悪玉コレステロール値
- 悪玉コレステロールは動脈硬化を進め、心筋梗塞・脳卒中の大きな原因となるリポタンパクです。
- DNA領域rs306890のCタイプを持つ人は悪玉コレステロール値が高い傾向にあることが研究で分かっています。
- 適切な食事・運動習慣・体重の管理によって悪玉コレステロール値を改善できます。
概要
【疾患の概要】 低密度リポタンパクコレステロールと超低密度リポタンパクコレステロールは、心臓や血管の健康を知るうえで大切なコレステロールの一種です。 低密度リポタンパクコレステロールは、ふつう「悪玉コレステロール」と呼ばれます。血管の内側にプラーク(コレステロールなどがたまってできるこぶ)を作る原因になり、動脈が詰まったり、心臓発作や脳卒中が起きたりするリスクを高める可能性があります。
【症状と特徴】 特に、動脈硬化(血管が硬く、狭くなること)を進めやすい性質があります。 一方、超低密度リポタンパクコレステロールは、トリグリセリド(中性脂肪)を血液の中で運ぶリポタンパク(脂肪を運ぶ小さな粒)です。 悪玉コレステロールほど直接プラーク作りに関わるわけではありませんが、量が多いとプラークが大きくなる一因になる可能性があります。
【治療と注意点】 これらのコレステロールの量は、血液1デシリットルあたりのミリグラム数で測ります。脂質の使われ方や、心臓・血管の病気のリスクを知るための大切な目安です。 悪玉コレステロールが増えること(高コレステロール血症)は、心臓の血管の病気(冠動脈疾患)など、心臓や血管の病気の大きな原因の一つと考えられています。 一方で、超低密度リポタンパクコレステロールを直接測るのは手間がかかるため、ふだんの検査では行われません。 そのため、ふつうは中性脂肪の測定値から計算して値を推定します。 これらのリポタンパクのバランスや量は、遺伝、食事、生活習慣、その他の健康状態によって変わります。 心臓や血管の病気のリスクを下げるには、これらのコレステロールを増やしすぎないことが大切です。
【遺伝的リスク】 カリフォルニア大学サンフランシスコ校のHoffmannらの研究により、悪玉コレステロール値がrs306890というDNA領域と関係していることが分かりました。 このDNA領域にはTT,TC,CCの3つの遺伝子型があり、Cを持つ遺伝子型の人は、悪玉コレステロール値が高い傾向にあることが分かりました。
悪玉コレステロールとは何か
悪玉コレステロール(低密度リポタンパクコレステロール)は、血液の中でコレステロールを体のすみずみの組織へ運ぶリポタンパクの一種です。ふつう「悪玉コレステロール」と呼ばれ、血管の内側にプラーク(コレステロールなどがたまってできるこぶ)を作り、動脈硬化を進めます。
悪玉コレステロールが高いとなぜ危険なのか
悪玉コレステロール値が高い状態(高コレステロール血症)は、次のような心臓や血管の病気の大きな原因になります。
- 冠動脈疾患(心臓の血管の病気):心臓の血管が狭くなり、心筋梗塞や狭心症の原因になります。
- 脳血管疾患(脳の血管の病気):脳卒中(脳梗塞・脳出血)のリスクが上がります。
- 末梢動脈疾患(手足の血管の病気):手足への血流が悪くなります。
- 大動脈瘤(だいどうみゃくりゅう):大動脈の壁が弱くなり、こぶのようにふくらみます。
超低密度リポタンパクコレステロールとの違い
超低密度リポタンパクコレステロールは、主にトリグリセリド(中性脂肪)を血液の中で運ぶリポタンパクです。体の中で悪玉コレステロール(低密度リポタンパクコレステロール)に変わるため、間接的に動脈硬化に関わります。
悪玉コレステロールと超低密度リポタンパクコレステロールの比較
| 比べる項目 | 悪玉コレステロール | 超低密度リポタンパクコレステロール |
|---|---|---|
| 呼び名 | 悪玉コレステロール | (特になし) |
| 主に運ぶもの | コレステロール | トリグリセリド(中性脂肪) |
| 動脈硬化への関わり | 直接的(プラークを作る) | 間接的(悪玉コレステロールに変わる) |
| 測り方 | 血液検査で直接測ります。 | 中性脂肪の値から計算して推定 |
| 基準値 | 140mg/dL未満 | 30mg/dL以下 |
悪玉コレステロールの基準値
日本動脈硬化学会による基準値は次のとおりです。
| 分類 | 悪玉コレステロール値(mg/dL) |
|---|---|
| 正常域 | 120未満 |
| 境界域高値 | 120〜139 |
| 高コレステロール血症 | 140以上 |
悪玉コレステロールを下げる方法
悪玉コレステロール値を下げるための生活習慣のポイントは次のとおりです。
- 食事:飽和脂肪酸・トランス脂肪酸(肉の脂身やお菓子などに多い脂)をとりすぎない、水に溶ける食物繊維を多くとります。
- 運動:週150分以上の適度な有酸素運動(ウォーキング・ジョギングなど)
