炎症
- 炎症は白血球・プロインターロイキン16・CD40がお互いに関わり合って起こる免疫の反応で、感染やけがから体を守る働きをします。
- DNA領域rs1564641のA型変異を持つ人は炎症のリスクが高い傾向にあることがカロリンスカ研究所の研究で分かっています。
- 適切な食事・運動・ストレス管理により長く続く炎症のリスクを減らせます。
概要
【疾患の概要】 白血球の数、プロインターロイキン16というタンパク質の量、そしてCD40というタンパク質の測定値は、お互いに複雑に関わり合い、「炎症」と呼ばれる体の反応に影響します。
【主な特徴と影響】 白血球は免疫(体を守るしくみ)の一部で、細菌やウイルスなどの侵入者と戦う大切な細胞です。 白血球の数の変化は免疫の働き具合を表す目安で、増えたり減ったりしているときは炎症が起きていることがあります。
【治療と注意点】 プロインターロイキン16は、免疫の働きを調整する情報伝達物質(サイトカイン)のもとになる物質です。 これが増えると、特定の免疫のしくみが働き出し、炎症に関わります。 CD40は免疫細胞の表面にあるタンパク質で、免疫の働きをスタートさせるのに欠かせません。 CD40の測定値は、免疫がどれくらい活発か、炎症が起こりやすいかを表します。 これらをまとめて見ることで、免疫と炎症について全体的な情報が得られます。 これらの数値が高い場合は免疫の反応が強まっていると考えられ、さまざまな炎症の状態の診断や治療に役立ちます。
【遺伝的リスク】 このDNA領域にはAA、AG、GGの3つの遺伝子型があり、Aを持つ遺伝子型の人は、炎症のリスクが高い傾向にあることが分かりました。
炎症とは何か
炎症とは、白血球・プロインターロイキン16・CD40がお互いに関わり合って起こる免疫の反応で、感染やけが(組織の損傷)から体を守る働きをしています。
炎症のメカニズムと3つの主な要素
炎症には以下の3つの要素が組み合わさって関わります。
- 白血球:免疫の中心となる細胞で、細菌やウイルスなどの侵入者と戦う役割を持ちます。白血球の数の増減は免疫の働き具合の目安になります。
- プロインターロイキン16:免疫の働きを調整する情報伝達物質(サイトカイン)のもとになる物質です。これが増えると特定の免疫のしくみが働き出し、炎症に直接つながります。
- CD40:免疫細胞の表面にあるタンパク質です。免疫の働きをスタートさせるのに欠かせず、CD40の測定値は免疫の活発さと炎症反応の強さを表します。
炎症の原因と分類
炎症は起こるしくみによって、以下の3つに分けられます。
- 感染による炎症:細菌・ウイルス・カビ(真菌)などの病原体による感染が原因です。
- 損傷による炎症:けが・やけど・化学物質による組織の損傷がきっかけです。
- 自己免疫による炎症:免疫が自分の体の組織を攻撃することで起こります。
急性炎症と慢性炎症の違い
| 比較項目 | 急性炎症 | 慢性炎症 |
|---|---|---|
| 持続期間 | 数時間〜数日 | 数週間〜数年 |
| 主な原因 | 感染・けが | 自己免疫・長く続く刺激 |
| 主な細胞 | 好中球(白血球の一種) | マクロファージ・リンパ球 |
| 症状 | 赤み・はれ・熱・痛み | 組織が壊れ、硬くなります(線維化)。 |
| 回復の見通し | 完全に治ることが期待できます。 | 長く続く病気(慢性疾患)のリスクが上がります。 |
炎症の5つの代表的なサイン
炎症には以下の5つの代表的なサイン(ケルススが挙げた4つのサイン+ガレノスが追加した1つ)があります。
- 発赤(Rubor):血管が広がることで、その部分が赤くなります。
- 腫脹(Tumor):血管から水分がしみ出しやすくなることで起こるむくみです。
- 熱感(Calor):血の流れが増えることで、その部分の温度が上がります。
- 疼痛(Dolor):炎症を起こす物質による痛みの刺激
- 機能障害(Functio laesa):炎症が起きた部分の働きが落ちます。
炎症の予防法
長く続く炎症(慢性炎症)のリスクを減らすために、以下の生活習慣がすすめられます。
- 炎症をおさえる食事:オメガ3脂肪酸(魚の油・亜麻仁油)、野菜・果物を中心とした食事です。
- 適度な運動:週150分以上の、ほどよい強さの有酸素運動です。
- 十分な睡眠:1日7〜8時間の質の高い睡眠
- ストレス管理:瞑想・深呼吸などによるストレスの軽減
- 禁煙・お酒を控える:喫煙は血液中の炎症の目印(C反応性タンパク)を上げる原因になります。
遺伝子と炎症の関連
DNA領域rs1564641と炎症リスクの関係
カロリンスカ研究所のFolkersenらの研究(1)により、DNA領域rs1564641が炎症の起こりやすさと関係していることが分かりました。
