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高ホモシステイン血症

高ホモシステイン血症のイメージ画像
  • 高ホモシステイン血症は、血液中のホモシステインが15μmol/L以上に上がる状態で、心臓や血管の病気のリスクを高めます。
  • DNA領域rs2851391のT型変異を持つ人は発症リスクが高い傾向にあることが研究で分かっています。
  • 日本人でTT型の人の割合は15.5%で、ビタミンB群の摂取が予防に役立つとされています。

概要

【疾患の概要】 高ホモシステイン血症は、ホモシステインという物質が血液の中に多くなりすぎている状態です。 ホモシステインは、体の中でメチオニンという必須アミノ酸(食べ物からとる必要があるアミノ酸)から作られる、硫黄をふくむアミノ酸です。ふつうはすぐに別の物質に変えられます。

【治療と注意点】 しかし、高ホモシステイン血症では、遺伝子の変異、ビタミンB6、B9(葉酸)、B12の不足、腎臓病、喫煙、運動不足など、さまざまな原因でこの変化がうまく進まず、ホモシステインが血液の中にたまっていきます。 ホモシステインの値が上がると、血液が固まりやすくなるため、心臓発作や脳卒中、深部静脈血栓症、肺塞栓症など、心臓や血管の病気のリスクが高まります。 さらに、ホモシステインが骨に影響することで、骨折や骨粗しょう症のリスクも高まる可能性があります。 ホモシステインの値は血液検査で調べられます。 この病気のケアでは、ホモシステインの値を下げるためにビタミンB群のサプリメントが使われます。

【遺伝子の影響】 エラスムス医療センターのvan Meursらの研究により、高ホモシステイン血症になるリスクがrs2851391というDNA領域と関係していることが分かりました。 このDNA領域にはTT、TC、CCの3つの遺伝子型があり、Tを持つ遺伝子型の人は、高ホモシステイン血症のリスクが高い傾向にあることが分かりました。

高ホモシステイン血症とは何か

高ホモシステイン血症とは、必須アミノ酸のメチオニンから作られるホモシステインが、血液の中で高い値(15μmol/L以上)になる状態です。ホモシステインはふつう、体の中でビタミンB群の働きによってすぐに別の物質に変えられます。しかし、この流れがうまく進まないと血液の中にたまり、血管の内側の壁を傷つけたり、血液を固まりやすくしたりします。

高ホモシステイン血症の原因とリスクを高める要因

高ホモシステイン血症にはいくつかの原因があります。主な原因は次のとおりです。

  • 遺伝子の影響:MTHFR遺伝子やCBS遺伝子の変異によって、ホモシステインを変える酵素の働きが弱くなります。
  • ビタミンB群の不足:ビタミンB6・B9(葉酸)・B12はホモシステインを別の物質に変えるのに欠かせず、不足するとたまりやすくなります。
  • 腎臓病:腎臓の働きが落ちて、ホモシステインを体の外に出しにくくなります。
  • 喫煙:ビタミンB6・B12を使ってしまい、ホモシステインの変化をじゃまします。
  • 運動不足:体全体の働きが落ちて、ホモシステインがたまりやすくなります。

高ホモシステイン血症による健康リスク

ホモシステインの値が上がると血液が固まりやすくなり、次の病気のリスクが高まります。

  • 心臓発作(心筋梗塞):心臓の血管(冠動脈)の動脈硬化を進め、血のかたまり(血栓)ができやすくなります。
  • 脳卒中:脳の血管に血のかたまりができるリスクを高めます。
  • 深部静脈血栓症:足の奥にある静脈に血のかたまりができます。
  • 肺塞栓症:肺の血管が血のかたまりでつまる、命にかかわる状態です。
  • 骨折・骨粗しょう症:ホモシステインが骨のコラーゲンのつながりをじゃまし、骨を弱くします。

ホモシステイン値の分類と基準値

分類 ホモシステイン値(μmol/L) リスクレベル
正常 5〜15 低リスク
軽度高値 15〜30 中リスク
中くらいの高値 30〜100 高リスク
重度高値 100以上 非常に高リスク

高ホモシステイン血症の診断と予防

ホモシステインの値は血液検査で調べられます。予防や治療には、次の方法が役立ちます。

  • ビタミンB9(葉酸):1日400μg以上とることがすすめられています。緑黄色野菜・レバー・豆類にふくまれます。
  • ビタミンB12:魚介類・肉類・乳製品から摂取
  • ビタミンB6:鶏肉・バナナ・じゃがいもに含まれます。
  • 禁煙:喫煙でビタミンB群が使われてしまうのを防ぎます。
  • 適度な運動:体の働きを保ち、よくするのに役立ちます。