- 体重管理:体格指数(体重と身長から計算する肥満度)25未満のちょうどよい体重を保ちます。
- 禁煙:喫煙は善玉コレステロールを減らし、悪玉コレステロールの酸化(さびること)を進めます。
- 薬による治療:生活習慣を見直しても不十分な場合は、スタチン系の薬などを使います。
悪玉コレステロールに影響する要因
悪玉コレステロール値は、次のような要因で変わります。
- 遺伝子の影響:家族性高コレステロール血症など、生まれつきの体質です。
- 食生活:飽和脂肪酸やコレステロールのとりすぎ
- 運動不足:悪玉コレステロールを取り込むしくみの働きが下がります。
- 肥満:内臓脂肪がたまることで、脂質の運ばれ方が乱れます。
- 年齢を重ねること:肝臓が悪玉コレステロールを取り込む力が弱くなります。
遺伝子と悪玉コレステロール値の関係
DNA領域rs306890と悪玉コレステロール値の関係
カリフォルニア大学サンフランシスコ校のHoffmannらの研究(1)により、DNA領域rs306890が悪玉コレステロール値と関係していることが分かりました。
- rs306890にはTT・TC・CCの3つの遺伝子型があります。
- Cタイプを持つ遺伝子型の人は、悪玉コレステロール値が高い傾向があります。
日本人における遺伝子型分布(rs306890)
| 遺伝子型 | 日本人の割合 | 世界の割合 |
|---|---|---|
| TT型 | 58.3% | 52.8% |
| TC型 | 36.0% | 39.6% |
| CC型 | 5.5% | 7.4% |
検査の理論的な根拠
代表的なDNA領域:悪玉コレステロール値
悪玉コレステロール値に最も強く影響するDNA領域は、rs306890です。 日本における遺伝子型の割合は下記のとおりです。
- TT
58.3 % - TC
36.0 % - CC
5.5 %
ほかに、悪玉コレステロール値に関わるDNA領域としてrs964184があります。 日本における遺伝子型の割合は下記のとおりです。
- GG
10.3 % - GC
43.6 % - CC
45.9 %
ほかに、悪玉コレステロール値に関わるDNA領域としてrs9987289があります。 日本における遺伝子型の割合は下記のとおりです。
- AA
0.1%以下 - AG
1.9 % - GG
98.0 %
検査の根拠
カリフォルニア大学サンフランシスコ校のHoffmannらの研究により、悪玉コレステロール値が遺伝子と関係していることが分かりました。rs306890領域にはTとCの2種類のタイプがあり、Cタイプを持つ人は悪玉コレステロール値が高い傾向にあります(1)。
今回調査したDNA領域
細胞の中にあるDNAマップの模式図
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関係する遺伝子
| 関係する遺伝子 | SPRY3 |
|---|---|
| 関係する遺伝子 | ZPR1 |
| 関係する遺伝子 | PPP1R3B-DT |
よくある質問
Q1. 悪玉コレステロールとは何ですか?
悪玉コレステロール(低密度リポタンパクコレステロール)は、血液の中でコレステロールを運ぶリポタンパクの一種です。ふつう「悪玉コレステロール」と呼ばれます。血管の内側にプラーク(こぶ)を作って動脈硬化を進めるため、心筋梗塞や脳卒中が起こりやすくなる原因の一つです。
Q2. 悪玉コレステロールの基準値はどのくらいですか?
日本動脈硬化学会の基準では、悪玉コレステロールの正常値は120mg/dL未満です。120〜139mg/dLは「境界域高値」(やや高め)、140mg/dL以上は「高コレステロール血症」(悪玉コレステロールが多すぎる状態)と診断されます。
Q3. 悪玉コレステロールと超低密度リポタンパクコレステロールの違いは?
悪玉コレステロールは主にコレステロールを体のすみずみの組織へ運び、動脈硬化に直接関わります。超低密度リポタンパクコレステロールは主にトリグリセリド(中性脂肪)を運ぶリポタンパクで、体の中で悪玉コレステロールに変わります。どちらも、多すぎると心臓や血管の病気のリスクが高まります。
Q4. 遺伝子検査で悪玉コレステロールの高さの傾向は分かりますか?
DNA領域rs306890の遺伝子型を調べることで、悪玉コレステロール値が高くなりやすいかどうかの傾向を知ることができます。Cタイプを持つ遺伝子型の人は悪玉コレステロール値が高い傾向にあることが、カリフォルニア大学サンフランシスコ校の研究で分かっています(1)。ただし、遺伝子だけで決まるわけではありません。
Q5. 悪玉コレステロールを下げるにはどうすればよいですか?
飽和脂肪酸・トランス脂肪酸をとりすぎないこと、食物繊維を多くとること、週150分以上の有酸素運動、ちょうどよい体重を保つことが効果的です。生活習慣を見直しても十分に下がらない場合は、スタチン系の薬などの薬による治療が考えられます。