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遅発性アルツハイマー病

遅発性アルツハイマー病のイメージ画像
  • 遅発性アルツハイマー病は60歳以上に好発する認知症で、記憶力・思考能力が徐々に低下する神経変性疾患
  • DNA領域rs16961023のG型変異を持つ人は血中コレステロール濃度上昇により発症リスクが高い傾向
  • 日本人のCG型・GG型の合計は約15.6%で、世界平均(1%未満)と比較して高い割合を示す

概要 日本では少子高齢化が進み、親の介護に関する問題が注目されています。多くの方が「子供にはできる限り迷惑をかけたくない」と思っているものの、介護は負担になってしまいます。 介護の疲れは、「身体的疲労」と「精神的疲労」の2つに分けられ、特に「精神的疲労」は「介護うつ」の原因となる危険な疲労です。 認知症患者とのコミュニケーションが原因で精神的に疲れてしまう方もいます。認知症患者は物忘れが激しくなることや、幻覚を見たりすることがあるため、それに対応する介護者の精神的負担は大きくなりがちです。 内閣府によると、2025年には高齢者の5分の1が認知症にかかると試算されています。 アルツハイマー病は60歳以上の高齢者によく見られる認知症の一つで、記憶や思考能力がゆっくりと消失していく病気です。 最近の研究報告によって、遺伝子「SLC102A」付近のある部位がアルツハイマー病の発症リスクに影響を与えている可能性が高いとわかってきました。 アルツハイマー病に対する有効な治療法は見つかっていないため、一度発症すると治癒することができません。 遺伝子検査をすることによって、アルツハイマー病の発症リスクを知ることは、ご自身の健康寿命を長くするだけではなく、介護者の負担を減らすことが期待されます。 2. 理論的根拠 米国国立衛生研究所で行われた研究から、遺伝子「SLC10A2」付近の特定タイプによって、アルツハイマー病を発症しやすい人がいるということが明らかになりました。 その部位は「rs16961023」というDNA領域になります。(参考リンク 1) DNA領域「rs16961023」には、「CC型」、「CG型」、「GG型」と3つの遺伝子型があります。 日本人の遺伝子タイプは、「CC型」が最も多く83.5%、「CG型」は次いで15.7%、「GG型」は最も少なく0.8%という分布となっています。(参考リンク 2) アルツハイマー病の発症率に関わる血中コレステロール濃度が上昇しやすいため、Risk AlleleであるGを持つ「GG型」はアルツハイマー病を発症しやすい傾向にあり、「CG型」はアルツハイマー病をやや発症しやすい傾向にあることが分かっています。 アルツハイマー病を発症しやすい「GG型」と「CG型」の合計は16.5%と一見低く見えますが、全世界的に見た「GG型」、「CG型」の割合は1%未満となっています。 すなわち、DNA領域「rs16961023」に関して言えば、日本人は「アルツハイマー病」を発症しやすい人種だと言えるのです。 しかし、「アルツハイマー病」の発症には遺伝的要素の他に環境的要因も大きく関わっているため、生活環境を整えることなどで発症をある程度予防することが可能です。 「アルツハイマー病」は、発症の10年ほど前から進行することが知られています。 ご自身の「アルツハイマー病」のリスクを早期に知り、それに応じた対策をすることは、健康を支えるだけでなく、大切な人とのコミュニケーションを長く続けさせてくれるかもしれません。 3. 作用機序 「SLC10A2」という遺伝子は、人間の24本の染色体のうち、13番染色体に位置しています。 この遺伝子は、「ナトリウムタウロコール酸共輸送ポリペプチド(NTCP)」を作る遺伝情報を持ち、胆汁酸をヒト門脈血中から肝細胞へ運搬する役割を担っています。 胆汁酸は、コレステロールから作られますが、NTCPが正常に機能していないと、体内で胆汁酸が循環せず、新たに胆汁酸が合成されなくなるため、コレステロールが消費されません。(参考リンク 3) そのため、血中コレステロール濃度が高くなり、アルツハイマー病の発症リスクが増加すると考えられています。 したがって、DNA領域「rs16961023」は、アルツハイマー病の発症に関連し、注目を浴びている一塩基多型の一つです。

遅発性アルツハイマー病とは何か

遅発性アルツハイマー病は、60歳以上の高齢者に好発する認知症の一種で、記憶力や思考能力が徐々に低下する神経変性疾患です。内閣府の試算によると、2025年には高齢者の5人に1人が認知症を発症するとされています。

遅発性アルツハイマー病が注目される理由

日本では少子高齢化が進行し、親の介護問題が深刻化しています。介護の疲労は「身体的疲労」と「精神的疲労」に分類され、特に精神的疲労は「介護うつ」を引き起こす要因です。

  • 認知症患者の物忘れや幻覚への対応が介護者の精神的負担を増大させる
  • 2025年には高齢者の約20%が認知症を発症すると試算(内閣府)
  • アルツハイマー病は発症の約10年前から進行が始まる
  • 現時点で有効な治療法は未確立であり、一度発症すると治癒が困難

遅発性アルツハイマー病の症状

症状は緩徐に進行し、以下の特徴があります。

  • 記憶力の低下(特に短期記憶の障害)
  • 思考能力・判断力の低下
  • 幻覚・妄想の出現
  • 日常生活動作の困難
  • コミュニケーション能力の低下

