知能
概要
いくつかの研究では、遺伝的要因が認知能力に影響を与えていることが示されています。ポリジェニックリスクスコア(PRS)を用いて知能を予測することも、ある程度可能とされています。
ただし、知能の予測にPRSを使うことにはいくつかの問題があります。まず、PRSの予測力は限定的で、知能の一部しか説明できません。
教育、社会経済的地位、文化的影響などの環境要因も、個人の認知発達や知能検査の結果に大きく影響します。
さらに、知能という概念自体が複雑で多面的であり、正確に定義したり測定したりする方法については議論が続いています。異なる知能検査は、異なる側面の認知能力を評価するため、その妥当性や信頼性も異なります。
また、知能に関するPRSの悪用の可能性も考慮する必要があります。この情報が遺伝的プロファイルに基づいて個人や集団を差別するために使われる可能性があり、倫理的および社会的な問題を引き起こすかもしれません。
以上のことから、PRSは知能に対する遺伝的影響を理解するための手がかりとなりますが、その予測力は限られており、慎重に解釈する必要があります。
知能は遺伝的要因と環境的要因の両方によって形成される複雑な特性であり、PRSを使用する際には、悪用や差別のリスクに注意することが重要です。
アムステルダム自由大学のSavageらの研究により、知能がrs11126331というDNA領域と関連していることが明らかになりました。
このDNA領域にはTT,TC,CCの3つの遺伝子型があり、Tを持つ遺伝子型の人は、知能が高い傾向にあることが分かりました。
遺伝子領域rs11126331において日本で各遺伝タイプを持つ人の割合
- TT9.17%
- TC42.23%
- CC48.60%
遺伝子領域rs11126331において世界で各遺伝タイプを持つ人の割合
- TT35.78%
- TC48.07%
- CC16.14%
遺伝子領域rs1389993において日本で各遺伝タイプを持つ人の割合
- GG45.30%
- GC44.01%
- CC10.69%
遺伝子領域rs1389993において世界で各遺伝タイプを持つ人の割合
- GG34.75%
- GC48.40%
- CC16.85%
検査の理論的根拠
体表的なDNA領域:知能
体表的なDNA領域:知能
知能 に最も強く影響する遺伝子領域は、rs11126331です。 日本における同型の遺伝子タイプの分布は下記のとおりです。
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TT
9.2% -
TC
42.2% -
CC
48.6%
他に、知能に関わる遺伝子領域はrs1389993があります。 日本における同型の遺伝子タイプの分布は下記のとおりです
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GG
45.3% -
GC
44.0% -
CC
10.7%
検査の根拠
アムステルダム自由大学のSavageらの研究により、知能が遺伝子と関連していることが明らかになりました。人間のゲノムには、rs11126331という領域が存在し、その領域の遺伝子にはTとCの2種類の変異があります。Tタイプの変異を持つ人は、知能が高い傾向にあることが分かりました。
今回調査したDNA領域
細胞中に存在するDNAマップの模式図
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関連遺伝子
| 関連遺伝子 | ZNF638 |
|---|---|
| 関連遺伝子 | BTG3-AS1 |
参考文献
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関連遺伝子 ZNF638
- 参考リンク : 2018 Jul、Jeanne E Savageと研究グループがNat Genet に発表したGenome-wide association meta-analysis in 269,867 individuals identifies new genetic and functional links to intelligenceという研究によると知能 に関連するrs11126331の関連性が認められました。
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関連遺伝子 BTG3-AS1
- 参考リンク : 2019 Feb、W D Hillと研究グループがMol Psychiatry に発表したA combined analysis of genetically correlated traits identifies 187 loci and a role for neurogenesis and myelination in intelligenceという研究によると知能 に関連するrs1389993の関連性が認められました。