原発開放隅角緑内障
- 原発開放隅角緑内障は眼圧が高くなって視神経が傷つく、長く続く目の病気で、世界で元に戻らない失明の大きな原因です。
- DNA領域rs7126413のG型を持つ人はなりやすい傾向にあることがChoquetらの研究で判明しました。
- 定期的な眼科検診と早めの治療(目薬・レーザー・手術)で視力の低下を抑えられます。
概要
【疾患の概要】 開放隅角緑内障は、気づかないうちに少しずつ進む目の慢性の病気です。世界で、元に戻らない失明の大きな原因になっています。 "開放隅角"とは、虹彩(茶目)と角膜(黒目の表面の透明な膜)の間のすき間(隅角)が開いている状態を指します。ここは、目の中を満たす水(房水)が流れ出る出口です。
【症状と特徴】 開放隅角緑内障では、この出口は一見ふつうに開いていますが、水の流れが悪くなり、目の中の圧力(眼圧)が高くなります。 高い圧力が続くと、視神経(目で見た情報を脳に伝える神経)が傷つくことがあります。 視神経が傷つくと、まず見える範囲の端の方が少しずつ欠けていき、進むと真ん中も見えにくくなることがあります。 はじめのうちは端の見え方の変化にほとんど気づかないため、視力が大きく失われるまで気づかないこともあります。
【治療と注意点】 開放隅角緑内障は、ほかにも目立った症状が出ないことが多いため、定期的な眼科検診で早く見つけてケアすることがとても大切です。 治療では、眼圧を安全なレベルまで下げることを目指します。 そのために、目薬などの薬、レーザー治療、手術が使われます。 早く見つけて治療することは、視力の低下を止めたり遅らせたりするためにとても重要です。
【遺伝子の影響】 カイザー・パーマネンテ北カリフォルニアのChoquetらの研究で、原発開放隅角緑内障になるリスクが、rs7126413というDNA領域と関係していることが分かりました。 このDNA領域にはAA,AG,GGの3つの遺伝子型があり、Gを持つ遺伝子型の人は、原発開放隅角緑内障のリスクが高い傾向にあることが分かりました。
原発開放隅角緑内障とは何か
原発開放隅角緑内障は、目の中の水(房水)がうまく流れ出なくなって眼圧が長い間高い状態が続き、視神経に元に戻らない傷がつく目の病気です。緑内障の患者さん全体の約60〜70%を占め、世界で元に戻らない失明の大きな原因です(1)。
原発開放隅角緑内障の原因としくみ
「開放隅角」とは、虹彩と角膜の間にある水の出口(隅角)が開いている状態を指します。閉塞隅角緑内障とちがい、出口そのものはふさがっていませんが、次のようなしくみで眼圧が上がります。
- 水の出口の組織が流れにくくなる:房水が流れ出る網目状の組織(線維柱帯)の細かいつくりが変わり、流れ出る速さが落ちます。
- 眼圧が長く高い状態が続く:流れ出にくくなった房水が目の中にたまり、眼圧が高い状態が続きます。
- 視神経が押されて傷つく:高くなった眼圧が視神経の出口(視神経乳頭)を押し、神経の線維が傷んでいきます。
主なリスク要因は次のとおりです。
- 年齢(40歳以上で患者さんの割合が増える)
- 家族に緑内障の人がいます(遺伝子の影響)。
- 高い眼圧(21mmHg以上)
- 近視
- アフリカ系の人種
原発開放隅角緑内障の主な症状
はじめのうちは症状がないまま進むことが特徴です。見える範囲は端の方から欠けていくため、自分で気づいたときには、すでに視神経が傷ついています。
- 見える範囲の端が少しずつ欠けます(初期)。
- 見える範囲がトンネルのように狭くなります(中期〜進行期)。
- 真ん中も見えにくくなります(末期)。
- 最終的には失明するおそれ
原発開放隅角緑内障と閉塞隅角緑内障の違い
| 比較項目 | 開放隅角緑内障 | 閉塞隅角緑内障 |
|---|---|---|
| 排水角の状態 | 開いています(ふさがっていません)。 | ふさがっています(虹彩が出口をふさぎます)。 |
| 発症パターン | ゆっくり進みます(数年単位)。 | 急な発作あり(数時間〜数日) |
| 患者割合 | 緑内障全体の約60〜70% | 緑内障全体の約10〜20% |
| 自覚症状 | はじめは症状なし | 急に起こると目の痛み・頭痛・嘔吐 |
| 治療 | 目薬・レーザー・手術 | レーザーで虹彩に小さな穴をあける治療(レーザー虹彩切開術)が最初の選択です。 |
