乗り物酔い
概要
1. 概要
乗り物酔いは、約3人に1人がしやすいとされています。
電車、車、バスなどは多くの人々が日常的に利用していますが、乗り物酔いをしやすい人にとっては苦しい時間となることがあります。
乗り物酔いは、脳が矛盾した情報を受け取った時に起こると言われています。乗り物に乗っているとき、平衡感覚をつかさどる内耳は「動いている」という信号を、視覚をつかさどる目は「止まっている」という信号を脳に送ります。
このズレによって乗り物酔いが起こるのです。最近の研究では、遺伝子「TSHZ1」付近のある部位が乗り物酔いのしやすさに影響を与えていることが明らかになりました。
乗り物酔いの原因は、目や耳、脳など様々な要因によって異なります。遺伝子検査で乗り物酔いの原因を予測できれば、移動がより快適になるかもしれません。
2. 理論的根拠
乗り物酔いの主な原因は環境や生活習慣によるものが大きいが、遺伝子タイプによる影響もあるとされる。オックスフォード大学の研究により、遺伝子「TSHZ1」付近の特定タイプによって乗り物酔いしやすい人が多いことが明らかになった。
この部位は「rs10514168」と呼ばれ、3つの遺伝子型、「CC型」「CA型」「AA型」が存在しており、日本人の遺伝子タイプは、「CC型」が99.0%で最も多く、「CA型」が1.0%、「AA型」が0.00003%で最も少ない。
世界全体の遺伝子タイプは、「CC型」が73.4%で最も多く、「CA型」が24.5%、「AA型」が2.1%で最も少ない。
乗り物酔いに関係する遺伝子が「rs10514168」以外にもあるが、それらを多く持つ人は乗り物酔いをする可能性が高くなると考えられています。
3. 作用機序
乗り物酔いに関わる遺伝子「TSHZ1」は、ヒトに共通する24の染色体のうち、18番染色体に位置しています。
この遺伝子は、耳の器官である中耳と内耳に多く存在し、耳の正常な形成を制御する役割を持っており、内耳にある「三半規管」を形成するための遺伝情報を読み取り、伝える役割があります。
この「三半規管」は平衡感覚をつかさどる部位であり、乗り物酔いに深く関係していると考えられています。
以上のように、DNA領域「rs10514168」は乗り物酔いのしやすさに深く関係し、注目を浴びている SNV の一つです。
4.参考文献
遺伝子領域rs10514168において日本で各遺伝タイプを持つ人の割合
- CC99.04%
- CA0.96%
- AA0.00%
遺伝子領域rs10514168において世界で各遺伝タイプを持つ人の割合
- CC73.48%
- CA24.48%
- AA2.04%
検査の理論的根拠
体表的なDNA領域:乗り物酔い
体表的なDNA領域:乗り物酔い
乗り物酔い に最も強く影響する遺伝子領域は、rs10514168です。 日本における同型の遺伝子タイプの分布は下記のとおりです。
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CC
99.0% -
CA
1.0% -
AA
0.0%
検査の根拠
23andMe社のHromatkaらの研究により、乗り物酔いの罹患リスクが遺伝子と関連していることが明らかになりました。人間のゲノムには、rs10514168という領域が存在し、その領域の遺伝子にはCとAの2種類の変異があります。Cタイプの変異を持つ人は、乗り物酔いのリスクが高い傾向にあることが分かりました。
今回調査したDNA領域
細胞中に存在するDNAマップの模式図
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関連遺伝子
| 関連遺伝子 | TSHZ1 |
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参考文献
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関連遺伝子 TSHZ1
- 参考リンク : 2015 May、Bethann S Hromatkaと研究グループがHum Mol Genet に発表したGenetic variants associated with motion sickness point to roles for inner ear development, neurological processes and glucose homeostasisという研究によると乗り物酔い に関連するrs10514168の関連性が認められました。