seeDNAロゴアイコン 数学能力

概要

概要

数学は、数字や図形を用いて理論を学ぶ学問の一つであり、社会生活を送るための基盤として欠かせないものとなっています。しかし、数学に対する好き嫌いがはっきりと分かれる学問でもあります。
好きな人が多い一方で、苦手な人も多いため、数学を学ぶことによって得られる論理的思考力やひらめき力は、特に数学が得意でない人にとっては大きなメリットとなります。
これらの能力は、将来的に仕事やプレゼンなどで情報を伝える力として役立つだけでなく、何か問題が生じた場合でも解決へ導く力になります。
数学の才能は、遺伝と環境によって影響されると報告されており、ふたご行動発達研究センター長の安藤教授によると、遺伝的要因が87%、環境的要因が13%関与しているとされています。(参考リンク1)
近年では、数学的才能に関わる遺伝子が複数発見されています。
今回は、数学の学歴と関連しているとされるMIR924HGという遺伝子付近の部位について説明します。

理論的根拠

MIR924HG遺伝子付近の特定タイプが、数学の学歴が高い人が多い傾向にあることが、アメリカのミネソタ大学心理学科での研究から明らかになりました。
この部位は「rs62098997」と呼ばれ、AA、AG、GGの3つの遺伝子型があります。AAタイプの遺伝子型をもつ人は、数学に関する学歴が高い傾向にあり、AGタイプの人はやや高い傾向があることがわかっています。(参考リンク2)
日本人の遺伝子タイプは、GGタイプが最も多い 88.0%、AGタイプは11.6%、AAタイプは最も少ない0.4%を示します。(参考リンク3)
ただし、遺伝子タイプに限らず、数学の学歴と関連があるわけではありません。数学的才能は、遺伝子タイプにかかわらず、努力次第で開花するものであり、例えばロジャー・ペンローズ氏のようにきっかけや努力によって才能を発揮することができます。
遺伝子検査で遺伝子タイプを調べることは、才能の開花や早期対策に役立つ可能性があります。

作用機序

MIR924宿主遺伝子(MIR924HG)は、ヒトに共通する24の染色体のうち、18番染色体に位置します。MIR924HGはさまざまながん細胞や精巣、皮膚に多く発現していますが、脳では側頭葉皮質に最も発現することがわかっています。(参考リンク4、5)
MIR924HGの機能や数学的能力に関するメカニズムは、まだ解明されていません。しかし、MIR924HGが学習障害と関連があることや側頭葉の損傷が言語情報から数字への変換障害と結びつきがあることから、MIR924HG付近に存在するrs62098997と数学の学歴が関係しているのではないかと推測することができます。(参考リンク6)
以上のように、「rs62098997」は数学の学歴と深く関係し、数学的能力として注目を浴びているDNA領域の一つです。

遺伝子領域rs62098997において日本で各遺伝タイプを持つ人の割合

89.70% 10.02% 0.28%
  • GG89.70%
  • GA10.02%
  • AA0.28%

遺伝子領域rs62098997において世界で各遺伝タイプを持つ人の割合

97.11% 2.87% 0.02%
  • GG97.11%
  • GA2.87%
  • AA0.02%

遺伝子領域rs4650204において日本で各遺伝タイプを持つ人の割合

48.60% 42.23% 9.17%
  • GG48.60%
  • GT42.23%
  • TT9.17%

遺伝子領域rs4650204において世界で各遺伝タイプを持つ人の割合

41.99% 45.62% 12.39%
  • GG41.99%
  • GT45.62%
  • TT12.39%

seeDNAロゴアイコン検査の理論的根拠

体表的なDNA領域:数学能力

体表的なDNA領域:数学能力

数学能力 に最も強く影響する遺伝子領域は、rs62098997です。 日本における同型の遺伝子タイプの分布は下記のとおりです。

  • GG

    89.7
    %
  • GA

    10.0
    %
  • AA

    0.3
    %

他に、数学能力に関わる遺伝子領域はrs4650204があります。 日本における同型の遺伝子タイプの分布は下記のとおりです

  • GG

    48.6
    %
  • GT

    42.2
    %
  • TT

    9.2
    %

検査の根拠

ミネソタ大学ツインシティーズのLeeらの研究により、数学能力が遺伝子と関連していることが明らかになりました。人間のゲノムには、rs62098997という領域が存在し、その領域の遺伝子にはGとAの2種類の変異があります。Gタイプの変異を持つ人は、数学能力が高い傾向にあることが分かりました。

seeDNAロゴアイコン今回調査したDNA領域

細胞中に存在するDNAマップの模式図

seeDNAロゴアイコン関連遺伝子

関連遺伝子 MIR924HG
関連遺伝子 LINC02791

seeDNAロゴアイコン参考文献

  • 関連遺伝子 MIR924HG
  • 参考リンク : 2018 Jul、James J Leeと研究グループがNat Genet に発表したGene discovery and polygenic prediction from a genome-wide association study of educational attainment in 1.1 million individualsという研究によると数学能力 に関連するrs62098997の関連性が認められました。
  • 関連遺伝子 LINC02791
  • 参考リンク : 2018 Jul、James J Leeと研究グループがNat Genet に発表したGene discovery and polygenic prediction from a genome-wide association study of educational attainment in 1.1 million individualsという研究によると数学能力 に関連するrs4650204の関連性が認められました。