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バセドウ病

バセドウ病のイメージ画像
  • バセドウ病は自己免疫によって甲状腺ホルモンが出すぎてしまう病気で、母親がこの病気の場合、娘の発症率は通常の約6〜10倍です。
  • DNA領域rs5912838の「A」を持つタイプ(AA型・AC型)を持つ人は発症リスクが高い傾向にあることが研究でわかっています。
  • 日本人ではAA型が22.1%・AC型が49.8%・CC型が28.1%の割合で、喫煙・お酒の飲みすぎ・炭水化物のとりすぎがリスクを高めます。

概要

【概要・特徴】 バセドウ病は、自分の免疫が自分の甲状腺を攻撃してしまう「自己免疫性甲状腺疾患」の一種です。甲状腺ホルモンを作るよう指令を受け取る場所に対して抗体が作られ、甲状腺ホルモンが出すぎてしまう病気です。 主な症状には、動悸や手先の震え、汗をかきやすい、体重が減る、筋力が落ちる、だるさ、イライラしやすいなどがあります。 バセドウ病の合併症の一つである「甲状腺中毒性周期性四肢麻痺」(以下、周期性四肢麻痺)は、甲状腺ホルモンがうまくコントロールできていないときに、激しい運動や食べすぎ・飲みすぎをきっかけに起こり、手足が動かなくなる病気です。 症状が重く、血液中のカリウムの値が下がりすぎると、命にかかわる不整脈が起こることがあるため、注意が必要です。 母親がバセドウ病の場合、娘がバセドウ病を発症する確率は通常の約6〜10倍と推定されており、やや遺伝しやすい傾向にあります。(参考リンク1) 関連する遺伝子として、最近の研究から複数の遺伝子が報告されています。その中で、ITM2A遺伝子の近くにあるDNAの一部が、「バセドウ病」や「周期性四肢麻痺」の発症リスクに影響している可能性が高いことがわかっています。 バセドウ病は治療法が確立されているものの、発症するかどうかや、その後の経過を予測することが難しい病気です。 そのため、遺伝子検査で自分の遺伝子タイプを調べて「バセドウ病」や「周期性四肢麻痺」の発症リスクを知ることで、発症の予防や早めの対策に役立つことが期待されます。 また、バセドウ病は長く付き合う病気になる可能性があるため、自分の人生の目標に合わせた向き合い方が、生活の質を高めるためにとても大切です。

【2. 理論的根拠】 韓国の聖ヴィンセント病院と中国の上海交通大学医学院の研究により、遺伝子「ITM2A」の近くにあるDNA領域「rs5912838」の遺伝子型によって、「バセドウ病」と「周期性四肢麻痺」を発症しやすい人がいることがわかりました。(参考リンク2、3) このDNA領域「rs5912838」には、「AA型」、「AC型」、そして「CC型」の3つの遺伝子型があります。 発症しやすさに関わる「A」を2つ持つ「AA型」は「バセドウ病」と「周期性四肢麻痺」を発症しやすい傾向があり、「A」を1つ持つ「AC型」はやや発症しやすい傾向があります。 日本人の遺伝子タイプは、「AC型」が49.8%と最も多く、続いて「CC型」が28.1%、そして「AA型」が最も少なく22.1%です。(参考リンク4) ただし、「AA型」と「AC型」の人が必ず「バセドウ病」や「周期性四肢麻痺」を発症するわけではなく、生活習慣などの環境の影響が重なることで発症する可能性が高くなります。 特にたばこを吸う人は吸わない人に比べて「バセドウ病」を発症しやすく、三大症状の一つである「眼球突出」(目が前に飛び出す症状)の程度が強くなると言われています。 また、「周期性四肢麻痺」は、甲状腺ホルモンが出すぎているときに、激しい運動や飲酒、炭水化物(ご飯・パン・麺類など)のとりすぎによって起こりやすくなります。(参考リンク5) 特に男性の「バセドウ病」患者に多く見られるため、「AA型」と「AC型」の男性は、お酒の飲みすぎや炭水化物のとりすぎを避けることが望ましいとされています。 したがって、発症リスクを高める食事や喫煙を避け、よい生活環境を選ぶことが、発症リスクを減らすために大切です。 早い段階で「バセドウ病」と「周期性四肢麻痺」の発症リスクを知っておくことで、生活や環境の面でリスクに備えることができます。

