単球増加症
- 単球増加症とは、血液の中の単球が白血球全体の8%を超えて増えている状態で、長く続く感染症・炎症・自己免疫疾患・一部の白血病などで起こります。
- DNA領域rs16994583のGタイプを持つ人は単球増加症になりやすい傾向があることが、ケンブリッジ大学の研究で分かりました。
- 日本人のGG型保有率は99.9%で、世界平均の84.3%より高い割合です。
概要
【疾患の概要】 単球増加症は、血液の中で単球(白血球の一種)の割合が増えている状態のことです。 単球は、ばい菌から体を守ったり、死んだ細胞を片付けたりする、体の守り(免疫)に欠かせない細胞です。単球増加症は、ふつう、体が何かの状態に反応して単球を増やしていることを表しています。
【症状と特徴】 単球の増加は、長く続く感染症や炎症、自己免疫疾患(免疫が自分の体を攻撃してしまう病気)、ある種の白血病など、いろいろな場面で見られます。
【治療と注意点】 ふつう、大人の血液検査では、単球は白血球全体の約2〜8%を占めます。 しかし、単球増加症ではこの割合が大きく上がり、病気が進んでいるか、回復しているか、まれには血液の病気がないかを知る手がかりになります。 単球の数が増えていることは、体の守り(免疫)の働きが強まっているサインとして、診断の大切な手がかりになります。また、治療がうまくいっているかや病気の進み具合を確かめるためにも調べられます。
【遺伝子との関係】 ケンブリッジ大学のVuckovicらの研究で、単球増加症のなりやすさがrs16994583というDNA領域と関係していることが分かりました。 このDNA領域にはGG,GA,AAの3つの遺伝子型があり、Gを持つ遺伝子型の人は、単球増加症になりやすい傾向があることが分かりました。
単球増加症とは何か
単球増加症とは、血液の中の単球の割合が、白血球全体の8%を超えて増えている状態です。単球は体の守り(免疫)に欠かせない白血球の一種で、ばい菌から体を守ったり、死んだ細胞を片付けたりしています。
単球の正常値と異常値の基準
大人の血液検査での単球の基準値は次のとおりです。
| 指標 | 正常範囲 | 単球増加症の基準 |
|---|---|---|
| 白血球の中の割合 | 2〜8% | 8%超 |
| 血液1μLあたりの数 | 200〜800個/μL | 800個/μL超 |
この基準を超えて単球が増えた状態が続く場合、何かの病気がある、または体の守り(免疫)の働きが活発になっていることを知る大切な目安になります。
単球増加症が起こる主な原因
単球増加症は、体がいろいろな病気や状態に反応して、単球をたくさん作ることで起こります。主な原因は次の4つに分けられます。
- 長く続く感染症:結核、感染性心内膜炎、カビによる感染症(真菌感染症)など
- 自己免疫疾患:全身性エリテマトーデス(免疫が全身を攻撃する病気)、関節リウマチなど
- 炎症性の病気:サルコイドーシス、炎症性腸疾患(クローン病・潰瘍性大腸炎)など
- 血液の病気:慢性骨髄単球性白血病、骨髄異形成症候群など
単球増加症が持つ意味
単球数の増加は、体の守り(免疫)の働きが強まっていることを示す、診断の大切な手がかりです。単球増加症は、診察や検査で次のような意味を持ちます。
- 病気の進み具合の確認:単球の数の変化から、病気の勢いを判断できます。
- 治療の効果の確認:治療の効果を単球の数の変化で確かめます。
- 回復の目安:感染症が治りかけのときに、一時的に単球が増えることがあります。
- 血液の病気の検査:単球が増えた状態が続くと、血液の病気の可能性があります。
遺伝子と単球増加症の関係
DNA領域rs16994583と単球増加症の関係
ケンブリッジ大学のVuckovicらの研究で、単球増加症のなりやすさがDNA領域rs16994583と関係していることが分かりました。
- rs16994583にはGG・GA・AAの3つの遺伝子型があります。
- Gを持つ遺伝子型(GG型・GA型)の人は単球増加症になりやすい傾向があります。
DNA領域rs374039502の関わり
さらに、rs374039502も単球増加症に関係するDNA領域として見つかっています。
