがrs17786744というDNA領域と関係していることが分かりました。 このDNA領域にはAA、AG、GGの3つの遺伝子型があり、Gを持つ遺伝子型の人は、痛風のリスクが高い傾向にあることが分かりました。
痛風とは何か
痛風は、血液中の尿酸が増えて、尿酸の結晶が関節にたまることで、急な痛み・腫れ・炎症を引き起こす病気です。尿酸はプリン体が分解されるときにできる物質で、ふつうは腎臓を通って尿と一緒に体の外へ出ていきます(1)。
痛風の原因としくみ
痛風は次の2つのしくみで起こります。
- 尿酸の作りすぎ:プリン体を含む食べ物(肉類・魚介類・ビール)のとりすぎや、体の中でプリン体が多く作られることです。
- 尿酸の出しにくさ:腎臓が尿酸を外に出す働きが弱まり、血液中の尿酸値が上がります。
おもなリスクの要因は次のとおりです。
- 食生活:プリン体を含む食べ物やお酒(特にビール)のとりすぎ
- 肥満:おなかの内臓のまわりに脂肪がつく肥満は、尿酸を作りやすく、出しにくくします。
- 遺伝子の影響:DNA領域rs17786744のG型を持つ人はリスクが高い傾向があります。
- 脱水:水分不足で尿酸が濃くなります。
- 性別・年齢:男性に多く、中高年でなりやすいです。
痛風の主な症状
痛風発作は突然起こるし、次のような症状が出ます。
- 足の親指の付け根の激しい痛み(最初の症状として最も多い)
- 関節の腫れ・赤み・熱っぽさ
- 夜に痛みが強くなります。
- 膝・足首・肘・手首など他の関節にも広がります。
- 発作をくり返すことで関節が変形・損傷します。
痛風と高尿酸血症の違い
| 比較項目 | 痛風 | 高尿酸血症 |
|---|---|---|
| 定義 | 尿酸の結晶による急な関節の炎症 | 血液中の尿酸値7.0mg/dL超 |
| 自覚症状 | 激しい関節の痛み・腫れ | 症状なし |
| なりやすさ | 高尿酸血症の人の約10% | 成人男性の約20% |
| よく起こる部位 | 足の親指の付け根 | 決まった部位なし |
| 治療 | 炎症と痛みをおさえる薬+尿酸を下げる薬 | 生活習慣の見直し+様子をみます。 |
予防と対処法
痛風の予防・再発を防ぐには生活習慣を全体的に見直すことが有効です。
- 食事の管理:プリン体のとりすぎを控え、野菜・乳製品を積極的にとります。
- 水分をとる:1日2L以上の水分をとり、尿酸を体の外へ出しやすくします。
- お酒を控える:ビールを含むお酒を控えます。
- ほどよい運動:有酸素運動(ウォーキング・水泳)で太りすぎを防ぎます。
- 定期検査:血液中の尿酸値を定期的に測ることをすすめます。
遺伝子と痛風の関連
DNA領域rs17786744と痛風になるリスクの関係
オタゴ大学のBoocockらの研究(1)により、DNA領域rs17786744が痛風になるリスクと関係していることが分かりました。
- rs17786744にはAA・AG・GGの3つの遺伝子型が存在します。
- G型を持つ遺伝子型の人は、痛風のリスクが高い傾向があります。
日本人での遺伝子型の割合(rs17786744)
| 遺伝子型 | 日本人の割合 | 世界の割合 |
|---|---|---|
| AA型 | 52.7% | 35.7% |
| AG型 | 39.7% | 48.0% |
| GG型 | 7.5% | 16.1% |
日本人での遺伝子型の割合(rs686364)
| 遺伝子型 | 日本人の割合 | 世界の割合 |
|---|---|---|
| AA型 | 36.1% | 52.5% |
| AG型 | 47.9% | 39.8% |
| GG型 | 15.9% | 7.5% |
日本人での遺伝子型の割合(rs6031598)
| 遺伝子型 | 日本人の割合 | 世界の割合 |
|---|---|---|
| GG型 | 40.8% | 17.5% |
| GT型 | 46.1% | 48.6% |
| TT型 | 13.0% | 33.7% |
日本人での遺伝子型の割合(rs1171614)
