音楽能力(音程の正確さ)
概要
1. 概要
音程認識力(音感)とは、音の高低や音色などを聴き分ける能力のことです。音楽関係の仕事に携わる人々は、この能力を身につけることが多く、音楽業界において重要な才能の一つです。
「遺伝とゲノム」という書籍によると、音楽的な才能は92%が遺伝的要因によるものであることが示されています。音楽家や歌手として活躍する人々の子供たちは、環境的要因だけでなく、DNAによる影響もあるため、同じような才能を持ちやすいとされています。
実際に、韓国のソウル国立大学で行われた研究によると、遺伝子「UGT8」が、人の音程認識力に大きな影響を与えることが明らかになりました。
遺伝子検査で確認することで、将来的に音楽関係の仕事、音大を目指す時の判断に役立つかもしれません。
2. 理論的根拠
「UGT8」遺伝子の特定タイプが、音程認識力に大きな影響を与えることを韓国のソウル国立大学の研究で明らかになりました。
音程認識力に影響を与える遺伝子領域「rs4148254」は、「TT型」、「CT型」、「CC型」と3つの遺伝子型があります。「TT型」タイプの人は音程認識力が高く、「CT型」タイプの人はやや高く、「CC型」タイプの人は音程認識力に乏しい傾向があります。
日本人の場合、「CC型」タイプが84.1%、「CT型」タイプが11.4%、そして「TT型」タイプが最も少ない4.5%です。音程認識力に優れた人は、ちょっとした音程の違いが気になってしまったり、音を聴いただけで楽器再現できたりすることが多いようです。
しかし、音程認識力に優れない人でも、3歳から7歳までの早期のトレーニングで鍛えることができるかもしれません。
遺伝子検査によりご自身の遺伝子タイプを調べることで、将来的に音楽関係の仕事、音大を目指す時の判断に役立つかもしれません。
3. 作用機序
「UGT8」遺伝子は、音程認識力に関係しており、この遺伝子はヒトの24の染色体のうち、4番染色体に位置しています。「UGT8」遺伝子は、中枢神経系に多く存在し、神経の周囲を包むミエリン鞘を合成するための酵素を作る遺伝情報を持っています。
ミエリン鞘は、神経細胞を保護し、神経が情報を伝える速さに影響を与えます。神経が機能不全である場合、ミエリン鞘が欠けたり機能しなかったりするため、神経の情報伝達速度が遅くなります。音は、鼓膜で振動をとらえ、耳の感覚細胞で神経信号に変換されて脳へと送られます。
音程認識力という音楽的才能は、この神経を通じて情報を正確に伝える速度に関連していると考えられています。
以上のように、「rs4148254」は、音程認識力という才能に関係し、注目を浴びています。
遺伝子領域rs4148254において日本で各遺伝タイプを持つ人の割合
- CC79.11%
- CT19.67%
- TT1.22%
遺伝子領域rs4148254において世界で各遺伝タイプを持つ人の割合
- CC92.69%
- CT7.17%
- TT0.14%
検査の理論的根拠
体表的なDNA領域:音楽能力(音程の正確さ)
体表的なDNA領域:音楽能力(音程の正確さ)
音楽能力(音程の正確さ) に最も強く影響する遺伝子領域は、rs4148254です。 日本における同型の遺伝子タイプの分布は下記のとおりです。
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CC
79.1% -
CT
19.7% -
TT
1.2%
検査の根拠
今回調査したDNA領域
細胞中に存在するDNAマップの模式図
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関連遺伝子
| 関連遺伝子 | UGT8 |
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参考文献
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関連遺伝子 UGT8
- 参考リンク : 2012 Dec、Hansoo Parkと研究グループがJ Med Genet に発表したComprehensive genomic analyses associate UGT8 variants with musical ability in a Mongolian populationという研究によると音楽能力(音程の正確さ) に関連するrs4148254の関連性が認められました。