免疫力強さレベル
- 免疫力強さレベルはリンパ球の数とLRRC15をもとに免疫の状態を表す目安で、B細胞・T細胞・ナチュラルキラー細胞が体を守ります。
- DNA領域rs10243593のG型を持つ人は免疫力が高い傾向にあることがケンブリッジ大学の研究で分かりました。
- 日本人でGG型を持つ人の割合は44.6%で、世界平均の27.1%より高いことが特徴です。
概要
【概要】 リンパ球の数と、ロイシンリッチリピート含有タンパク質15(LRRC15)は、私たちの体を守る免疫のしくみで大切な役割をもっています。 リンパ球は白血球の一種で、免疫のはたらきの中心となる細胞です。
【主な特徴と影響】 リンパ球は主にB細胞、T細胞、ナチュラルキラー細胞の3種類に分けられ、体に入ってきたウイルスやアレルギーの原因物質(アレルゲン)に立ち向かいます。
【注意点】 そのため、リンパ球の数はその人の免疫の状態を知るための大切な目安になります。 一方でLRRC15は、免疫細胞の移動に関わっている可能性があるタンパク質ですが、くわしいしくみはまだ分かっていません。 リンパ球の数の増減は、その人の免疫の強さと関係しています。 リンパ球が多いと免疫が活発にはたらき、少ないと免疫が弱まっている(免疫不全)場合があります。 リンパ球の数とLRRC15の量を測って免疫の状態を知ることは、自己免疫疾患(免疫が自分の体を攻撃してしまう病気)の診断で大切です。
【遺伝子との関係】 ケンブリッジ大学のAstleらの研究により、免疫力がrs10243593というDNA領域と関係していることが分かりました。 このDNA領域にはGG、AG、AAの3つの遺伝子型があり、Gを持つ遺伝子型の人は、免疫力が高い傾向にあることが分かりました。
免疫力強さレベルとは何か
免疫力強さレベルとは、リンパ球の数とロイシンリッチリピート含有タンパク質15(LRRC15)の値をもとに、その人の免疫の状態を表す目安です。リンパ球は白血球の一種で、免疫のはたらきの中心となる細胞です。
免疫力をつくる3つの主な細胞
リンパ球は次の3種類に分けられ、それぞれ違う方法で体を守っています。
| 細胞の種類 | 主な役割 | 対処する対象 |
|---|---|---|
| B細胞 | 抗体(病原体にくっつく物質)をつくります。 | 細菌・ウイルス・毒素 |
| T細胞 | 感染した細胞を直接攻撃 | ウイルス感染細胞・がん細胞 |
| ナチュラルキラー細胞 | 異常な細胞を早めに取り除きます。 | がん細胞・ウイルス感染細胞 |
リンパ球の数の変化が免疫力にあたえる影響
リンパ球の数の増減は、免疫の強さの状態を表します。
- リンパ球の数が多い場合:免疫が活発にはたらき、ウイルスやアレルギーの原因物質から体を守る力が高いです。
- リンパ球の数が少ない場合:免疫が弱まっている(免疫不全)可能性があり、感染症にかかりやすくなります。
LRRC15の役割と免疫力の関係
LRRC15(ロイシンリッチリピート含有タンパク質15)は、免疫細胞の移動に関わっている可能性があるタンパク質です。免疫のはたらきの中で、炎症が起きている場所へ細胞を移動させる役割をもつ可能性がありますが、くわしいしくみはまだ研究中です。
リンパ球の数とLRRC15の量を測って免疫の状態を知ることは、自己免疫疾患(免疫が自分の体を攻撃する病気)の診断や、免疫不全の早期発見で大切です。
遺伝子と免疫力の関係 ― なぜ遺伝子が免疫力に影響するのか
DNA領域rs10243593と免疫力の関係
ケンブリッジ大学のAstleらの研究により、DNA領域rs10243593が免疫力と関係していることが分かりました。
- rs10243593にはGG・AG・AAの3つの遺伝子型があります。
- G型を持つGG型・AG型の人は免疫力が高い傾向にあります。
- AA型は比較的、免疫力が低い傾向があります。
日本人と世界の遺伝子型の割合のくらべ(rs10243593)
| 遺伝子型 | 日本人の割合 | 世界の割合 | 免疫力傾向 |
|---|---|---|---|
| GG型 | 44.6% | 27.1% | 高い |
| AG型 | 44.3% | 49.9% | やや高い |
| AA型 | 11.0% | 22.9% | 標準 |
日本人はGG型を持つ人の割合が44.6%で、世界平均の27.1%より高く、遺伝子の影響で免疫力が高い傾向にある集団である可能性があります。
免疫力に関わる6つのDNA領域
免疫力強さレベルには、rs10243593以外にも5つのDNA領域が関わっています。
| DNA領域 | 日本人で最も多い遺伝子型 | その割合 |
|---|---|---|
| rs10243593 | GG型 | 44.6% |
| rs2766679 | AA型 | 50.6% |
| rs6339 | GG型 | 99.9% |
