神経管閉鎖障害
概要
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神経管欠損症(NTDs)は、胚発生中に神経管(脳や脊髄に分化する部分)が完全に閉じないことで生じる先天性異常の一種です。
通常、受精後28日までに神経管は閉じるべきですが、この過程がうまくいかないと、脳、脊椎、脊髄にさまざまな異常が生じます。NTDsの重症度や特徴は、神経管の閉鎖不全の位置と範囲によって異なります。
最も一般的なNTDsの一つは脊柱裂です。これは背骨と脊髄を囲む膜の閉鎖が不完全な状態で、麻痺、排泄ケアの困難、水頭症(脳内に液体がたまる)などの重大な障害を引き起こします。
また無脳症もNTDsの中では重症で、脳と頭蓋の大部分が発達しないため、死産もしくは、出産後すぐに胎児の死亡を引き起こします。
軽度のNTDsには、脳組織が頭蓋の開口部から突出する脳膨出症や、背骨や頭蓋の欠損を伴う重度の首の後ろへの曲がりが特徴の後頭脳症があります。
NTDsの原因は完全には分かっていませんが、遺伝的、環境的、栄養的要因が関与していると考えられています。その中でも特に、受胎前および妊娠初期の葉酸不足が発症の原因として考えられています。
NTDsは、妊娠中の超音波や母体血液検査で発見することが出来るので、早期診断と治療が重要です。
天津医科大学のLirong Caoらの研究により、神経管閉鎖障害のリスクがrs1805087というDNA領域と関連していることが明らかになりました。
このDNA領域にはAA、AG、GGの3つの遺伝子型があり、Gを持つ遺伝子型の人は、神経管閉鎖障害のリスクが高い傾向にあることが分かりました。
遺伝子領域rs1805087において日本で各遺伝タイプを持つ人の割合
- AA66.80%
- AG29.86%
- GG3.34%
遺伝子領域rs1805087において世界で各遺伝タイプを持つ人の割合
- AA65.31%
- AG31.01%
- GG3.68%
検査の理論的根拠
体表的なDNA領域:神経管閉鎖障害
体表的なDNA領域:神経管閉鎖障害
神経管閉鎖障害 に最も強く影響する遺伝子領域は、rs1805087です。 日本における同型の遺伝子タイプの分布は下記のとおりです。
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AA
66.8% -
AG
29.9% -
GG
3.3%
検査の根拠
天津医科大学のLirong Caoらの研究により、神経管閉鎖障害のリスクが遺伝子と関連していることが明らかになりました。人間のゲノムには、rs1805087という領域が存在し、その領域の遺伝子にはAとGの2種類の変異があります。Aタイプの変異を持つ人は、神経管閉鎖障害のリスクが高い傾向にあることが分かりました。
今回調査したDNA領域
細胞中に存在するDNAマップの模式図
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関連遺伝子
| 関連遺伝子 | MTR |
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参考文献
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関連遺伝子 MTR
- 参考リンク : 2018 Feb、Lirong Caoと研究グループがChilds Nerv Syst に発表したAssociation of neural tube defects with gene polymorphisms in one-carbon metabolic pathwayという研究によると神経管閉鎖障害 に関連するrs1805087の関連性が認められました。