前立腺がんの死亡率
- 前立腺がんの死亡率はグリーソンスコア・前立腺特異抗原の値・転移の有無によって大きく変わり、早く見つければ生存率は約99%になります。
- rs723557というDNA領域のGの型を持つ人は前立腺がんの死亡率が高い傾向にあることが研究でわかりました。
- 定期的な前立腺特異抗原の血液検査と直腸診で早く見つけることと、一人ひとりに合わせた治療が死亡率を下げるカギです。
概要
【疾患の概要】 前立腺がんの死亡率とは、前立腺がんが直接の原因で亡くなる確率のことです。
【症状と特徴】 前立腺がんの死亡率は、がんの進みやすさや、診断されたときの状態に大きく左右されます。 がんの悪性度を表すグリーソンスコアや、血液検査でわかる前立腺特異抗原(前立腺から出るたんぱく質)の値が高い場合や、骨やリンパ節への転移がある場合にも死亡率は高くなります。 前立腺がんの悪性度は人によってさまざまで、ゆっくり進むものから、数年以内に命にかかわるものまであります。
【治療と注意点】 治療法には、手術や放射線療法から、ホルモン療法や化学療法(抗がん剤による治療)まで、さまざまな種類があります。 治療の効果は、診断のタイミングや体の状態、遺伝子の影響によっても変わります。 新しい治療薬や治療法が開発され、一人ひとりの状況に合わせて治療法を選べるようになってきました。 それでも、前立腺がんは高齢の男性や、家族に同じ病気になった人がいる男性にとって、大きな死因の一つです。そのため、定期健診で早く見つけ、適切な治療計画を立てることが大切です。
【遺伝子の影響】 カロリンスカ研究所のSzulkinらの研究により、前立腺がんの死亡率がrs723557というDNA領域と関係していることがわかりました。 このDNA領域にはTT、TG、GGの3つの遺伝子型があり、Gを持つ遺伝子型の人は、前立腺がんの死亡率が高い傾向にあることがわかりました。
前立腺がんの死亡率とは何か
前立腺がんの死亡率とは、前立腺がんが直接の原因で亡くなる確率を表す数字です。前立腺がんは男性に最も多いがんの一つで、死亡率はがんの悪性度や、診断されたときの進み具合(ステージ)に大きく左右されます。
前立腺がんの死亡率に影響する要因とは?
前立腺がんの死亡率を左右する要因はいくつかあります。主な要因は次のとおりです。
- グリーソンスコア:がん細胞の悪性度を6〜10の点数で表します。8以上は高リスクです。
- 前立腺特異抗原の値:前立腺から血液中に出るたんぱく質の濃さです。20ng/mL以上で死亡リスクが上がります。
- 転移の有無:骨やリンパ節への転移があると死亡率が大きく上がります。
- 診断されたときのステージ:ステージIV(がんが広がった段階)では見通しが悪いです。
- 年齢:75歳以上でかかる人・亡くなる人ともに増えます。
- 遺伝子の影響:家族の病歴やDNA領域rs723557の型が関係しています。
前立腺がんのステージ別の生存率の違い
| 比較項目 | がんが前立腺の中だけ(ステージI〜II) | がんが前立腺のまわりに広がる(ステージIII) | 転移あり(ステージIV) |
|---|---|---|---|
| 5年相対生存率 | 約99% | 約99% | 約30% |
| 治療法 | 手術・放射線療法・監視療法 | 放射線療法+ホルモン療法 | ホルモン療法・化学療法 |
| 転移リスク | 低い | 中程度 | 骨・リンパ節への転移あり |
前立腺がんの治療戦略
前立腺がんの治療法は、がんの進み具合と患者さんの体全体の状態に合わせて選ばれます。
- 手術(前立腺をすべて取り除く手術):前立腺の中だけにあるがんを完全に治すための治療です。
- 放射線療法:体の外から放射線を当てる方法、または小さな放射線源を前立腺に入れる方法で、がんのある場所を治療します。
- ホルモン療法(男性ホルモンを抑える治療):進んだがんや再発したがんに使います。
- 化学療法(抗がん剤による治療):ホルモン療法が効かなくなった転移がんに使います。
- 監視療法(定期的に検査しながら様子を見る方法):悪性度の低いがんに対して、すぐに治療せず様子を見ます。
早期発見の重要性
前立腺がんは早く見つければ、5年相対生存率(診断から5年後に生きている人の割合を、同じ年齢の人全体と比べた値)が約99%になります。定期的な前立腺特異抗原の血液検査と直腸診(おしりから指を入れて前立腺をさわる診察)が、早く見つけるためのカギです。50歳以上の男性(家族に前立腺がんの人がいる場合は40歳以上)は、年1回の検診を受けることがすすめられています。
遺伝子と前立腺がんの死亡率の関係
DNA領域rs723557と死亡リスクの関係
カロリンスカ研究所のSzulkinらの研究(1)により、rs723557というDNA領域が前立腺がんの死亡率と関係していることがわかりました。
- rs723557にはTT・TG・GGの3つの遺伝子型があります。
- Gの型を持つ遺伝子型の人は、前立腺がんの死亡率が高い傾向があります。
日本人の遺伝子型の割合(rs723557)
| 遺伝子型 | 日本人の割合 | 世界の割合 |
|---|---|---|
| TT型 | 96.0% | 84.3% |
| TG型 | 3.8% | 14.9% |
| GG型 | 0.1%以下 | 0.6% |
検査の理論的根拠
代表的なDNA領域:前立腺がんの死亡率
前立腺がんの死亡率に最も強く影響するDNA領域は、rs723557です。 日本でのそれぞれの遺伝子型の割合は下のとおりです。
- TT
96.0 % - TG
3.8 % - GG
0.1%以下
検査の根拠
カロリンスカ研究所のSzulkinらの研究により、前立腺がんの死亡率が遺伝子と関係していることがわかりました。rs723557というDNA領域にはTとGの2種類の型があり、Gの型を持つ人は前立腺がんの死亡率が高い傾向にあります(1)。
今回調査したDNA領域
細胞の中にあるDNAマップの模式図
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関係する遺伝子
| 関係する遺伝子 | PNPLA10P |
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よくある質問
Q1. 前立腺がんの死亡率とは何ですか?
前立腺がんの死亡率とは、前立腺がんが直接の原因で亡くなる確率を表す数字です。がんの悪性度(グリーソンスコア)、前立腺特異抗原の値、転移があるかどうか、診断されたときのステージによって大きく変わります(1)。
Q2. 前立腺がんの死亡率に影響する要因は何ですか?
主な要因はグリーソンスコア・前立腺特異抗原の値・骨やリンパ節への転移があるかどうか・診断されたときのステージ・年齢・遺伝子の影響です。rs723557というDNA領域でGの型を持つ人は、死亡率が高い傾向にあります(1)。
Q3. 前立腺がんの遺伝子検査で死亡リスクはわかりますか?
rs723557というDNA領域の遺伝子型を調べることで、前立腺がんで亡くなるリスクの傾向を知ることができます。Gの型を持つ遺伝子型の人は死亡率が高い傾向にあることが、カロリンスカ研究所の研究でわかっています(1)。
Q4. 前立腺がんを早く見つけることはなぜ大切ですか?
前立腺がんは早く見つければ、5年相対生存率(診断から5年後に生きている人の割合を、同じ年齢の人全体と比べた値)が約99%になります。一方、転移がある場合は約30%まで下がるため、50歳以上の男性は年1回の前立腺特異抗原の血液検査と直腸診がすすめられています。