肝臓機能の良さ(ガンマ値)
- ガンマグルタミルトランスフェラーゼ(ガンマ値)は肝臓の解毒の働きを表す酵素で、血液検査により肝臓や胆管の健康状態を調べられます。
- DNA領域rs1013338のAタイプを持つ人は肝臓の働きが低下しやすい傾向にあることが研究で判明しました。
- ガンマ値を定期的に確かめることで、肝炎・肝硬変・肝臓がんなどを早く見つけ、予防につなげられます。
概要
【疾患の概要】 ガンマグルタミルトランスフェラーゼ(健康診断では「ガンマ」とも呼ばれる酵素)は、肝臓で体に有害な物質を無毒にする働き(解毒)にかかわる酵素の一つで、腎臓やすい臓、腸にもあります。
【症状と特徴】 肝臓の働きを調べられるだけでなく、胆管や胆のう(胆汁の通り道とそれをためる袋)の病気があるかどうかも推測できる検査項目です。 お酒の飲みすぎや胆管がつまることで、この酵素の値(ガンマ値)が上がります。 ガンマ値が上がっている場合は、肝炎や肝硬変、肝臓がんなどの肝臓の病気にかかっている可能性があります。 一方で、ガンマ値が正常なら肝臓が健康である目安になります。
【治療と注意点】 ガンマ値だけでなく他の検査結果もあわせて見ることが大切ですが、血液検査でガンマ値を確かめることは、肝臓の働きの変化に気づくための大切な手段です。 病気が進むと肝不全(肝臓がほとんど働かなくなる状態)など命にかかわる合併症を起こすため、ガンマ値の検査で肝臓や胆管の病気を早く見つけることが大切です。
【遺伝子の影響】 国立衛生研究所のYoung Jin Kimらの研究により、肝臓の働きを表す検査値がrs1013338というDNA領域と関係していることが分かりました。 このDNA領域にはCC、CA、AAの3つの遺伝子型があり、Aを持つ遺伝子型の人は、肝臓の働きが低下しやすい傾向にあることが分かりました。
ガンマグルタミルトランスフェラーゼ(ガンマ値)とは何か
ガンマグルタミルトランスフェラーゼ(ガンマ値)は、肝臓の解毒の働きにかかわる酵素で、肝臓の働きを調べる血液検査の代表的な項目です。腎臓・すい臓・腸にもありますが、血液中のガンマ値が上がるのは主に肝臓や胆管の異常のサインです。
ガンマ値が高くなる原因とは?
ガンマ値が上がる主な原因は次のとおりです。
- お酒の飲みすぎ:お酒を飲む量が多いほどガンマ値が上がる傾向があります。
- 胆管のつまり:胆石(胆汁の成分が固まった石)や腫瘍によって胆汁の流れがじゃまされる状態です。
- 肝疾患:肝炎・肝硬変・肝臓がんなどの肝臓の病気です。
- 薬による肝臓の障害:特定の薬が肝臓に負担をかける場合です。
- 脂肪肝:非アルコール性脂肪性肝疾患(お酒以外の原因で肝臓に脂肪がたまる病気)です。
ガンマ値の基準値と判定の目安
ガンマ値の基準値は男女で異なります。
| 判定 | 男性(IU/L) | 女性(IU/L) |
|---|---|---|
| 正常値 | 50以下 | 30以下 |
| 要注意 | 51〜100 | 31〜50 |
| 異常値 | 101以上 | 51以上 |
ガンマ値と他の肝臓の酵素との違い
肝臓の働きを調べるには、いくつかの酵素の値が使われます。
| 比較項目 | ガンマ値 | アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ | アラニンアミノトランスフェラーゼ |
|---|---|---|---|
| 主な存在部位 | 肝臓・腎臓・すい臓 | 肝臓・心臓・筋肉 | 肝臓(ほぼ肝臓だけ) |
| 飲酒との関連 | 高い | 中程度 | 低い |
| 胆管・胆のうの病気 | 敏感に反映 | やや上昇 | やや上昇 |
| 肝臓の細胞の障害 | 上昇 | 大きく上昇 | 大きく上昇 |
ガンマ値の検査が大切な理由
ガンマ値を定期的に測ることは、次の理由から大切です。
- 早期発見:肝炎・肝硬変・肝臓がんを初期の段階で見つけられます。
