性欲減退しやすさ
- 性欲減退しやすさとは、テストステロンの値が下がることで、性的な欲求が減りやすい体質の傾向で、年齢・生活習慣・遺伝子の影響を受けます。
- DNA領域rs10168169のTタイプを持つ人は性欲が減退しやすい傾向にあることがエクセター大学の研究(2020年)で分かりました。
- 日本人でTタイプを持つ人(CT+TT)の割合は71.9%で、世界平均の93.1%と比べて低い割合です。
概要
【疾患の概要】 テストステロンは、主に男性の体の中で作られる代表的な性ホルモンです。筋肉の量、体毛、低い声など、男性らしい特徴が現れることに関わっています。女性の体の中にも少しだけあります。
【症状と特徴】 テストステロンの値は体のいろいろな働きに影響するため、値を測ることは、健康状態やホルモンのバランスを知るうえでとても大切です。 テストステロンは、血液の中で3つの状態で存在します。 1つ目は、性ホルモン結合グロブリン(性ホルモンを運ぶタンパク質)とくっついた状態で、約60%がこの状態です。 2つ目は、アルブミンというタンパク質に弱くくっついた状態で、これが約40%です。 3つ目は、何ともくっついていない自由テストステロン(フリー・テストステロン)で、これが約1〜2%程度です。 体の中で最もよく働くのは自由テストステロンで、実際に体の働きに影響を与えるのはこの部分です。
【治療と注意点】 テストステロンの値は、血液検査で調べます。 この検査では、テストステロンの総量、性ホルモン結合グロブリンとくっついたテストステロン、そして自由テストステロンの量を調べます。 総量は体の中のテストステロン全体の量を示しますが、実際に使えるテストステロンの量を知るには、自由テストステロンの値や性ホルモン結合グロブリンの値もあわせて見る必要があります。 男性の場合、テストステロンの値は年齢、生活習慣、健康状態などによって変わります。 一般的に、テストステロンの値は思春期から大人になるころに最も高くなり、その後は年をとるにつれて少しずつ下がります。 テストステロンの値が低いと、性欲の低下や筋力の低下などの症状が起こります。
【遺伝的リスク】 エクセター大学のRuthらの研究により、性欲減退のしやすさがrs10168169というDNA領域と関係していることが分かりました。 このDNA領域にはCC、CT、TTの3つの遺伝子型があり、Tを持つ遺伝子型の人は、性欲が減退しやすい傾向にあることが分かりました。
性欲減退しやすさとは何か
性欲減退しやすさとは、テストステロンの値が下がることで、性的な欲求が減りやすい体質の傾向を指します。テストステロンは男性の代表的な性ホルモンで、女性の体の中にも少しだけあります。このホルモンは、筋肉の量・体毛・低い声など、男性らしい特徴が現れることに関わっています。
テストステロンとは?血液中の3つの形
テストステロンは血液中で以下の3つの形で存在します。
| 存在形態 | 割合 | 特徴 |
|---|---|---|
| 性ホルモン結合グロブリンとくっついた型 | 約60% | 性ホルモン結合グロブリン(性ホルモンを運ぶタンパク質)とくっついた状態 |
| アルブミンとくっついた型 | 約40% | アルブミンというタンパク質に弱くくっついた状態 |
| 自由テストステロン | 約1〜2% | 何ともくっついていない状態で、最もよく働きます。 |
自由テストステロン(フリー・テストステロン)が体の中で最もよく働く状態で、実際に体の働きに影響を与えるのはこの部分です。
テストステロンの値が変わる理由
テストステロンの値は以下の理由で変わります。
- 加齢:思春期〜成人期に最も高くなり、その後は年をとるにつれて1年に約1〜2%ずつ低下します。
- 生活習慣:睡眠不足・運動不足・飲みすぎ・肥満が低下を早めます。
- ストレス:長く続くストレスはコルチゾール(ストレスホルモン)を増やし、テストステロンが作られるのを抑えます。
- 健康状態:糖尿病・メタボリックシンドローム・甲状腺機能低下症(甲状腺ホルモンが不足する病気)が関係しています。
テストステロン低下による症状のくらべ
| 分類 | 主な症状 | 影響度 |
|---|---|---|
| 性機能 | 性欲の低下・勃起障害 | 高い |
| 身体面 | 筋力の低下・体脂肪の増加が起こり、骨がもろくなります。 | 中〜高い |
| 精神面 | 疲れやすさ・集中力の低下・気分の落ち込み | 中程度 |
| 代謝面 | インスリン(血糖を下げるホルモン)が効きにくくなる・メタボリックシンドローム | 中程度 |
遺伝子と性欲減退しやすさの関連
DNA領域rs10168169と性欲減退の関係
エクセター大学のRuthらの研究(2020年、Nature Medicine掲載)により、性欲減退しやすさがDNA領域rs10168169と関係していることが分かりました。
- rs10168169にはCC・CT・TTの3つの遺伝子型が存在します。
- Tを持つ遺伝子型(CT型・TT型)の人は性欲が減退しやすい傾向があります。
日本人と世界における遺伝子型分布の比較(rs10168169)
| 遺伝子型 | 日本人の割合 | 世界の割合 |
|---|---|---|
| CC型 | 27.9% | 6.7% |
| CT型 | 49.8% | 38.4% |
| TT型 | 22.1% | 54.7% |
日本人でTタイプを持つ人(CT+TT)の割合は71.9%で、世界平均の93.1%と比べて低い割合です。日本人はCC型(性欲減退しにくい型)を持つ人の割合が27.9%で、世界平均6.7%の約4.2倍高いという特徴があります。
