神経芽細胞腫
- 神経芽細胞腫は、副腎や神経の組織にできる子どものがんで、腫瘍のたちの悪さ・できた場所・病気になった年齢によって、自然に小さくなる場合から急に進む場合まで、経過はさまざまです。
- DNA領域rs3176752のTタイプを持つ人は神経芽細胞腫のリスクが高い傾向があることが、南京医科大学の研究で分かりました。
- 日本人でTを持つ人(GT型とTT型の合計)の割合は16.5%で、世界平均の4.5%と比べて約3.7倍多い割合です。
概要
【疾患の概要】 神経芽細胞腫は、主に腎臓の近くにある副腎(ホルモンを作る小さな臓器)につながる神経の組織にできるがんです。背骨、胸、おなか、骨盤に沿った神経の組織にできることもあります。 神経芽細胞腫の特徴は、腫瘍のたちの悪さ(悪性度)やできた場所、病気になったときの年齢によって大きく変わります。
【症状と特徴】 神経芽細胞腫になると、腫瘍が体のさまざまな働きに影響し、便通の変化、続く痛み、疲れ、食欲がない、体重が減るなど、いろいろな症状が出ます。 腫瘍が体の表面近くにできたときは、おなかなどにしこりができます。また、腫瘍が神経や脊髄(背骨の中を通る太い神経)を押すと、しびれやまひが起こります。 さらに神経芽細胞腫は、腫瘍随伴症候群(がんが原因で体の離れた場所に起こる症状)として、目が急に動く、体が勝手に動く、血圧が高くなるといった症状を起こすことがあります。肌が青白く見えたり、小さな青いこぶができたりすることもあります。
【治療と注意点】 神経芽細胞腫の進み方は人によってさまざまです。治療しなくても自然にがんが小さくなることや、小さな子どもでは害のない腫瘍に変わることもあります。一方で、とても速く病気が進み、集中的な治療が必要になる場合もあるため注意が必要です。
【遺伝的リスク】 南京医科大学のZhouらの研究で、神経芽細胞腫になるリスクがrs3176752というDNA領域と関係していることが分かりました。 このDNA領域にはGG、GT、TTの3つの遺伝子型があり、Tを持つ遺伝子型の人は、神経芽細胞腫のリスクが高い傾向があることが分かりました。
神経芽細胞腫とは何か
神経芽細胞腫とは、主に腎臓の近くにある副腎につながる神経の組織にできるがんです。背骨・胸・おなか・骨盤に沿った神経の組織にできることもあります。腫瘍のたちの悪さ(悪性度)・できた場所・病気になったときの年齢によって特徴が変わります。
神経芽細胞腫の主な症状
神経芽細胞腫の症状は、腫瘍のできた場所と大きさによって、次のように分けられます。
全身に出る症状
- 便通の変化:腫瘍がおなかの神経を押すことで起こります。
- 続く痛み:腫瘍が大きくなるにつれて続きます。
- 疲れ・食欲がない・体重が減る:がんによって体の栄養の使い方が乱れることが原因です。
体の一部に出る症状
- おなかのしこり:腫瘍が体の表面近くにできると、手で触れてわかります。
- しびれ・まひ:腫瘍が神経や脊髄を押すことで起こります。
特別な症状
- 腫瘍随伴症候群(がんが原因で離れた場所に起こる症状):目が急に動いたり、体が勝手に動いたり、血圧が高くなったりします。
- 皮膚の変化:肌が青白くなったり、小さな青いこぶができたりします。
神経芽細胞腫の進行パターンの分類
| 進行パターン | 特徴 | 治療の必要性 |
|---|---|---|
| 自然に小さくなるタイプ | 治療しなくても腫瘍が小さくなります。 | 経過観察のみ |
| 害のない腫瘍に変わるタイプ | 小さな子どもでは害のない腫瘍に変わります。 | 経過観察が中心 |
| 急に進むタイプ | すぐに病状が悪くなります。 | 集中的な治療が必要 |
遺伝子と神経芽細胞腫の関係
DNA領域rs3176752と神経芽細胞腫の関係
南京医科大学のZhouらの研究(2020年、Molecular Therapy Oncolytics誌に掲載)で、神経芽細胞腫になるリスクがDNA領域rs3176752と関係していることが分かりました。
- rs3176752にはGG・GT・TTの3つの遺伝子型があります。
- Tを持つ遺伝子型(GT型・TT型)の人は神経芽細胞腫のリスクが高い傾向があります。
- このDNA領域はXPA遺伝子と関係しています。
日本人と世界における遺伝子型分布の比較(rs3176752)
| 遺伝子型 | 日本人の割合 | 世界の割合 |
|---|---|---|
| GG型 | 83.4% | 95.3% |
| GT型 | 15.8% | 4.5% |
| TT型 | 0.7% | 0.1%以下 |
日本人でTを持つ人(GT型とTT型の合計)の割合は16.5%で、世界平均の4.5%と比べて約3.7倍多い割合です。一方、GG型の割合は日本人が83.4%で、世界平均の95.3%より低くなっています。これは日本人の遺伝子の特徴を表しています。
検査の科学的な根拠
代表的なDNA領域:神経芽細胞腫
神経芽細胞腫に最も強く影響するDNA領域は、rs3176752です。 日本でのこの遺伝子型の分布は下のとおりです。
- GG
83.4 % - GT
15.8 % - TT
0.7 %
検査の根拠
南京医科大学のZhouらの研究で、神経芽細胞腫になるリスクが遺伝子と関係していることが分かりました。人のDNAには、rs3176752という場所があり、ここにはGとTの2種類のタイプがあります。Tタイプを持つ人は、神経芽細胞腫のリスクが高い傾向があることが分かりました。
今回調査したDNA領域
細胞の中にあるDNAの地図(模式図)
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関連遺伝子
| 関連遺伝子 | XPA |
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よくある質問
Q1. 神経芽細胞腫とは何ですか?
神経芽細胞腫とは、主に副腎や、背骨・胸・おなか・骨盤に沿った神経の組織にできる子どものがんです。腫瘍のたちの悪さ(悪性度)・できた場所・病気になったときの年齢によって、症状や進み方が変わります。自然に小さくなる場合から、急に進んで集中的な治療が必要になる場合まで、経過はさまざまです。
Q2. 神経芽細胞腫は遺伝子と関係がありますか?
はい。南京医科大学のZhouらの研究(2020年、Molecular Therapy Oncolytics誌)で、DNA領域rs3176752が神経芽細胞腫になるリスクと関係していることが分かっています。rs3176752にはGG・GT・TTの3つの遺伝子型があり、Tを持つ遺伝子型の人は神経芽細胞腫のリスクが高い傾向があります。
Q3. 神経芽細胞腫に関係する遺伝子型(rs3176752)は、日本人ではどのように分布していますか?
日本人のrs3176752の遺伝子型の分布はGG型83.4%、GT型15.8%、TT型0.7%です。世界全体ではGG型95.3%、GT型4.5%、TT型0.1%以下です。日本人はTを持つ人(GT型とTT型の合計)が16.5%で、世界平均の4.5%より約3.7倍多いという特徴があります。
Q4. 神経芽細胞腫の主な症状は?
神経芽細胞腫の症状は、腫瘍のできた場所と大きさによって変わります。主な症状には、おなかのしこり・便通の変化・続く痛み・疲れ・食欲がない・体重が減るがあります。腫瘍が神経や脊髄(背骨の中を通る太い神経)を押すと、しびれやまひが起こります。また、腫瘍随伴症候群(がんが原因で体の離れた場所に起こる症状)として、目が急に動いたり体が勝手に動いたりすることもあります。