【3. メカニズム】 「ITM2A」という遺伝子は、ヒトの24の染色体のうち、X染色体にあります。この遺伝子は、甲状腺や卵巣だけでなく、単球やリンパ球といった免疫に関わる細胞でも働いていて、免疫細胞が育ったり活発になったりすることに関する大切な情報を持っています。 しかし、「ITM2A」が「バセドウ病」や「周期性四肢麻痺」にどのように関わるのか、直接のしくみはまだわかっていません。 ただし、遺伝子「ITM2A」の働きを調節するDNA領域「rs5912838」で「AA型」を持つ人は、単球(白血球の一種)で遺伝子「ITM2A」の働きをうまく調節できず、細菌やウイルスに感染した後に甲状腺への免疫の異常が起こり、自己免疫の病気である「バセドウ病」を発症しやすくなる可能性があります。(参考リンク6) さらに、「周期性四肢麻痺」の発症には、炭水化物のとりすぎや運動などで体に負担がかかり、カリウムが血液中から細胞の中へ移動することが関わっていると考えられています。 以上のことから、DNA領域「rs5912838」は、「バセドウ病」や「周期性四肢麻痺」の発症に深く関係しており、注目されているDNA領域の一つです。

【4. 参考文献】

バセドウ病とは何か

バセドウ病は、自己免疫性甲状腺疾患の一種です。甲状腺を刺激するホルモンの受け取り口(受容体)に対して、自分を攻撃する抗体(自己抗体)が作られ、甲状腺ホルモンが出すぎてしまう病気です。甲状腺ホルモンが出すぎると、全身のエネルギー消費が活発になりすぎて、動悸・手指の震え・汗をかきやすい・体重が減る・筋力が落ちる・だるさ・イライラしやすいなどの症状が出ます。

バセドウ病の原因とメカニズム

バセドウ病は、免疫が甲状腺を刺激する抗体を作ってしまうことで発症します。主な発症のしくみは以下の通りです。

  • 自己免疫の異常:免疫が甲状腺を刺激するホルモンの受け取り口(受容体)に対する自己抗体を作ってしまいます。
  • 甲状腺ホルモンが出すぎる:自己抗体が甲状腺を刺激するホルモンの受容体を刺激し続け、甲状腺ホルモンが出すぎてしまいます。
  • 遺伝子の影響:遺伝子ITM2Aの近くにあるDNA領域rs5912838が発症リスクに関わります。

母親がバセドウ病の場合、娘がバセドウ病を発症する確率は通常の約6〜10倍と推定されており、遺伝子の影響が発症に関わっていることがわかります。

バセドウ病の主な症状

バセドウ病には以下の三大症状があります。

  • 甲状腺の腫れ(甲状腺全体が腫れる)
  • 眼球突出(目が前に飛び出す症状)
  • 頻脈(脈が速くなる)・動悸

その他の症状として、手指の震え・汗が増える・体重が減る・筋力が落ちる・だるさ・イライラしやすい・下痢などがあります。

バセドウ病の合併症:甲状腺中毒性周期性四肢麻痺とは

甲状腺中毒性周期性四肢麻痺(以下、周期性四肢麻痺)は、バセドウ病の合併症の一つです。甲状腺ホルモンがうまくコントロールできていないときに、激しい運動や食べすぎ・飲みすぎをきっかけに起こり、手足が動かなくなる病気です。

  • カリウムの値が下がりすぎると命にかかわる不整脈が起こるおそれがあります。
  • 男性のバセドウ病患者に多く見られます。
  • 激しい運動・飲酒・炭水化物のとりすぎが発症のきっかけになります。

バセドウ病の治療法の比較

治療法 概要 特徴
抗甲状腺薬(甲状腺の働きをおさえる薬) 甲状腺ホルモンが作られるのをおさえます。 最初に選ばれる治療です。長く飲み続ける必要があります。
放射性ヨウ素治療(放射線を出すヨウ素を飲む治療) 甲状腺の組織を放射線で壊す 手術は不要・効果が出るのは数ヶ月後
手術(甲状腺を取り除く) 甲状腺を手術で取り除きます。 効果がすぐ出ます。手術後は甲状腺ホルモンを薬で補う必要があります。

遺伝子とバセドウ病の関連

DNA領域rs5912838と発症リスクの関係

韓国の聖ヴィンセント病院と中国の上海交通大学医学院の共同研究により、遺伝子ITM2Aの近くにあるDNA領域rs5912838が、バセドウ病と周期性四肢麻痺の発症リスクに関係していることがわかりました。

  • rs5912838にはAA・AC・CCの3つの遺伝子型が存在します。
  • 発症しやすさに関わる「A」を2つ持つAA型はバセドウ病・周期性四肢麻痺を発症しやすいです。
  • AC型はやや発症しやすい傾向があります。
  • CC型は比較的リスクが低いです。

ただし、AA型やAC型の人が必ずバセドウ病や周期性四肢麻痺を発症するわけではなく、生活習慣などの環境の影響が重なることで発症リスクが高まります。

日本人における遺伝子型分布(rs5912838)

遺伝子型 日本人の割合 世界の割合
AA型 22.1%(26.3%) 18.8%
AC型 49.8%(49.9%) 49.1%
CC型 28.1%(23.7%) 32.0%

