単球減少症
- 単球減少症とは、血液の中の単球の数がふつうより少なくなる状態で、骨髄の異常・感染症・薬・自己免疫疾患・栄養不足がおもな原因です。
- DNA領域rs10876469のTタイプを持つ人は単球減少症になりやすい傾向があることが、ケンブリッジ大学の研究でわかりました。
- 日本人でGG型を持つ人の割合は54.8%で、世界平均の10.1%より高く、TT型は6.7%と世界平均の46.4%より低いです。
概要
【病気の概要】 単球減少症とは、血液の中の単球の数がふつうより少なくなる状態です。原因には、骨髄(血液をつくる場所)の異常、感染症、薬、自己免疫疾患(免疫が自分の体を攻撃してしまう病気)、栄養不足などがあります。 単球は白血球の一種で、感染症から体を守るしくみの一部として、死んだ細胞や異物を取り除く役割を持っています。
【症状と特徴】 単球は骨髄でつくられ、血液の中をめぐったあと、最終的にマクロファージや樹状細胞という別の免疫細胞に変わります。 単球減少症そのものは、決まった症状を起こしません。ただし、単球の数が減ると、感染症にかかりやすくなります。 感染症のサインには、発熱、体の痛み、だるさ、何度も感染症にかかる、感染症が長引くなどがあります。 これらの症状は、体が感染症と戦う力が弱まっていることを表しています。
【治療と注意点】 単球減少症は血液検査で診断します。 血液の中の細胞の数をまとめて調べる検査(全血球計算)で単球の数を測り、原因を調べるために、さらに別の検査をすることもあります。 治療法は原因によって違います。 たとえば、骨髄の異常が原因の場合は、骨髄移植や特定の薬が使われることがあります。 感染症が原因の場合は、抗生物質や抗ウイルス薬が使われます。 薬が原因の場合は、その薬をやめたり変えたりすることがあります。栄養不足が原因の場合は、栄養補助食品や食事の見直しが行われることがあります。
【遺伝子との関係】 ケンブリッジ大学のVuckovicらの研究で、単球減少症へのなりやすさがrs10876469というDNA領域と関係していることがわかりました。 このDNA領域にはTT、TG、GGの3つの遺伝子型があり、Gを持つ遺伝子型の人は、単球減少症になりやすい傾向があることがわかりました。
単球減少症とは何か
単球減少症とは、血液の中の単球の数がふつうより少なくなる、血液の病気です。単球は白血球の一種で、感染症から体を守るしくみの中で、死んだ細胞や異物を取り除く大切な役割を持っています。単球は骨髄でつくられ、血液の中をめぐったあと、最終的にマクロファージや樹状細胞という別の免疫細胞に変わります。
単球減少症が起こる5つの原因
単球減少症の原因は、次の5つに大きく分けられます。
| 原因の分類 | 具体例 | 主な治療法 |
|---|---|---|
| 骨髄の異常 | 骨髄不全、再生不良性貧血 | 骨髄移植、特定の薬 |
| 感染症 | 重い感染症、敗血症 | 抗生物質、抗ウイルス薬 |
| 薬 | 化学療法薬(抗がん剤など)、免疫抑制剤 | 薬をやめる・変える |
| 自己免疫疾患 | 全身性エリテマトーデスなど | 免疫を整える治療 |
| 栄養不足 | ビタミンB12不足、葉酸不足 | 栄養補助食品、食事の見直し |
単球減少症の症状と診断方法
単球減少症そのものは決まった症状を直接起こしませんが、単球の数が減ると感染症にかかりやすくなります。感染症のサインとして、次のような症状が見られます。
- 発熱:38℃以上の熱が続きます。
- だるさ:体全体のだるさ、疲れやすさ
- 体の痛み:筋肉の痛みや関節の痛み
- 何度もかかる感染症:何度も感染症にかかります。
- 長引く感染症:ふつうより治るのに時間がかかります。
診断は全血球計算(血液中の細胞の数をまとめて調べる検査)という血液検査で行い、単球の数を測ります。原因を調べるために、さらに別の検査をすることもあります。
遺伝子と単球減少症の関係
DNA領域rs10876469と単球減少症の関係
ケンブリッジ大学のVuckovicらの研究で、単球減少症へのなりやすさがDNA領域rs10876469と関係していることがわかりました。
- rs10876469にはTT・TG・GGの3つの遺伝子型があります。
- Tタイプを持つ遺伝子型(TT型・TG型)の人は単球減少症になりやすい傾向があります。
その他の関連DNA領域
単球減少症にはrs10876469のほか、以下の6つのDNA領域も関連しています。
- rs148665432:日本人でCC型を持つ人の割合は99.9%です(世界平均95.3%)。
- rs374039502:日本人でTT型を持つ人の割合は99.9%です(世界平均95.9%)。
- rs434216:日本人でTT型を持つ人の割合は37.8%です(世界平均41.1%)。
- rs55771168:日本人でTT型を持つ人の割合は34.4%です(世界平均49.6%)。
- rs6686197:日本人でCC型を持つ人の割合は99.9%です(世界平均77.0%)。
- rs76080105:日本人でTT型を持つ人の割合は95.2%です(世界平均99.9%)。
日本人と世界における遺伝子型分布の比較(rs10876469)
| 遺伝子型 | 日本人の割合 | 世界の割合 |
|---|---|---|
| TT型 | 6.7% | 46.4% |
| TG型 | 38.4% | 43.3% |
| GG型 | 54.8% | 10.1% |
日本人と世界における遺伝子型分布の比較(rs434216)
| 遺伝子型 | 日本人の割合 | 世界の割合 |
|---|---|---|
| TT型 | 37.8% | 41.1% |