遺伝子と高ホモシステイン血症の関連

DNA領域rs2851391と発症リスクの関係

エラスムス医療センターのvan Meursらの研究(American Journal of Clinical Nutrition, 2013年9月)により、DNA領域rs2851391が高ホモシステイン血症になるリスクと関係していることが分かりました。

  • rs2851391にはTT・TC・CCの3つの遺伝子型があります。
  • T型変異を持つTT型は高ホモシステイン血症を発症しやすいです。
  • TC型はやや発症しやすい傾向があります。
  • CC型は相対的に低リスク

ただし、TT型やTC型の人が必ず発症するわけではなく、食事・生活習慣・腎臓の働きなど、遺伝子以外の要因が重なることで発症しやすくなります。

日本人における遺伝子型分布(rs2851391)

遺伝子型 日本人の割合 世界の割合
TT型 15.5% 19.1%
TC型 47.7% 49.2%
CC型 36.6% 31.6%

しくみ:CBS遺伝子とホモシステインの変化

CBS(シスタチオニンβ合成酵素)遺伝子は、ホモシステインをシスタチオニンという物質に変える酵素の設計図を持っています。

  • CBS遺伝子の変異 → ホモシステインをシスタチオニンに変える働きが弱くなります。
  • 変える働きが低下 → 血液中のホモシステインの値が上がります。
  • ホモシステインがたまる → 血管の内側の細胞が傷つき、体をさびつかせる「酸化ストレス」が増えます。
  • 血管損傷 → 動脈硬化が進み、血のかたまりができやすくなります。

DNA領域rs2851391で、日本でそれぞれの遺伝子型を持つ人の割合

  • TT
    15.5%
  • TC
    47.7%
  • CC
    36.6%

DNA領域rs2851391で、世界でそれぞれの遺伝子型を持つ人の割合

  • TT
    19.1%
  • TC
    49.2%
  • CC
    31.6%

検査の科学的な根拠

代表的なDNA領域:高ホモシステイン血症

高ホモシステイン血症 に最も強く影響するDNA領域は、rs2851391です。 日本でのそれぞれの遺伝子型の人の割合は下記のとおりです。

  • TT
    15.5 %
  • TC
    47.7 %
  • CC
    36.6 %

検査の根拠

エラスムス医療センターのvan Meursらの研究により、高ホモシステイン血症になるリスクが遺伝子と関係していることが分かりました。rs2851391領域にはTとCの2種類の変異があり、T型の変異を持つ人は高ホモシステイン血症のリスクが高い傾向にあります。日本人ではTT型が15.5%、TC型が47.7%、CC型が36.6%で、世界平均とくらべてTT型の人の割合がやや低いのが特徴です。

今回調査したDNA領域

細胞の中にあるDNAマップの模式図

Image
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関連遺伝子

関連遺伝子 CBS

よくある質問

Q1. 高ホモシステイン血症とは何ですか?

高ホモシステイン血症とは、必須アミノ酸のメチオニンから作られるホモシステインが、血液の中で高い値(15μmol/L以上)になる状態です。ビタミンB6・B9(葉酸)・B12の不足や遺伝子の影響によって、ホモシステインがうまく変えられず、血液の中にたまります。心臓や血管の病気、骨粗しょう症のリスクを高める要因になります。

Q2. 高ホモシステイン血症の原因は何ですか?

主な原因は遺伝子変異(CBS遺伝子・MTHFR遺伝子)とビタミンB群(B6・B9・B12)の不足です。腎臓病で体の外に出しにくくなること、喫煙でビタミンが使われてしまうこと、運動不足で体の働きが落ちることも原因になります。DNA領域rs2851391のT型の変異が、リスクを高める要因として見つかっています。

Q3. 高ホモシステイン血症になるとどのようなリスクがありますか?

ホモシステインの値が高いと血液を固まりやすくし、心臓発作・脳卒中・深部静脈血栓症・肺塞栓症のリスクを高めます。骨のコラーゲンのつながりをじゃまし、骨折・骨粗しょう症のリスクを高めることにも関わります。もの忘れなど認知機能の低下との関係も報告されています。

Q4. 遺伝子検査で高ホモシステイン血症のリスクは分かりますか?

DNA領域rs2851391の遺伝子型を調べることで、高ホモシステイン血症になりやすいかどうかの傾向を知ることができます。T型の変異(TT型・TC型)を持つ人はリスクが高い傾向にあることが、エラスムス医療センターの研究で分かっています。

Q5. 高ホモシステイン血症の予防法はありますか?

ビタミンB9(葉酸)を1日400μg以上とることがすすめられています。葉酸をふくむ緑黄色野菜・レバー・豆類を積極的に食べ、ビタミンB6・B12もあわせてとります。禁煙・適度な運動、そして定期的な血液検査でホモシステインの値を確認することが役立ちます。

参考文献