リスクを高める環境の影響

バセドウ病・周期性四肢麻痺の発症リスクを高める主な環境の影響は以下の通りです。

  • 喫煙:たばこを吸わない人と比べてバセドウ病の発症リスクが上がり、三大症状の「眼球突出」の程度が強くなります。
  • 激しい運動:周期性四肢麻痺が起こるきっかけになります。
  • 飲酒・炭水化物のとりすぎ:周期性四肢麻痺の発症リスクを上げます(男性患者で特に目立ちます)。

AA型・AC型の男性は、お酒の飲みすぎや炭水化物のとりすぎを避けることがすすめられています。

メカニズム:遺伝子ITM2Aと免疫の異常の関係

遺伝子ITM2Aはヒトの24の染色体のうちX染色体にあります。甲状腺や卵巣のほか、単球やリンパ球といった免疫に関わる細胞でも働いていて、免疫細胞が育ったり活発になったりすることに関する大切な情報を持っています。

DNA領域rs5912838のAA型で考えられているしくみは以下の通りです。

  • ITM2Aの働きの調節がうまくいかない → 単球(白血球の一種)でITM2Aの働きを調節できなくなります。
  • 細菌・ウイルスに感染した後 → 甲状腺への免疫の異常が起こります。
  • 自己免疫の反応が活発になる → バセドウ病を発症します。

周期性四肢麻痺の発症には、炭水化物のとりすぎや運動で体に負担がかかり、カリウムが血液中から細胞の中へ異常に移動することが関わっています。

DNA領域rs5912838において日本で各遺伝子タイプを持つ人の割合

  • AA
    26.3%
  • AC
    49.9%
  • CC
    23.7%

DNA領域rs5912838において世界で各遺伝子タイプを持つ人の割合

  • AA
    18.8%
  • AC
    49.1%
  • CC
    32.0%

検査の理論的根拠

代表的なDNA領域:バセドウ病

バセドウ病 に最も強く影響するDNA領域は、rs5912838です。 日本における遺伝子タイプの割合は下記のとおりです。

  • AA
    26.3 %
  • AC
    49.9 %
  • CC
    23.7 %

検査の根拠

韓国の聖ヴィンセント病院と中国の上海交通大学医学院の研究により、バセドウ病と周期性四肢麻痺のかかりやすさが遺伝子と関係していることがわかりました。rs5912838領域にはAとCの2種類があり、発症しやすさに関わる「A」を持つ人はバセドウ病・周期性四肢麻痺のリスクが高い傾向にあります。日本人ではAA型が26.3%、AC型が49.9%、CC型が23.7%の割合です。

今回調査したDNA領域

細胞の中にあるDNAマップのイメージ図

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関連遺伝子

関連遺伝子 CTHRC1P1

よくある質問

Q1. バセドウ病とは何ですか?

バセドウ病は、自己免疫性甲状腺疾患の一種で、甲状腺を刺激するホルモンの受け取り口(受容体)に対する自己抗体が作られ、甲状腺ホルモンが出すぎてしまう病気です。主な症状は動悸・手指の震え・汗をかきやすい・体重が減る・筋力が落ちるなどで、三大症状として甲状腺の腫れ・眼球突出・脈が速くなる(頻脈)があります。

Q2. バセドウ病の原因は何ですか?

主な原因は自己免疫の異常です。免疫が甲状腺を刺激するホルモンの受け取り口(受容体)に対する抗体を作り、甲状腺ホルモンが出すぎてしまいます。遺伝子ITM2Aの近くにあるDNA領域rs5912838の「A」が、発症しやすさに関わる要因として見つかっています。

Q3. バセドウ病は遺伝しますか?

バセドウ病には遺伝しやすい体質があります。母親がバセドウ病の場合、娘の発症確率は通常の約6〜10倍と推定されています。DNA領域rs5912838のAA型を持つ人は発症リスクが高い傾向にあります。

Q4. バセドウ病の合併症「周期性四肢麻痺」とは何ですか?

甲状腺中毒性周期性四肢麻痺は、甲状腺ホルモンがうまくコントロールできていないときに、激しい運動や食べすぎ・飲みすぎをきっかけに起こり、手足が動かなくなる病気です。カリウムの値が下がりすぎると命にかかわる不整脈が起こるおそれがあり、男性のバセドウ病患者に多く見られます。

Q5. 遺伝子検査でバセドウ病のなりやすさは分かりますか?

DNA領域rs5912838の遺伝子型を調べることで、バセドウ病と周期性四肢麻痺の発症リスクの傾向を知ることができます。日本人ではAA型が22.1%、AC型が49.8%の割合で、発症しやすさに関わる「A」を持つ人はリスクが高い傾向にあることが研究でわかっています。

参考文献