HDLレベル
概要
高密度リポタンパク(HDL)コレステロールは、「善玉コレステロール」と呼ばれ、心血管健康に重要な役割を果たします。HDLは血流中の他のコレステロールを体外に運び出すことで、血管の健康をサポートします。
HDLレベルとアポリポ蛋白C1(ApoA1)の測定は、個々の脂質プロファイルを評価し、心疾患や脳卒中のリスクを把握するために役立ちます。
ApoA1は、HDL粒子の主成分であり、体内のコレステロールを肝臓に運ぶのに重要です。これにより、ApoA1は血管のプラーク蓄積や炎症を防ぐのに役立つ抗動脈硬化プロセスに関与します。
HDLコレステロールが高いと、心血管疾患のリスクが低くなる傾向があります。これは、HDLがコレステロールを血管から肝臓に排出して処理する能力に基づいています。
そのため、HDLレベルとApoA1の測定は、逆コレステロール輸送の効率性に関する洞察を提供します。
臨床的には、これらの数値の把握は心疾患の治療と予防に役立ちます。HDLレベルを上昇させ、心血管の結果を改善するための治療を施す際に重要な情報源となります。
高い値は保護的と見なされ、低い値はリスク因子として考えられ、適切な対策やライフスタイルの調整が必要です。
モントリオール心臓研究所のLettreらの研究により、HDLのレベルがrs7323893というDNA領域と関連していることが明らかになりました。
このDNA領域にはTT,TC,CCの3つの遺伝子型があり、Tを持つ遺伝子型の人は、HDLのレベルが高い傾向にあることが分かりました。
遺伝子領域rs7323893において日本で各遺伝タイプを持つ人の割合
- TT100.00%
- TC0.00%
- CC0.00%
遺伝子領域rs7323893において世界で各遺伝タイプを持つ人の割合
- TT98.64%
- TC1.36%
- CC0.00%
遺伝子領域rs77947762において日本で各遺伝タイプを持つ人の割合
- GG100.00%
- GA0.00%
- AA0.00%
遺伝子領域rs77947762において世界で各遺伝タイプを持つ人の割合
- GG96.85%
- GA3.13%
- AA0.03%
遺伝子領域rs99780において日本で各遺伝タイプを持つ人の割合
- CC44.66%
- CT44.34%
- TT11.00%
遺伝子領域rs99780において世界で各遺伝タイプを持つ人の割合
- CC39.83%
- CT46.56%
- TT13.61%
遺伝子領域rs9987289において日本で各遺伝タイプを持つ人の割合
- AA0.01%
- AG1.90%
- GG98.09%
遺伝子領域rs9987289において世界で各遺伝タイプを持つ人の割合
- AA0.84%
- AG16.68%
- GG82.48%
遺伝子領域rs149615216において日本で各遺伝タイプを持つ人の割合
- CC100.00%
- CT0.00%
- TT0.00%
遺伝子領域rs149615216において世界で各遺伝タイプを持つ人の割合
- CC98.54%
- CT1.45%
- TT0.01%
遺伝子領域rs41292412において日本で各遺伝タイプを持つ人の割合
- CC100.00%
- CT0.00%
- TT0.00%
遺伝子領域rs41292412において世界で各遺伝タイプを持つ人の割合
- CC98.48%
- CT1.51%
- TT0.01%
検査の理論的根拠
体表的なDNA領域:HDLレベル
体表的なDNA領域:HDLレベル
HDLレベル に最も強く影響する遺伝子領域は、rs7323893です。 日本における同型の遺伝子タイプの分布は下記のとおりです。
-
TT
100.0% -
TC
0.0% -
CC
0.0%
他に、HDLレベルに関わる遺伝子領域はrs77947762があります。 日本における同型の遺伝子タイプの分布は下記のとおりです
-
GG
100.0% -
GA
0.0% -
AA
0.0%
他に、HDLレベルに関わる遺伝子領域はrs99780があります。 日本における同型の遺伝子タイプの分布は下記のとおりです
-
CC
44.7% -
CT
44.3% -
TT
11.0%
他に、HDLレベルに関わる遺伝子領域はrs9987289があります。 日本における同型の遺伝子タイプの分布は下記のとおりです
-
AA
0.0% -
AG
1.9% -
GG
98.1%
他に、HDLレベルに関わる遺伝子領域はrs149615216があります。 日本における同型の遺伝子タイプの分布は下記のとおりです
-
CC
100.0% -
CT
0.0% -
TT
0.0%
他に、HDLレベルに関わる遺伝子領域はrs41292412があります。 日本における同型の遺伝子タイプの分布は下記のとおりです
-
CC
100.0% -
CT
0.0% -
TT
0.0%
検査の根拠
モントリオール心臓研究所のLettreらの研究により、HDLのレベルが遺伝子と関連していることが明らかになりました。人間のゲノムには、rs7323893という領域が存在し、その領域の遺伝子にはTとCの2種類の変異があります。Tタイプの変異を持つ人は、HDLのレベルが高い傾向にあることが分かりました。
今回調査したDNA領域
細胞中に存在するDNAマップの模式図
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関連遺伝子
| 関連遺伝子 | TET1P1 |
|---|---|
| 関連遺伝子 | LINC01630 |
| 関連遺伝子 | FADS2 |
| 関連遺伝子 | PPP1R3B-DT |
| 関連遺伝子 | LIPG |
| 関連遺伝子 | MIR3591 |
参考文献
-
関連遺伝子 TET1P1
- 参考リンク : 2011 Feb、Guillaume Lettreと研究グループがPLoS Genet に発表したGenome-wide association study of coronary heart disease and its risk factors in 8,090 African Americans: the NHLBI CARe Projectという研究によるとHDLレベル に関連するrs7323893の関連性が認められました。
-
関連遺伝子 LINC01630
- 参考リンク : 2020 Mar、Tom G Richardsonと研究グループがPLoS Med に発表したEvaluating the relationship between circulating lipoprotein lipids and apolipoproteins with risk of coronary heart disease: A multivariable Mendelian randomisation analysisという研究によるとHDLレベル に関連するrs77947762の関連性が認められました。
-
関連遺伝子 FADS2
- 参考リンク : 2021 Dec、Ruifang Li-Gaoと研究グループがDiabetes に発表したGenetic Studies of Metabolomics Change After a Liquid Meal Illuminate Novel Pathways for Glucose and Lipid Metabolismという研究によるとHDLレベル に関連するrs99780の関連性が認められました。
-
関連遺伝子 PPP1R3B-DT
- 参考リンク : 2016 Jun、Symen Ligthartと研究グループがBMC Genomics に発表したBivariate genome-wide association study identifies novel pleiotropic loci for lipids and inflammationという研究によるとHDLレベル に関連するrs9987289の関連性が認められました。
-
関連遺伝子 LIPG
- 参考リンク : 2021 Dec、Ruifang Li-Gaoと研究グループがDiabetes に発表したGenetic Studies of Metabolomics Change After a Liquid Meal Illuminate Novel Pathways for Glucose and Lipid Metabolismという研究によるとHDLレベル に関連するrs149615216の関連性が認められました。
-
関連遺伝子 MIR3591
- 参考リンク : 2021 Oct、Saori Sakaueと研究グループがNat Genet に発表したA cross-population atlas of genetic associations for 220 human phenotypesという研究によるとHDLレベル に関連するrs41292412の関連性が認められました。
-
関連遺伝子 MIR3591
- 参考リンク : 2021 Dec、Sarah E Grahamと研究グループがNature に発表したThe power of genetic diversity in genome-wide association studies of lipidsという研究によるとHDLレベル に関連するrs41292412の関連性が認められました。