成長ホルモンレベル
- 成長ホルモンレベルとは、インスリン様成長因子1(成長ホルモンの刺激でつくられるホルモン)の血液中の濃度を目安にしたホルモンの状態で、骨・筋肉・体の組織の成長に欠かせない役割を担います。
- DNA領域rs2048672のCタイプの変異を持つ人は成長ホルモンの分泌が多い傾向にあることが、スタンフォード大学の研究で分かりました。
- 日本人でCタイプの変異(CC+CA)を持つ人の割合は81.6%で、世界平均の89.6%と比べてやや低い割合です。
概要
【疾患の概要】 インスリン様成長因子1は、主に肝臓でつくられるホルモンで、成長ホルモンの刺激を受けて分泌されます。 骨や体の組織が正常に成長し、発達するために欠かせません。
【症状と特徴】 インスリン様成長因子1が少ないことは、成長ホルモンの働きの流れ(成長ホルモン軸)がうまくいっていないことを表し、成長ホルモンが十分に出ていない可能性があります。 どのような形で現れるかは、ホルモンが足りなくなった年齢によって変わります。 子供の場合、成長ホルモンが少ないためにインスリン様成長因子1が減ると、成長がうまく進まなくなることがあります。 同じ年齢・性別の人と比べて、背が伸びるスピードが遅く、背が低いのが特徴です。 また、思春期が始まるのが遅れたり、一生のうちで最も多い骨の量(最大骨量)が少なくなったり、筋肉や骨など脂肪以外の体重に比べて脂肪が増えたりすることもあります。 大人の場合、影響は比較的軽いものの、筋肉の量や力が落ちる、骨密度が下がって骨粗しょう症になりやすくなる、体の中での脂肪の使われ方(脂質代謝)が変わって心臓や血管の病気のリスクが高まる、元気が出にくくなったり生活の質が下がったりする、といった影響が出る可能性があります。
【治療と注意点】 診断と治療では、成長ホルモンの量、インスリン様成長因子1の量、そのほかの検査の結果を調べ、必要に応じて成長ホルモン療法を行います。 この治療は、インスリン様成長因子1の量を正常に戻し、成長ホルモンが足りないことによる影響を軽くすることを目的としています。
【遺伝子との関係】 スタンフォード大学のSinnott-Armstrongらの研究により、成長ホルモンの分泌がrs2048672というDNA領域と関係していることが分かりました。 このDNA領域にはCC、CA、AAの3つの遺伝子型があり、Cを持つ遺伝子型の人は、成長ホルモンの分泌が多い傾向にあることが分かりました。
成長ホルモンレベルとは何か
成長ホルモンレベルとは、主に肝臓でつくられるインスリン様成長因子1というホルモンの血液中の濃度を目安にした、ホルモンの状態のことです。成長ホルモンに反応して分泌されるインスリン様成長因子1は、骨や体の組織が正常に成長・発達するために欠かせない役割を果たします。
インスリン様成長因子1が少ないことが表すもの
インスリン様成長因子1が少ないことは、成長ホルモンの働きの流れ(成長ホルモン軸)の不調を表し、成長ホルモンが十分に出ていない可能性があります。この状態は、ホルモンが足りなくなった年齢によって、異なる症状を引き起こします。
子供と成人で異なる成長ホルモン低下の影響
| 比較項目 | 子供の場合 | 成人の場合 |
|---|---|---|
| 成長 | 成長速度の低下・低身長 | 筋肉量・筋力の低下 |
| 骨 | 最大骨量(一生で最も多い骨の量)の減少 | 骨密度の低下(骨粗しょう症になりやすくなる) |
| 体組成 | 脂肪の増加(筋肉や骨など脂肪以外の体重と比べて) | 体の中での脂肪の使われ方の変化(心臓や血管の病気のリスクが上がる) |
| 発達・心理 | 思春期の始まりが遅れます。 | 元気が出にくくなる・生活の質の低下 |
成長ホルモン低下の診断と治療
診断では、成長ホルモンの量、インスリン様成長因子1の量、そのほかの検査の結果を調べます。必要に応じて成長ホルモン療法を行い、インスリン様成長因子1の量を正常に戻して、成長ホルモンが足りないことによる影響を軽くすることを目指します。
- 血液検査:インスリン様成長因子1の濃度や、成長ホルモンの分泌を促す検査(分泌刺激試験)で調べます。