遅発性アルツハイマー病と他の認知症の違い

比較項目 遅発性アルツハイマー病 血管性認知症
原因 神経変性(アミロイドβ蓄積) 脳血管障害(脳梗塞等)
発症年齢 60歳以上に好発 50歳以降に多い
進行速度 緩徐に進行(数年単位) 階段状に進行
遺伝的要因 強い関連(SLC10A2遺伝子) 関連は限定的
主な症状 記憶障害が顕著 意欲低下・歩行障害

遅発性アルツハイマー病の作用機序

遺伝子SLC10A2は13番染色体に位置し、ナトリウムタウロコール酸共輸送ポリペプチド(NTCP)を生成する遺伝情報を保持しています。

  • NTCPは胆汁酸をヒト門脈血中から肝細胞へ運搬する役割を担う
  • NTCPの機能異常により胆汁酸の循環が停滞し、新規合成が抑制される
  • その結果、コレステロールが消費されず血中濃度が上昇する
  • 血中コレステロール濃度の上昇がアルツハイマー病の発症リスクを増加させる

DNA領域rs16961023は、この機序を通じてアルツハイマー病の発症に関連する注目の一塩基多型(SNP)です。

予防のために早期リスク把握が重要な理由

アルツハイマー病は発症の約10年前から脳内で進行が始まります。遺伝子検査によるリスクの早期把握は、以下の効果が期待されます。

  • 健康寿命の延伸に向けた生活習慣の改善
  • 介護者の精神的・身体的負担の軽減
  • 大切な人とのコミュニケーション期間の延長

遺伝子と遅発性アルツハイマー病の関連

DNA領域rs16961023と発症リスクの関係

米国国立衛生研究所(NIH)のMezらの研究により、遺伝子SLC10A2付近のDNA領域rs16961023が遅発性アルツハイマー病の発症リスクと関連していることが判明しました。

  • rs16961023にはCC・CG・GGの3つの遺伝子型が存在
  • Risk AlleleであるGを持つGG型はアルツハイマー病を発症しやすい傾向
  • CG型はやや発症しやすい傾向

日本人における遺伝子型分布(rs16961023)

遺伝子型 日本人の割合 世界の割合
CC型 84.3% 99.0%
CG型 15.0% 0.9%
GG型 0.6% 0.1%以下

日本人のCG型・GG型の合計は約15.6%であり、世界平均の1%未満と比較して高い割合です。DNA領域rs16961023に関して、日本人はアルツハイマー病を発症しやすい傾向を持つ人種であるといえます。

遺伝子領域rs16961023において日本で各遺伝タイプを持つ人の割合

  • CC
    84.3%
  • CG
    15.0%
  • GG
    0.6%

遺伝子領域rs16961023において世界で各遺伝タイプを持つ人の割合

  • CC
    99.0%
  • CG
    0.9%
  • GG
    0.1%以下

検査の理論的根拠

体表的なDNA領域:遅発性アルツハイマー病

遅発性アルツハイマー病 に最も強く影響する遺伝子領域は、rs16961023です。 日本における同型の遺伝子タイプの分布は下記のとおりです。

  • CC
    84.3 %
  • CG
    15.0 %
  • GG
    0.6 %

検査の根拠

米国国立衛生研究所(NIH)のMezらの研究により、遅発性アルツハイマー病の発症リスクが遺伝子と関連していることが明らかになりました。rs16961023領域にはCとGの2種類の変異があり、Risk AlleleであるG型変異を持つ人はアルツハイマー病の発症リスクが高い傾向にあります。血中コレステロール濃度の上昇が発症に関与するメカニズムが確認されています。

今回調査したDNA領域

細胞中に存在するDNAマップの模式図

Image

関連遺伝子

関連遺伝子 METTL21EP

よくある質問(FAQ)

Q1. 遅発性アルツハイマー病とは何ですか?

遅発性アルツハイマー病は、60歳以上の高齢者に好発する認知症の一種で、記憶力や思考能力が徐々に低下する神経変性疾患です。2025年には高齢者の5人に1人が認知症を発症すると試算されており、介護者の精神的負担も深刻な社会問題となっています。

Q2. 遅発性アルツハイマー病の原因は何ですか?

主な原因は遺伝子SLC10A2付近のDNA領域rs16961023の変異による血中コレステロール濃度の上昇です。G型変異を持つ人は、NTCPの機能異常によりコレステロール代謝が乱れ、発症リスクが増加します。環境的要因も発症に関与します。

Q3. 遺伝子検査で遅発性アルツハイマー病のリスクは分かりますか?

DNA領域rs16961023の遺伝子型を調べることで、遅発性アルツハイマー病の発症リスク傾向を把握できます。日本人ではCG型・GG型の合計が約15.6%を占め、世界平均の1%未満と比較して高い割合です。

Q4. 遅発性アルツハイマー病は予防できますか?

現時点で有効な治療法は確立されていませんが、生活環境の改善により発症リスクを軽減できる可能性があります。発症の約10年前から脳内で進行が始まるため、早期の遺伝子検査によるリスク把握と対策が推奨されます。

参考文献