反射神経の良さ

概要

注意力とは、日常生活において不可欠な能力であり、一つのことに集中し続ける力を指します。注意力の低下は、仕事、学習、スポーツなど、多くの状況で生産性の低下や事故などのトラブルにつながる可能性があります。
逆に、高い注意力は、スポーツや運転、ゲーム、討論など、素早く状況に対応する必要のある業務に適しているとされています。
最近の研究では、人間のDNAが注意力に一定の影響を与えることが分かっています。スペインの環境疫学研究センターによると、PID1遺伝子の特定のタイプは、注意機能に大きな影響を与えることが報告されています。
遺伝子検査であなた自身の遺伝子タイプを調べることで、遺伝的な注意力の傾向を確認することができます。

理論的根拠

スペインの環境疫学研究センターによると、注意機能とPID1遺伝子の特定タイプとの関連性があることが分かりました。注意機能に関わるPID1遺伝子の特定領域の名前は「rs4321351」と呼ばれています。
「rs4321351」という領域には、GG、AG、AAと3つの遺伝子型があり、AAタイプの遺伝子型を持つ人は注意力が高く、AGタイプの人はやや注意力が高い傾向があることも明らかになりました。
また、「rs4321351」は、ＨＲＴという刺激に対する反応の速さを表すテストと脳の画像解析による注意機能システムを形成している部位(前頭葉大脳基底核)とが関連していました。(参考リンク1)
このように、注意力に関する遺伝的な傾向を科学的に確認することで、注意力に合わせた対処が可能になります。例えば、注意力が散漫になりやすいAの遺伝子型を持つ人の傾向として、予定が立てられなかったり、整理ができなかったりします。
そこで、注意力を高めるためには優先順位をつけ予定を組むようにしたり、整理を意識してすることで余計な事に意識が向かないようにする工夫ができます。
このように、適した学習場所や方法を選択することで、大人であれば仕事環境、子供であれば学習環境を工夫することができます。注意力に関する遺伝的な傾向を考慮することで、より効果的な学習や仕事が可能になるでしょう。

作用機序

注意力に関係するPID1遺伝子は、ヒトの24の染色体の中で、2番染色体に位置しています。この遺伝子は、脳や副腎、脂肪組織に多く存在し、インスリンシグナルというインスリンというホルモン刺激によって、細胞内にブドウ糖を取り込む作用に関与しています。
アルツハイマー病と呼ばれる脳の糖尿病では、注意力の低下が見られ、アルツハイマー病患者の脳では、PID1の発現が少ないことがわかっています。
また、アルツハイマー病と注意欠陥・多動性障害（ADHD）患者の注意力が関連している可能性が示唆されています。(参考リンク2)
このことから、PID1遺伝子は糖代謝と神経機能に関与し、注意力に影響を与える可能性があると考えられています。
日本人における「rs4321351」の遺伝子タイプの割合は、GGが2.2％、GAが24.9％、AAが72.9％です。(参考リンク3)
このように、「rs4321351」は、注意力といった才能に関係し、注目されているSNPの一つです。

体表的なDNA領域：反射神経の良さ

検査の根拠

細胞中に存在するＤＮＡマップの模式図