その他の関係するDNA領域
性欲減退しやすさには、rs10168169以外にも以下のDNA領域が関係しています。
| DNA領域 | 日本人の主要遺伝子型 | 世界の主要遺伝子型 |
|---|---|---|
| rs1180894 | GG 99.9% | GG 56.1% |
| rs147676232 | CC 99.9% | CC 97.5% |
| rs6031598 | GG 40.8% | TT 33.7% |
| rs35318931 | GG 99.9% | GG 86.1% |
| rs4092465 | AA 59.9% | AG 47.7% |
| rs55771168 | TC 48.5% | TT 49.6% |
検査の科学的な根拠
代表的なDNA領域:性欲減退しやすさ
性欲減退しやすさに最も強く影響するDNA領域は、rs10168169です。 日本におけるこの領域の遺伝子型の分布は下記のとおりです。
- CC
27.9 % - CT
49.8 % - TT
22.1 %
他に、性欲減退しやすさに関わるDNA領域にはrs1180894があります。 日本におけるこの領域の遺伝子型の分布は下記のとおりです。
- GG
99.9 % - GA
0.1%以下 - AA
0.1%以下
他に、性欲減退しやすさに関わるDNA領域にはrs147676232があります。 日本におけるこの領域の遺伝子型の分布は下記のとおりです。
- CC
99.9 % - CT
0.1%以下 - TT
0.1%以下
他に、性欲減退しやすさに関わるDNA領域にはrs6031598があります。 日本におけるこの領域の遺伝子型の分布は下記のとおりです。
- GG
40.8 % - GT
46.1 % - TT
13.0 %
他に、性欲減退しやすさに関わるDNA領域にはrs35318931があります。 日本におけるこの領域の遺伝子型の分布は下記のとおりです。
- GG
99.9 % - GA
0.1%以下 - AA
0.1%以下
他に、性欲減退しやすさに関わるDNA領域にはrs4092465があります。 日本におけるこの領域の遺伝子型の分布は下記のとおりです。
- AA
59.9 % - AG
34.9 % - GG
5.1 %
他に、性欲減退しやすさに関わるDNA領域にはrs55771168があります。 日本におけるこの領域の遺伝子型の分布は下記のとおりです。
- TT
34.4 % - TC
48.5 % - CC
17.0 %
検査の根拠
エクセター大学のRuthらの研究により、性欲減退しやすさが遺伝子と関係していることが分かりました。人間のDNAにはrs10168169という領域があり、そこにはCとTの2種類の違いがあります。Tタイプを持つ人は、性欲が減退しやすい傾向にあることが分かりました。
今回調査したDNA領域
細胞の中にあるDNAマップの模式図
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関連遺伝子
| 関連遺伝子 | ANAPC1 |
|---|---|
| 関連遺伝子 | BEX3 |
| 関連遺伝子 | STARD8 |
| 関連遺伝子 | HNF4A |
| 関連遺伝子 | SRPX |
| 関連遺伝子 | ST8SIA3 |
| 関連遺伝子 | CCDC153 |
よくある質問
Q1. 性欲減退しやすさとは何ですか?
性欲減退しやすさとは、テストステロンの値が下がることで、性的な欲求が減りやすい体質の傾向を指します。テストステロンは男性の代表的な性ホルモンで、年齢・生活習慣・遺伝子の影響によって低下します。血液中のテストステロンのうち、実際に体の働きに影響を与えるのは約1〜2%の自由テストステロン(フリー・テストステロン)です。
Q2. 性欲減退しやすさは遺伝子と関係していますか?
はい。エクセター大学のRuthらの研究(2020年、Nature Medicine掲載)により、DNA領域rs10168169が性欲減退しやすさと関係していることが分かっています。rs10168169にはCC・CT・TTの3つの遺伝子型があり、Tを持つ遺伝子型(CT型・TT型)の人は性欲が減退しやすい傾向にあります。
Q3. テストステロンの正常値はどのくらいですか?
テストステロンは血液中で3つの形で存在します。約60%が性ホルモン結合グロブリン(性ホルモンを運ぶタンパク質)とくっついた型、約40%がアルブミンとくっついた型、約1〜2%が自由テストステロンです。値は思春期〜成人期に最も高くなり、その後は年をとるにつれて1年に約1〜2%ずつ下がります。血液検査でテストステロンの総量・性ホルモン結合グロブリンの値・自由テストステロンの値を測ると、実際に使えるテストステロンの量が分かります。
Q4. 性欲減退に関係するDNA領域の日本人における分布は?
日本人におけるrs10168169の遺伝子型分布はCC型27.9%、CT型49.8%、TT型22.1%です。世界全体ではCC型6.7%、CT型38.4%、TT型54.7%で、日本人はCC型(性欲減退しにくい型)を持つ人の割合が世界平均の約4.2倍高いという特徴があります。
Q5. 性欲減退を予防する方法はありますか?
テストステロンの値を保つには、以下の対策が役立ちます。
- 適度な運動:筋力トレーニングはテストステロンが出るのを助けます。
- 十分な睡眠:7〜8時間の睡眠がホルモンのバランスを保つのに大切です。
- バランスの良い食事:亜鉛・ビタミンDを含む食品を積極的にとります。
- ストレス管理:長く続くストレスを減らし、コルチゾール(ストレスホルモン)が増えるのを抑えます。