- rs1564641にはAA・AG・GGの3つの遺伝子型が存在します。
- A型の変異を持つ遺伝子型の人は、炎症のリスクが高い傾向があります。
日本人での遺伝子型の分布(rs1564641)
| 遺伝子型 | 日本人の割合 | 世界の割合 |
|---|---|---|
| AA型 | 47.9% | 22.8% |
| AG型 | 42.6% | 49.9% |
| GG型 | 9.4% | 27.2% |
日本人ではAA型が47.9%と世界平均(22.8%)の約2.1倍であり、炎症リスクが高い遺伝子型を持つ人の割合が高い傾向にあります。
検査の理論的根拠
代表的なDNA領域:炎症
炎症に最も強く影響するDNA領域は、rs1564641です。 日本での遺伝子型の分布は下記のとおりです。
- AA
47.9 % - AG
42.6 % - GG
9.4 %
ほかに、炎症に関わるDNA領域としてrs2157333があります。 日本での遺伝子型の分布は下記のとおりです。
- TT
15.5 % - TC
47.7 % - CC
36.6 %
ほかに、炎症に関わるDNA領域としてrs7281587があります。 日本での遺伝子型の分布は下記のとおりです。
- GG
25.9 % - GA
49.9 % - AA
24.0 %
ほかに、炎症に関わるDNA領域としてrs17035850があります。 日本での遺伝子型の分布は下記のとおりです。
- AA
98.0 % - AT
1.9 % - TT
0.1%以下
ほかに、炎症に関わるDNA領域としてrs6686197があります。 日本での遺伝子型の分布は下記のとおりです。
- GG
0.1%以下 - GC
0.1%以下 - CC
99.9 %
ほかに、炎症に関わるDNA領域としてrs2476601があります。 日本での遺伝子型の分布は下記のとおりです。
- AA
0.1%以下 - AG
0.1%以下 - GG
99.9 %
ほかに、炎症に関わるDNA領域としてrs4239702があります。 日本での遺伝子型の分布は下記のとおりです。
- TT
21.3 % - TC
49.7 % - CC
28.9 %
検査の根拠
カロリンスカ研究所のFolkersenらの研究により、炎症の起こりやすさが遺伝子と関係していることが明らかになりました。rs1564641の領域にはAとGの2種類のタイプがあり、A型の変異を持つ人は炎症のリスクが高い傾向にあります(1)。
今回調査したDNA領域
細胞の中にあるDNAマップの模式図
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関連遺伝子
| 関連遺伝子 | TMC3-AS1 |
|---|---|
| 関連遺伝子 | TSBP1-AS1 |
| 関連遺伝子 | RUNX1 |
| 関連遺伝子 | LINC01762 |
| 関連遺伝子 | UBE2Q1 |
| 関連遺伝子 | PTPN22 |
| 関連遺伝子 | CD40 |
よくある質問
Q1. 炎症とは何ですか?
炎症とは、白血球・プロインターロイキン16・CD40がお互いに関わり合って起こる免疫の反応です。感染やけが(組織の損傷)から体を守る働きをしており、免疫がどれくらい活発かを表します(1)。
Q2. 炎症の原因は何ですか?
主な原因は感染(細菌・ウイルス)、けが(組織の損傷)、自己免疫反応(免疫が自分の体を攻撃する反応)の3つです。白血球の数の増減、プロインターロイキン16の活性化、CD40の量の変化が組み合わさって、炎症反応が起こります(1)。
Q3. 遺伝子検査で炎症リスクは分かりますか?
DNA領域rs1564641の遺伝子型を調べることで、炎症の起こりやすさの傾向を確認できます。A型の変異を持つ遺伝子型の人はリスクが高い傾向にあることが研究で分かっています(1)。
Q4. 炎症を予防する方法はありますか?
炎症をおさえる食事(オメガ3脂肪酸、野菜・果物の摂取)、適度な運動(週150分以上の有酸素運動)、十分な睡眠(7〜8時間)、ストレス管理が炎症のリスクを減らすのに役立ちます。
参考文献
- 参考リンク1 : 2020 Oct., Lasse Folkersen, Nat Metab
- 参考リンク2 : 2023 Aug., Parsa Akbari, Nat Commun
- 参考リンク3 : 2020 Feb., Lucija Klarić, Sci Adv
- 参考リンク4 : 2021 Jun., Yao Hu, BMC Genomics
- 参考リンク5 : 2016 Nov., William J Astle, Cell
- 参考リンク6 : 2020 Jul., Robert F Hillary, Genome Med