- rs374039502にはTT・TA・AAの3つの遺伝子型があります。
- この場所の違いも単球増加症のなりやすさに影響します。
日本人と世界における遺伝子型分布の比較(rs16994583)
| 遺伝子型 | 日本人の割合 | 世界の割合 |
|---|---|---|
| GG型 | 99.9% | 84.3% |
| GA型 | 0.1%以下 | 15.0% |
| AA型 | 0.1%以下 | 0.6% |
日本人と世界における遺伝子型分布の比較(rs374039502)
| 遺伝子型 | 日本人の割合 | 世界の割合 |
|---|---|---|
| TT型 | 99.9% | 95.9% |
| TA型 | 0.1%以下 | 4.0% |
| AA型 | 0.1%以下 | 0.1%以下 |
日本人はrs16994583においてGG型が99.9%を占め、世界平均の84.3%と比べて高い割合です。また、rs374039502でもTT型が99.9%とほぼ全員が同じ型であり、日本人の遺伝子の型の違い(ばらつき)は世界平均と比べて小さいことが分かります。
検査の考え方
代表的なDNA領域:単球増加症
単球増加症 に最も強く影響するDNA領域は、rs16994583です。 日本におけるこの場所の遺伝子の型の分布は下記のとおりです。
- GG
99.9 % - GA
0.1%以下 - AA
0.1%以下
他に、単球増加症に関わるDNA領域としてrs374039502があります。 日本におけるこの場所の遺伝子の型の分布は下記のとおりです。
- TT
99.9 % - TA
0.1%以下 - AA
0.1%以下
検査の根拠
ケンブリッジ大学のVuckovicらの研究で、単球増加症のなりやすさが遺伝子と関係していることが分かりました。人間のDNAには、rs16994583という場所があり、そこにはGとAの2種類の違いがあります。Gタイプを持つ人は、単球増加症になりやすい傾向があることが分かりました。
今回調査したDNA領域
細胞の中にあるDNAの模式図
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関連遺伝子
| 関連遺伝子 | RPL7L1P11 |
|---|---|
| 関連遺伝子 | TNFSF13B |
よくある質問
Q1. 単球増加症とは何ですか?
単球増加症とは、血液の中の単球の割合が、白血球全体の8%を超えて増えている状態です。単球は、ばい菌から体を守ったり死んだ細胞を片付けたりする免疫細胞です。長く続く感染症・炎症性の病気・自己免疫疾患・一部の白血病などで増えることがあります。大人の正常値は白血球全体の2〜8%です。
Q2. 単球増加症は遺伝子と関係していますか?
はい。ケンブリッジ大学のVuckovicらの研究で、DNA領域rs16994583が単球増加症のなりやすさと関係していることが分かりました。rs16994583にはGG・GA・AAの3つの遺伝子型があり、Gを持つ遺伝子型の人は単球増加症になりやすい傾向があります。
Q3. 単球増加症の原因は何ですか?
単球増加症の原因は4つのグループに分けられます。長く続く感染症(結核・心内膜炎)、自己免疫疾患(全身性エリテマトーデス・関節リウマチ)、炎症性の病気(サルコイドーシス・炎症性腸疾患)、血液の病気(慢性骨髄単球性白血病・骨髄異形成症候群)です。
Q4. 単球の正常値はどのくらいですか?
大人の血液検査では、単球は白血球全体の2〜8%を占めるのが正常範囲です。数でいうと、血液1μLあたり200〜800個が基準値です。この範囲を超えて増えた状態が続く場合に、単球増加症と診断されます。
Q5. 単球増加症の遺伝子型(rs16994583)の日本人における分布は?
日本人のrs16994583の遺伝子型の分布はGG型99.9%、GA型0.1%以下、AA型0.1%以下です。世界全体ではGG型84.3%、GA型15.0%、AA型0.6%で、日本人はほぼ全員がGG型です。
参考文献
- 参考リンク1 : 2020 Sep., Dragana Vuckovic, Cell