治療法と予防
治療の目標は眼圧を安全なレベルまで下げることです。次のような治療法が使われます。
- 薬物治療:プロスタグランジン系の目薬、β遮断薬、炭酸脱水酵素阻害薬などで眼圧を下げます。
- レーザー治療:選択的レーザー線維柱帯形成術(レーザーで水の出口の組織を整える治療)で房水を流れやすくします。
- 手術:線維柱帯切除術(トラベクレクトミー:水の新しい通り道を作る手術)やインプラント手術
診断方法
次のような検査で診断されます。
- 眼圧測定(目の圧力を測る検査)
- 視神経の出口(視神経乳頭)の観察(眼底検査)
- 視野検査(見える範囲を調べる検査)
- 隅角検査(ゴニオスコピー:水の出口を専用レンズで見る検査)
- 光干渉断層計(光を使って網膜の断面を撮影する機械)による神経線維の層の検査
遺伝子と原発開放隅角緑内障の関係
DNA領域rs7126413と病気になるリスクの関係
カイザー・パーマネンテ北カリフォルニアのChoquetらの研究(1)で、DNA領域rs7126413が原発開放隅角緑内障になるリスクと関係していることが分かりました。
- rs7126413にはAA・AG・GGの3つの遺伝子型があります。
- G型を持つ遺伝子型の人は、原発開放隅角緑内障のリスクが高い傾向があります。
日本人における遺伝子型分布(rs7126413)
| 遺伝子型 | 日本人の割合 | 世界の割合 |
|---|---|---|
| AA型 | 52.7% | 35.3% |
| AG型 | 39.7% | 48.2% |
| GG型 | 7.5% | 16.4% |
検査の根拠
代表的なDNA領域:原発開放隅角緑内障
原発開放隅角緑内障 に最も強く関係するDNA領域は、rs7126413です。 日本でのこの領域の遺伝子型の分布は下記のとおりです。
- AA
52.7 % - AG
39.7 % - GG
7.5 %
検査の根拠
カイザー・パーマネンテ北カリフォルニアのChoquetらの研究で、原発開放隅角緑内障になるリスクが遺伝子と関係していることが分かりました。人のDNAには、rs7126413という領域があり、その領域にはAとGの2種類のタイプがあります。G型を持つ人は、原発開放隅角緑内障のリスクが高い傾向にあることが分かりました(1)。
今回調査したDNA領域
細胞の中にあるDNAマップの図
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関連遺伝子
| 関連遺伝子 | ARHGEF12 |
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よくある質問
Q1. 原発開放隅角緑内障とは何ですか?
原発開放隅角緑内障は、目の中の水(房水)がうまく流れ出なくなって眼圧が長い間高い状態が続き、視神経に元に戻らない傷がつく目の病気です。緑内障全体の約60〜70%を占め、はじめは症状がないまま進むため、定期的な検診がとても大切です(1)。
Q2. 原発開放隅角緑内障の原因は何ですか?
主な原因は水の出口の組織(線維柱帯)で房水が流れにくくなり、眼圧が上がることです。年齢が上がること、家族に緑内障の人がいること、眼圧が高いこと、近視が主なリスク要因です。DNA領域rs7126413のG型を持つ人はリスクが高い傾向にあります(1)。
Q3. 原発開放隅角緑内障と閉塞隅角緑内障の違いは?
開放隅角型は水の出口(隅角)が開いているのに房水が流れ出にくくなり、ゆっくり進みます。閉塞隅角型は虹彩が水の出口(隅角)を物理的にふさぐことで急な発作(目の痛み・頭痛・吐き気や嘔吐)を起こすことがあります。
Q4. 遺伝子検査で原発開放隅角緑内障のリスクは分かりますか?
DNA領域rs7126413の遺伝子型を調べることで、原発開放隅角緑内障へのなりやすさの傾向を知ることができます。G型を持つ遺伝子型の人はリスクが高い傾向にあることがChoquetらの研究で分かっています(1)。
参考文献
- 参考リンク1 : 2018 Jun., Hélène Choquet, Nat Commun
- 参考リンク2 : 2021 Feb., Puya Gharahkhani, Nat Commun