- 治療法:成長ホルモンを補う治療(成長ホルモン補充療法)で分泌を正常に近づけます。
- 治療効果:骨密度の改善・筋肉量の増加・血液中の脂質の状態の改善
遺伝子と成長ホルモンレベルの関連
DNA領域rs2048672と成長ホルモンの関係
スタンフォード大学のSinnott-Armstrongらの研究により、成長ホルモンの分泌がDNA領域rs2048672と関連していることが明らかになりました。
- rs2048672にはCC・CA・AAの3つの遺伝子型が存在します。
- Cタイプを持つ遺伝子型(CC型・CA型)の人は成長ホルモンの分泌が多い傾向があります。
日本人と世界における遺伝子型分布の比較(rs2048672)
| 遺伝子型 | 日本人の割合 | 世界の割合 |
|---|---|---|
| CC型 | 32.7% | 46.2% |
| CA型 | 48.9% | 43.4% |
| AA型 | 18.3% | 10.2% |
日本人でCタイプの変異を持つ人(CC+CA)の割合は81.6%であり、世界平均の89.6%と比べてやや低い割合です。一方、AA型の割合は日本人が18.3%で、世界平均の10.2%より約1.8倍高く、日本人ではAタイプの変異を持つ人が比較的多いことが分かります。
検査の理論的根拠
代表的なDNA領域:成長ホルモンレベル
成長ホルモンレベルに最も強く関係するDNA領域は、rs2048672です。日本におけるこのDNA領域の遺伝子型の分布は、下記のとおりです。
- CC
32.7 % - CA
48.9 % - AA
18.3 %
検査の根拠
スタンフォード大学のSinnott-Armstrongらの研究により、成長ホルモンの分泌が遺伝子と関係していることが分かりました。人間のDNAには、rs2048672という場所があり、そこにはCとAの2種類のタイプ(変異)があります。Cタイプを持つ人は、成長ホルモンの分泌が多い傾向にあることが分かりました。
今回調査したDNA領域
細胞の中にあるDNAの地図(模式図)
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関連遺伝子
| 関連遺伝子 | LINC-PINT |
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よくある質問
Q1. 成長ホルモンレベルとは何ですか?
成長ホルモンレベルとは、主に肝臓でつくられるインスリン様成長因子1というホルモンの血液中の濃度を目安にした、ホルモンの状態のことです。成長ホルモンに反応して分泌され、骨・筋肉・体の組織が正常に成長し、発達するために欠かせない役割を果たします。インスリン様成長因子1が少ないことは、成長ホルモンの働きの流れ(成長ホルモン軸)がうまくいっていない可能性を表します。
Q2. 成長ホルモンレベルは遺伝子と関連していますか?
はい。スタンフォード大学のSinnott-Armstrongらの研究により、DNA領域rs2048672が成長ホルモンの分泌と関係していることが分かっています。rs2048672にはCC・CA・AAの3つの遺伝子型があり、Cタイプを持つ遺伝子型の人は成長ホルモンの分泌が多い傾向にあります。
Q3. 成長ホルモンが低下するとどのような症状が出ますか?
子供の場合は成長速度の低下・低身長・思春期の遅れ・最大骨量(一生で最も多い骨の量)の減少が見られます。大人の場合は、筋肉量の減少、骨密度の低下(骨粗しょう症になりやすくなる)、体の中での脂肪の使われ方の変化(心臓や血管の病気のリスクが上がる)、元気が出にくくなることなどが報告されています。
Q4. 成長ホルモンレベルに関係する遺伝子型(rs2048672)は、日本人ではどのように分布していますか?
日本人におけるrs2048672の遺伝子型分布はCC型32.7%、CA型48.9%、AA型18.3%です。世界全体ではCC型46.2%、CA型43.4%、AA型10.2%で、日本人はAA型の割合が世界平均の約1.8倍高いという特徴があります。