| rs2472632 | CC型 | 38.4% |
| rs4239702 | TC型 | 49.7% |
| rs9533095 | GG型 | 86.0% |
検査の理論的な根拠
代表的なDNA領域:免疫力強さレベル
免疫力強さレベルに最も強く影響するDNA領域は、rs10243593です。 日本でそれぞれの遺伝子型を持つ人の割合は下記のとおりです。
- GG
44.6 % - GA
44.3 % - AA
11.0 %
ほかに、免疫力強さレベルに関わるDNA領域にはrs2766679があります。 日本でそれぞれの遺伝子型を持つ人の割合は下記のとおりです。
- AA
50.6 % - AG
41.0 % - GG
8.3 %
ほかに、免疫力強さレベルに関わるDNA領域にはrs6339があります。 日本でそれぞれの遺伝子型を持つ人の割合は下記のとおりです。
- GG
99.9 % - GT
0.1%以下 - TT
0.1%以下
ほかに、免疫力強さレベルに関わるDNA領域にはrs2472632があります。 日本でそれぞれの遺伝子型を持つ人の割合は下記のとおりです。
- CC
38.4 % - CA
47.1 % - AA
14.4 %
ほかに、免疫力強さレベルに関わるDNA領域にはrs4239702があります。 日本でそれぞれの遺伝子型を持つ人の割合は下記のとおりです。
- TT
21.3 % - TC
49.7 % - CC
28.9 %
ほかに、免疫力強さレベルに関わるDNA領域にはrs9533095があります。 日本でそれぞれの遺伝子型を持つ人の割合は下記のとおりです。
- GG
86.0 % - GT
13.3 % - TT
0.5 %
検査の根拠
ケンブリッジ大学のAstleらの研究により、免疫力が遺伝子と関係していることが分かりました。rs10243593のDNA領域にはGとAの2種類のタイプがあり、G型を持つ人は免疫力が高い傾向にあります。日本人ではGG型が44.6%、GA型が44.3%、AA型が11.0%で、世界平均とくらべてG型を持つ人が多いのが特徴です。
今回調査したDNA領域
細胞の中にあるDNAマップの模式図
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関連遺伝子
| 関連遺伝子 | RN7SL496P |
|---|---|
| 関連遺伝子 | ZNF217 |
| 関連遺伝子 | NTRK1 |
| 関連遺伝子 | LGR4 |
| 関連遺伝子 | CD40 |
| 関連遺伝子 | LINC02341 |
よくある質問
Q1. 免疫力強さレベルとは何ですか?
免疫力強さレベルとは、リンパ球の数とLRRC15の値をもとに、その人の免疫の状態を表す目安です。リンパ球はB細胞・T細胞・ナチュラルキラー細胞に分けられ、ウイルスやアレルギーの原因物質から体を守ります。リンパ球の数が十分にあるときは、免疫が活発にはたらいていることを表します。
Q2. 免疫力と遺伝子にはどのような関係がありますか?
ケンブリッジ大学のAstleらの研究により、DNA領域rs10243593のG型を持つ人は免疫力が高い傾向にあることが分かりました。日本人でGG型を持つ人の割合は44.6%で、世界平均の27.1%より高くなっています。
Q3. リンパ球数が多いとどうなりますか?
リンパ球の数が十分にある場合、B細胞・T細胞・ナチュラルキラー細胞が活発にはたらきし、ウイルスや細菌から体を守る力が高い状態です。ただし、増えすぎると自己免疫疾患(免疫が自分の体を攻撃してしまう病気)が起こりやすくなるため、ちょうどよい範囲であることが大切です。
Q4. LRRC15とは何ですか?免疫力とどう関係しますか?
LRRC15(ロイシンリッチリピート含有タンパク質15)は、免疫細胞の移動に関わっている可能性があるタンパク質です。炎症が起きている場所へ細胞を移動させる役割をもつ可能性がありますが、くわしいしくみはまだ研究中です。
Q5. 免疫力を高めるために遺伝子検査は役に立ちますか?
DNA領域rs10243593の遺伝子型を調べることで、自分の遺伝子による免疫力の傾向を確認できます。GG型やAG型の人はG型を持っていて、免疫力が高い傾向にあります。検査結果をもとに、自分の体質に合った健康管理や、免疫力を保つための工夫を考えることができます。
参考文献
- 参考リンク1 : 2016 Nov., William J Astle, Cell
- 参考リンク2 : 2020 Sep., Dragana Vuckovic, Cell
- 参考リンク3 : 2020 Sep., Ming-Huei Chen, Cell
- 参考リンク4 : 2021 Nov., Maik Pietzner, Science
- 参考リンク5 : 2020 Oct., Valeria Orrù, Nat Genet