| 遺伝子型 | 日本人の割合 | 世界の割合 |
|---|---|---|
| TT型 | 0.1%以下 | 4.8% |
| TC型 | 0.1%以下 | 34.3% |
| CC型 | 99.9% | 60.8% |
検査の科学的な根拠
代表的なDNA領域:痛風
痛風 に最も強く影響するDNA領域は、rs17786744です。 日本でのそれぞれの遺伝子型の割合は下記のとおりです。
- AA
52.7 % - AG
39.7 % - GG
7.5 %
他に、痛風に関わるDNA領域にはrs686364があります。 日本でのそれぞれの遺伝子型の割合は下記のとおりです。
- AA
36.1 % - AG
47.9 % - GG
15.9 %
他に、痛風に関わるDNA領域にはrs6031598があります。 日本でのそれぞれの遺伝子型の割合は下記のとおりです。
- GG
40.8 % - GT
46.1 % - TT
13.0 %
他に、痛風に関わるDNA領域にはrs1171614があります。 日本でのそれぞれの遺伝子型の割合は下記のとおりです。
- TT
0.1%以下 - TC
0.1%以下 - CC
99.9 %
検査の根拠
オタゴ大学のBoocockらの研究により、痛風になるリスクが遺伝子と関係していることが分かりました。人のDNAには、rs17786744という領域があり、この領域にはAとGの2種類のタイプがあります。G型を持つ人は、痛風のリスクが高い傾向にあることが分かりました(1)。
今回調査したDNA領域
細胞の中にあるDNAの地図の模式図
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関連遺伝子
| 関連遺伝子 | STC1 |
|---|---|
| 関連遺伝子 | CLDN8 |
| 関連遺伝子 | HNF4A |
| 関連遺伝子 | SLC16A9 |
よくある質問
Q1. 痛風とは何ですか?
痛風は、血液中の尿酸が増えて、尿酸の結晶が関節にたまることで、急な痛み・腫れ・炎症を引き起こす病気です。プリン体のとりすぎや腎臓が尿酸を外に出す働きの低下がおもな原因で、最初の症状が足の親指の付け根に出るのが特徴です(1)。
Q2. 痛風の原因は何ですか?
痛風の主な原因は高尿酸血症です。プリン体を含む食べ物(肉類・魚介類・ビール)のとりすぎ、腎臓が尿酸を外に出す働きの低下、生まれつきの遺伝子の影響が重なって起こります。DNA領域rs17786744のG型を持つ人はリスクが高い傾向にあります(1)。
Q3. 痛風と高尿酸血症の違いは?
高尿酸血症は血液中の尿酸値が7.0mg/dLを超える状態で、自分では気づく症状がありません。痛風は高尿酸血症が進み、尿酸の結晶が関節にたまって急な関節の炎症を引き起こした状態です。高尿酸血症の人の約10%が痛風になります。
Q4. 遺伝子検査で痛風のリスクは分かりますか?
DNA領域rs17786744の遺伝子型を調べることで、痛風になるリスクの傾向を知ることができます。G型を持つ遺伝子型の人はリスクが高い傾向にあることがオタゴ大学のBoocockらの研究で分かっています(1)。
Q5. 痛風の予防法は?
痛風予防にはプリン体のとりすぎを控え、1日2L以上の水分をとり、ほどよい有酸素運動をし、お酒(特にビール)を控えることが効果的です。太りすぎを改善することと、定期的に尿酸値を検査することもすすめられます。
参考文献
- 参考リンク1 : 2020 Apr., James Boocock, Hum Mol Genet
- 参考リンク2 : 2021 Oct., Saori Sakaue, Nat Genet
- 参考リンク3 : 2013 Feb., Anna Köttgen, Nat Genet
- 参考リンク4 : 2019 Apr., Masahiro Nakatochi, Commun Biol
- 参考リンク5 : 2019 Oct., Adrienne Tin, Nat Genet