| TC型 | 47.3% | 46.0% |
| CC型 | 14.7% | 12.8% |
日本人と世界における遺伝子型分布の比較(rs55771168)
| 遺伝子型 | 日本人の割合 | 世界の割合 |
|---|---|---|
| TT型 | 34.4% | 49.6% |
| TC型 | 48.5% | 41.6% |
| CC型 | 17.0% | 8.7% |
日本人はrs10876469においてGG型が54.8%をしめ、世界平均の10.1%と比べてかなり高い割合です。一方、なりやすいとされるTT型は6.7%で、世界平均の46.4%より低くなっています。日本人は、遺伝子の影響で見ると単球減少症になりにくい傾向があることがわかります。
検査の科学的な根拠
代表的なDNA領域:単球減少症
単球減少症に最も強く影響するDNA領域は、rs10876469です。 日本でのこの場所の遺伝子型の分布は下のとおりです。
- TT
6.7 % - TG
38.4 % - GG
54.8 %
ほかに、単球減少症に関わるDNA領域としてrs148665432があります。 日本でのこの場所の遺伝子型の分布は下のとおりです。
- CC
99.9 % - CT
0.1%以下 - TT
0.1%以下
ほかに、単球減少症に関わるDNA領域としてrs374039502があります。 日本でのこの場所の遺伝子型の分布は下のとおりです。
- TT
99.9 % - TA
0.1%以下 - AA
0.1%以下
ほかに、単球減少症に関わるDNA領域としてrs434216があります。 日本でのこの場所の遺伝子型の分布は下のとおりです。
- TT
37.8 % - TC
47.3 % - CC
14.7 %
ほかに、単球減少症に関わるDNA領域としてrs55771168があります。 日本でのこの場所の遺伝子型の分布は下のとおりです。
- TT
34.4 % - TC
48.5 % - CC
17.0 %
ほかに、単球減少症に関わるDNA領域としてrs6686197があります。 日本でのこの場所の遺伝子型の分布は下のとおりです。
- GG
0.1%以下 - GC
0.1%以下 - CC
99.9 %
ほかに、単球減少症に関わるDNA領域としてrs76080105があります。 日本でのこの場所の遺伝子型の分布は下のとおりです。
- TT
95.2 % - TC
4.6 % - CC
0.1%以下
検査の根拠
ケンブリッジ大学のVuckovicらの研究で、単球減少症へのなりやすさが遺伝子と関係していることがわかりました。人間のDNAには、rs10876469という場所があり、そこにはTとGの2種類の違いがあります。Tタイプを持つ人は、単球減少症になりやすい傾向があることがわかりました。
今回調査したDNA領域
細胞の中にあるDNAマップのイメージ図
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関連遺伝子
| 関連遺伝子 | ATF7 |
|---|---|
| 関連遺伝子 | AFF2 |
| 関連遺伝子 | TNFSF13B |
| 関連遺伝子 | COX4I1 |
| 関連遺伝子 | CCDC153 |
| 関連遺伝子 | UBE2Q1 |
| 関連遺伝子 | FLT3 |
よくある質問
Q1. 単球減少症とは何ですか?
単球減少症とは、血液の中の単球の数がふつうより少なくなる、血液の病気です。単球は白血球の一種で、感染症から体を守るしくみとして、死んだ細胞や異物を取り除く役割を持ちます。単球は骨髄でつくられ、血液の中をめぐったあと、マクロファージや樹状細胞に変わります。単球の数が減ると、感染症にかかりやすくなります。
Q2. 単球減少症の原因は何ですか?
単球減少症の原因は5つのグループに大きく分けられます。骨髄の異常(骨髄不全・再生不良性貧血)、感染症(重い感染症・敗血症)、薬(抗がん剤などの化学療法薬・免疫抑制剤)、自己免疫疾患(全身性エリテマトーデス)、栄養不足(ビタミンB12不足・葉酸不足)です。治療法は原因によって違います。
Q3. 単球減少症は遺伝子と関係していますか?
はい。ケンブリッジ大学のVuckovicらの研究で、DNA領域rs10876469が単球減少症へのなりやすさと関係していることがわかりました。rs10876469にはTT・TG・GGの3つの遺伝子型があり、Tを持つ遺伝子型の人はなりやすい傾向があります。そのほか6つのDNA領域にも関係があることが確認されています。
Q4. 単球減少症の遺伝子型(rs10876469)は、日本人ではどのように分布していますか?
日本人でのrs10876469の遺伝子型の分布はTT型6.7%、TG型38.4%、GG型54.8%です。世界全体ではTT型46.4%、TG型43.3%、GG型10.1%で、日本人はGG型の割合が世界平均よりかなり高い傾向があります。
Q5. 単球減少症にはどのような症状がありますか?
単球減少症そのものは決まった症状を起こしませんが、感染症にかかりやすくなるが問題になります。感染症のサインとして、発熱、体の痛み、だるさ、何度も感染症にかかる、感染症が長引くなどが見られます。診断は、血液の中の細胞の数をまとめて調べる血液検査(全血球計算)で行います。
参考文献
- 参考リンク1 : 2020 Sep., Dragana Vuckovic, Cell
- 参考リンク2 : 2020 Sep., Ming-Huei Chen, Cell
- 参考リンク3 : 2016 Nov., William J Astle, Cell
- 参考リンク4 : 2021 Jun., Yao Hu, BMC Genomics