肝臓機能の良さ(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ)
- アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼは肝臓・心臓・筋肉の健康状態を知るための大切な酵素で、基準値は10〜40 U/Lです。
- DNA領域rs2583435のT型を持つ人はこの酵素の値が高い傾向にあることが大阪大学の研究で分かりました。
- 適切な食事の管理・お酒を控えること・運動の習慣により、肝臓の働きを保ったり良くしたりできます。
概要
【疾患の概要】 アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼは、主に肝臓、心臓、筋肉、腎臓、脳などにある酵素(体の中の化学反応を助けるたんぱく質)です。アミノ酸(たんぱく質のもと)を作りかえたり、エネルギーを作ったりする大切な働きをしています。
【症状と特徴】 この酵素は、細胞が傷ついたり壊れたりすると血液の中に出てきます。そのため、血液中の量を測ることは、肝臓や心臓などの臓器の健康状態を知る大切な目安になります。 特に、肝炎、肝硬変、肝臓の腫瘍などの肝臓の病気があると、血液中の量が増えます。 また、心臓発作や筋肉の損傷があるときにも、血液中の量が増えることがあります。
【治療と注意点】 この酵素は、血液検査でアラニンアミノトランスフェラーゼという別の酵素と一緒に測られます。 2つの酵素の比率は、肝臓の病気の種類や重さを判断する目安として使われます。 一般に、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼの量がアラニンアミノトランスフェラーゼよりも多い場合は、お酒による肝臓の病気や筋肉の損傷の可能性があります。 この酵素は体のアミノ酸の作りかえに欠かせず、血液中の量は肝臓や心臓などの健康状態を知る大切な目安です。 血液中の量が増えると、肝臓や心臓の病気、筋肉の損傷などの可能性があるため、定期的な健康診断で値を確認し、必要に応じて適切な治療を受けることが大切です。
【遺伝子の影響】 大阪大学のSakaueらの研究により、肝臓機能の値(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ)がrs2583435というDNA領域と関係していることが分かりました。 このDNA領域にはTT、TC、CCの3つの遺伝子型があり、Tを持つ遺伝子型の人は、この値が高い傾向にあることが分かりました。
アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼとは何か
アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(昔の呼び名はグルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミナーゼ)は、肝臓・心臓・筋肉・腎臓・脳などにあり、アミノ酸の作りかえとエネルギー作りに欠かせない酵素です。細胞が傷ついたり壊れたりすると血液中に出てくるため、血液中の量を測ることで臓器の健康状態を確かめられます。
アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼの値が上がる原因とメカニズム
この酵素は、以下の2つのメカニズムで血液中の量が増えます。
- 肝臓の細胞の損傷・死滅:肝炎・肝硬変・肝臓の腫瘍などで肝臓の細胞が壊れます。
- 肝臓以外の臓器の損傷:心筋梗塞・骨格筋(体を動かす筋肉)の損傷・溶血性の病気(赤血球が壊れる病気)などが原因です。
この酵素の値が上がる主な原因は以下のとおりです。
- 肝炎(ウイルスによるもの・お酒によるもの・免疫が自分の肝臓を攻撃するもの)
- 肝硬変・肝臓の腫瘍・脂肪肝
- 心筋梗塞・心不全
- 骨格筋の損傷(激しい運動・けが)
- 薬による肝臓の障害
アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼとアラニンアミノトランスフェラーゼの違い
| 比較項目 | アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ | アラニンアミノトランスフェラーゼ |
|---|---|---|
| 存在部位 | 肝臓・心臓・筋肉・腎臓・脳 | 主に肝臓 |
| 肝臓だけにある度合い | 低い(ほかの臓器にもある) | 高い(ほぼ肝臓だけにある) |
| 基準値 | 10〜40 U/L | 5〜45 U/L |
| アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ÷アラニンアミノトランスフェラーゼ≧1 | お酒による肝臓の病気・肝硬変の可能性 | |
| アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ÷アラニンアミノトランスフェラーゼ<1 | ウイルスによる肝炎・脂肪肝の可能性 | |
アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼの値の基準と判定
以下の基準で肝臓の働きの状態を判断します。
| 酵素の値 (U/L) | 判定 | 考えられる状態 |
|---|---|---|
| 10〜40 | 基準範囲内 | 正常な肝臓の働き |
| 41〜100 | 少しの上昇 | 脂肪肝・慢性肝炎・薬による肝臓の障害 |
| 101〜500 | 中くらいの上昇 | 急性肝炎・お酒による肝臓の障害 |
| 500以上 | 大きな上昇 | 重い急性肝炎・劇症肝炎(急に肝臓の働きが大きく落ちる状態) |
