好中球減少症
- 好中球減少症は血液中の好中球数が1,500セル/μL以下に減る病気で、500セル/μL未満では命にかかわる感染症のリスクが大きく高まります。
- DNA領域rs17035850でTを持つ遺伝子型の人はなりやすい傾向があることが研究で分かっています。
- 抗がん剤・放射線治療・骨髄の病気・自己免疫疾患・薬の副作用など原因を見つけて早めに治療することが大切です。
概要
【疾患の概要】 好中球減少症は、血液中の「好中球」という白血球の数が、ふつうよりもかなり少なくなった状態のことです。 好中球は、細菌やカビ(真菌)などの病原体から体を守る、中心的な役割を持つ白血球です。
【主な特徴と影響】 ふつう、大人の血液中の好中球の数は、1マイクロリットルあたり1,500から8,000個くらいです。
【治療と注意点】 血液中の好中球が1マイクロリットルあたり1,500個以下になると、好中球減少症と診断されます。 1,000個未満ではより重い状態で、500個未満になると命にかかわる感染症にかかりやすくなります。 好中球減少症の症状は感染症によるもので、よく熱が出る、口内炎(口の中のただれ)、喉の痛み、下痢、おしっこのときの痛み、傷のまわりが赤く腫れる、などがあります。 この病気は、抗がん剤の治療、放射線治療、骨髄(血液をつくる場所)の病気、自己免疫疾患(免疫が自分の体を攻撃する病気)、一部の薬など、いろいろな原因で起こります。そのため、もとの原因を見つけて対処することが大切です。 治療は原因によって変わりますが、抗生物質や免疫を助ける治療などがよく使われます。
【遺伝子の影響】 フレッド・ハッチンソンがん研究センターのHuらの研究で、好中球減少症へのなりやすさが、rs17035850というDNA領域と関係していることが分かりました。 このDNA領域にはAA、AT、TTの3つの遺伝子型があり、Tを持つ遺伝子型の人は、好中球減少症になりやすい傾向があることが分かりました。
好中球減少症とは何か
好中球減少症は、血液中の好中球(白血球の一種)の数が1マイクロリットルあたり1,500個以下に減った状態です。好中球は、細菌やカビ(真菌)などの病原体から体を守る中心的な役割を持つ白血球です。
好中球減少症の重症度分類
好中球減少症は好中球の数によって、次の3段階に分けられます。
| 重症度 | 好中球数(セル/μL) | 感染のリスク |
|---|---|---|
| 軽度 | 1,000〜1,500 | 低い |
| 中等度 | 500〜1,000 | 中程度 |
| 重度 | 500未満 | とても高い |
ふつう、大人の血液中の好中球数は1,500〜8,000セル/μLくらいです。500セル/μL未満では、ふだんは問題にならない弱い菌でも感染しやすくなり(日和見感染症)、すぐに医療機関での治療が必要です。
好中球減少症の原因とは
好中球減少症の原因は、大きく次の4つに分けられます。
- 治療性:抗がん剤・放射線治療によって骨髄の働きが弱まることです。
- 血液疾患性:骨髄異形成症候群・再生不良性貧血など、骨髄(血液をつくる場所)の病気です。
- 免疫性:自己免疫疾患(全身性エリテマトーデスなど、免疫が自分の体を攻撃する病気)です。
- 薬剤性:一部の薬(甲状腺の薬・心の病気の薬など)の副作用
もとの原因を見つけて、きちんと対処することが治療の第一歩です。
好中球減少症の主な症状
症状は感染症によるものが中心です。
- よく熱が出ます(38℃以上)。
- 口内炎・喉の痛み
- 下痢・おしっこのときの痛み
- 傷のまわりが赤く腫れます。
- 体のだるさ
好中球減少症の治療法
治療は原因によって変わります。主な治療法は次のとおりです。
- 抗生物質:感染症の予防と治療
- 顆粒球コロニー刺激因子(白血球を増やす薬):好中球が作られるのを助けます。
- 免疫の働きをおさえる治療:自己免疫が原因の場合です。
- 原因となる薬をやめる:薬が原因の場合です。
遺伝子と好中球減少症の関連
DNA領域rs17035850となりやすさの関係
フレッド・ハッチンソンがん研究センターのHuらの研究(2021年、BMC Genomics)で、DNA領域rs17035850が好中球減少症へのなりやすさと関係していることが分かりました。
- rs17035850にはAA・AT・TTの3つの遺伝子型があります。
- Tを持つ遺伝子型の人は、好中球減少症になりやすい傾向があります。
日本人の遺伝子型の割合(rs17035850)
| 遺伝子型 | 日本人の割合 | 世界の割合 |
|---|---|---|
| AA型 | 98.0% | 78.6% |
| AT型 | 1.9% | 20.0% |
| TT型 | 0.1%以下 | 1.2% |
検査の科学的な根拠
代表的なDNA領域:好中球減少症
好中球減少症に最も強く影響するDNA領域は、rs17035850です。 日本での遺伝子型ごとの人の割合は下記のとおりです。
- AA
98.0 % - AT
1.9 % - TT
0.1%以下
ほかに、好中球減少症に関わるDNA領域としてrs6686197があります。 日本での遺伝子型ごとの人の割合は下記のとおりです。
- GG
0.1%以下 - GC
0.1%以下 - CC
99.9 %
検査の根拠
フレッド・ハッチンソンがん研究センターのHuらの研究で、好中球減少症へのなりやすさが遺伝子と関係していることが分かりました。人のDNAにはrs17035850という領域があり、この領域にはAとGの2種類のタイプがあります。Aタイプを持つ人は、好中球減少症になりやすい傾向があることが分かりました。
今回調査したDNA領域
細胞の中にあるDNAマップのイメージ図
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関係する遺伝子
| 関係する遺伝子 | LINC01762 |
|---|---|
| 関係する遺伝子 | UBE2Q1 |
よくある質問
Q1. 好中球減少症とは何ですか?
好中球減少症は、血液中の好中球(白血球の一種)の数が1マイクロリットルあたり1,500個以下に減った状態です。好中球は細菌やカビ(真菌)から体を守る中心的な役割を持ち、1マイクロリットルあたり500個未満になると命にかかわる感染症のリスクが大きく高まります。
Q2. 好中球減少症の原因は何ですか?
主な原因は抗がん剤・放射線治療(治療性)、骨髄の病気(血液疾患性)、自己免疫疾患(免疫性)、薬の副作用(薬剤性)の4つに分けられます。DNA領域rs17035850でTを持つ人はリスクが高い傾向があります。
Q3. 好中球減少症の重症度分類は?
軽度は好中球数1,000〜1,500セル/μL、中等度は500〜1,000セル/μL、重度は500セル/μL未満です。重度では、ふだんは問題にならない弱い菌でも感染しやすくなり(日和見感染症)、すぐに医療機関での治療が必要です。
Q4. 遺伝子検査で好中球減少症のリスクは分かりますか?
DNA領域rs17035850の遺伝子型を調べることで、好中球減少症へのなりやすさの傾向を知ることできます。Tを持つ遺伝子型の人はリスクが高い傾向があることが、フレッド・ハッチンソンがん研究センターの研究で分かっています。
参考文献
- 参考リンク1 : 2021 Jun., Yao Hu, BMC Genomics