- 胆管の病気の発見:胆石症や胆管がんを見つける手がかりになります。
- お酒による肝臓の障害の確認:お酒による肝臓へのダメージを数字で表せます。
- 治療の効果の確認:お酒をやめたり薬で治療したりした後に、ガンマ値が下がっていくようすを確かめられます。
ガンマ値が正常なら肝臓が健康である目安になります。病気が進むと肝不全(肝臓がほとんど働かなくなる状態)など命にかかわる合併症を起こすため、早く見つけることが大切です。
遺伝子と肝臓機能(ガンマ値)の関係
DNA領域rs1013338と肝臓の働きの関係
国立衛生研究所のYoung Jin Kimらの研究(1)により、DNA領域rs1013338が肝臓の働き(ガンマ値)と関係していることが分かりました。
- rs1013338にはCC・CA・AAの3つの遺伝子型が存在します。
- Aタイプを持つ遺伝子型の人は、肝臓の働きが低下しやすい傾向があります。
日本人における遺伝子型分布(rs1013338)
| 遺伝子型 | 日本人の割合 | 世界の割合 |
|---|---|---|
| CC型 | 19.9% | 43.8% |
| CA型 | 49.4% | 44.7% |
| AA型 | 30.5% | 11.3% |
検査の理論的根拠
代表的なDNA領域:肝臓機能の良さ(ガンマ値)
肝臓機能の良さ(ガンマ値)に最も強く影響するDNA領域は、rs1013338です。 日本における各遺伝子型の分布は下記のとおりです。
- CC
19.9 % - CA
49.4 % - AA
30.5 %
検査の根拠
国立衛生研究所のYoung Jin Kimらの研究により、肝臓の働きを表す検査値が遺伝子と関係していることが分かりました。人間のDNAにはrs1013338という領域があり、そこにはCとAの2種類のタイプがあります。Aタイプを持つ人は、肝臓の働きが低下しやすい傾向にあることが分かりました。
今回調査したDNA領域
細胞の中にあるDNAマップの模式図
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関連遺伝子
| 関連遺伝子 | FAM227A |
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よくある質問
Q1. ガンマグルタミルトランスフェラーゼ(ガンマ値)とは何ですか?
ガンマグルタミルトランスフェラーゼ(ガンマ値)は、肝臓の解毒(有害な物質を無毒にする働き)にかかわる酵素です。腎臓・すい臓・腸にもあり、血液検査で測ることで肝臓や胆管の健康状態を調べられます。ガンマ値が上がっている場合は、肝炎・肝硬変・肝臓がんなどの肝臓の病気の可能性があります(1)。
Q2. ガンマ値が高くなる原因は何ですか?
ガンマ値が上がる主な原因はお酒の飲みすぎ・胆管のつまり・肝炎・肝硬変・肝臓がんです。薬による肝臓の障害や脂肪肝(非アルコール性脂肪性肝疾患)もガンマ値が上がる原因になります。お酒を飲む量が多いほどガンマ値は高くなり、お酒をやめると2〜4週間で下がる傾向があります(1)。
Q3. ガンマ値の基準値はどのくらいですか?
GGTの基準値は男性で50 IU/L以下、女性で30 IU/L以下が一般的な目安です。基準値を超える場合は肝臓や胆管の異常が疑われ、他の肝臓の酵素(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ・アラニンアミノトランスフェラーゼなど)の値とあわせた詳しい検査がすすめられます。
Q4. 遺伝子検査でガンマ値に関係する体質は分かりますか?
DNA領域rs1013338の遺伝子型を調べることで、ガンマ値に影響する遺伝子の傾向を知ることができます。Aタイプを持つ遺伝子型の人は肝臓の働きが低下しやすい傾向にあることが研究で分かっています(1)。
参考文献
- 参考リンク1 : 2022 Nov., Young Jin Kim, Nat Commun