肝臓の働きを保ち、良くする方法
この酵素の値を保ったり良くしたりするには、以下の生活習慣が効果的です。
- お酒を控える:お酒の量(アルコール量)を1日20g以下に抑えます。
- バランスの良い食事:脂っこい食事を避け、野菜・魚中心の食事を心がけます。
- 適度な運動:週150分以上の有酸素運動がおすすめです。
- 適正体重を保つ:体格指数(肥満度の目安)25未満を目標にします。
- 薬の正しい使い方:肝臓に負担をかける薬・サプリメントのとりすぎを避けます。
遺伝子と肝臓機能(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ)の関係
DNA領域rs2583435とアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼの値の関係
大阪大学のSakaueらの研究(1)により、DNA領域rs2583435が肝臓機能の値(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ)と関係していることが分かりました。
- rs2583435にはTT・TC・CCの3つの遺伝子型が存在します。
- Tを持つ遺伝子型の人は、この酵素の値が高い傾向があります。
日本人における遺伝子型分布(rs2583435)
| 遺伝子型 | 日本人の割合 | 世界の割合 |
|---|---|---|
| TT型 | 14.0% | 46.8% |
| TC型 | 46.8% | 43.2% |
| CC型 | 39.0% | 9.9% |
検査の科学的な根拠
代表的なDNA領域:肝臓機能の良さ(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ)
肝臓機能の良さ(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ)に最も強く影響するDNA領域は、rs2583435です。 日本での遺伝子型の分布は下記のとおりです。
- TT
14.0 % - TC
46.8 % - CC
39.0 %
検査の根拠
大阪大学のSakaueらの研究により、肝臓機能の値(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ)が遺伝子と関係していることが分かりました。人間のDNAには、rs2583435という領域があり、そこにはTとCの2種類の違いがあります。Tを持つ人は、この値が高い傾向にあることが分かりました(1)。
今回調査したDNA領域
細胞の中にあるDNAマップの模式図
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関連遺伝子
| 関連遺伝子 | PHLDA2 |
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よくある質問
Q1. アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼとは何ですか?
アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼは、肝臓・心臓・筋肉・腎臓・脳にある酵素で、アミノ酸(たんぱく質のもと)の作りかえやエネルギー作りに大切な働きをしています。細胞が傷つくと血液中に出てくるため、血液中の量は臓器の健康状態を知る目安として使われます。
Q2. アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼの基準値はどのくらいですか?
アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼの基準値は10〜40 U/Lです。基準値を超える場合、肝炎・肝硬変・心筋梗塞・筋肉の損傷の可能性があります。アラニンアミノトランスフェラーゼとの比率も、病気を見分ける大切な目安になります。
Q3. アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼとアラニンアミノトランスフェラーゼの違いは何ですか?
アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼは肝臓・心臓・筋肉など複数の臓器にありますが、アラニンアミノトランスフェラーゼはほぼ肝臓だけにある酵素です。アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼとアラニンアミノトランスフェラーゼの比が1以上の場合はお酒による肝臓の病気や肝硬変、1未満の場合はウイルスによる肝炎の可能性が高くなります。
Q4. 遺伝子が肝臓機能(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ)に影響しますか?
大阪大学のSakaueらの研究により、DNA領域rs2583435がこの酵素の値と関係していることが分かりました。Tを持つ遺伝子型の人は、この酵素の値が高い傾向にあります(1)。
Q5. アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼの値を良くする方法はありますか?
この酵素の値を良くするには、お酒を控える、バランスの良い食事、週150分以上の有酸素運動が効果的です。体格指数(体重と身長から計算する肥満度の目安)25未満の適正体重を保ち、肝臓に負担をかけるサプリメントや薬のとりすぎを避けることが大切です。
参考文献
- 参考リンク1 : 2021 Oct., Saori Sakaue, Nat Genet