口腔がん
- 口腔がんは口の中の扁平上皮細胞から発生する悪性腫瘍(がん)で、喫煙・飲酒・ヒトパピローマウイルスへの感染が主なリスク要因です。
- DNA領域rs3092904のTタイプを持つ人はリスクが高い傾向があることが研究で判明しました。
- 定期的な歯科検診で早く見つければ、5年生存率は80%以上に高められます。
概要
【疾患の概要】 口腔がんは口の中や喉にできるがんで、口・舌・唇などの表面をおおう扁平上皮細胞(皮ふや粘膜の表面にある平たい細胞)から始まります。 口腔がんの症状は、がんができた場所と進み具合(ステージ)によって違います。
【症状と特徴】 口腔がんでは、2週間以上治らない潰瘍(ただれ)や腫れ、口の中の白や赤の斑点、出血、しびれなどの症状が出ます。 また、喉の痛みや奥に物が詰まっている感じ、飲み込みにくさ、耳の痛み、声の変化、歯の噛み合わせが悪くなる、口臭が強くなる、体重が減るなどの症状もあります。
【治療と注意点】 口腔がんは、早く見つけて治療するほど治る見込みがよくなります。 タバコやお酒の飲みすぎ、日光の浴びすぎ、ヒトパピローマウイルスへの感染などが、このがんのリスクを高めます。 定期的な歯科検診は、口腔がんを早く見つけるのに役立ちます。
【遺伝子とリスク】 インドの地域がんセンターのMuraliらの研究で、口腔がんにかかるリスクがrs3092904というDNA領域と関係していることが分かりました。 このDNA領域にはTT、TA、AAの3つの遺伝子型があり、Tを持つ遺伝子型の人は、口腔がんのリスクが高い傾向があることが分かりました。
口腔がんとは何か
口腔がんは、口の中(舌・歯ぐき・舌の下の部分・頬の内側・上あご・唇)の表面をおおう扁平上皮細胞から発生する悪性腫瘍(がん)です。頭や首にできるがん(頭頸部がん)全体の約40%を占め、早く見つけて早く治療するほど治る見込みがよくなります。
口腔がんの原因とリスク因子
口腔がんができる原因には、次のようなものがあります。
- 喫煙:タバコを吸わない人と比べてリスクが約6倍に上がります。
- お酒の飲みすぎ:お酒を飲まない人と比べてリスクが約6倍に上がります。
- 喫煙と飲酒が重なる:リスクは約15倍に上がります。
- ヒトパピローマウイルスへの感染:特に16型が中咽頭がん(喉の奥のがん)に関わります。
- 日光の浴びすぎ:唇のがんのリスク要因です。
- 遺伝子の影響:DNA領域rs3092904でTタイプを持つ人はリスクが高い傾向があります。
口腔がんの主な症状
口腔がんの症状は発生部位と進行ステージにより異なります。
- 2週間以上治らない潰瘍(ただれ)・口内炎
- 口の中の白い斑点(白板症)または赤い斑点(紅板症)
- 原因の分からない口の中の出血
- しびれ・感覚がにぶくなります。
- 飲み込みにくい・喉に何か詰まった感じ
- 耳の痛み・声の変化
- 歯の噛み合わせの悪化
- 口臭が強くなり続けます。
- 原因の分からない体重減少
口腔がんのステージ分類
| ステージ | 腫瘍の状態 | 5年生存率(目安) |
|---|---|---|
| Ⅰ期 | 腫瘍2cm以下、リンパ節への転移なし | 約80%以上 |
| Ⅱ期 | 腫瘍2〜4cm、リンパ節への転移なし | 約65〜70% |
| Ⅲ期 | 腫瘍が4cmより大きい、またはリンパ節への転移あり | 約45〜50% |
| Ⅳ期 | 周りの組織への広がりや、離れた臓器への転移あり | 約30%以下 |
口腔がんの予防法
次のような対策で、口腔がんになるリスクを下げられます。
- 禁煙:最も効果的な予防法
- お酒を控える:お酒を飲みすぎないようにします。
- 定期的な歯科検診:年2回以上受診すると早く見つけやすいです。
- バランスの良い食事:ビタミンA・C・Eを含む食品を積極的にとります。
- 日光対策:唇に紫外線を浴びすぎないようにします。
遺伝子と口腔がんの関連
DNA領域rs3092904とリスクの関係
インドの地域がんセンターのMuraliらの研究で、DNA領域rs3092904が口腔がんにかかるリスクと関係していることが分かりました。
- rs3092904にはTT・TA・AAの3つの遺伝子型が存在します。
- Tタイプを持つ遺伝子型の人は、口腔がんのリスクが高い傾向があります。
日本人における遺伝子型分布(rs3092904)
| 遺伝子型 | 日本人の割合 | 世界の割合 |
|---|---|---|
| TT型 | 56.9% | 60.0% |
| TA型 | 37.0% | 34.8% |
| AA型 | 6.0% | 5.0% |
検査の根拠となる研究
代表的なDNA領域:口腔がん
口腔がんに最も強く影響するDNA領域は、rs3092904です。 日本でのそれぞれの遺伝子型の割合は下のとおりです。
- TT
56.9 % - TA
37.0 % - AA
6.0 %
ほかに、口腔がんに関わるDNA領域としてrs751402があります。 日本でのそれぞれの遺伝子型の割合は下のとおりです。
- AA
14.0 % - AG
46.8 % - GG
39.0 %
検査の根拠
インドの地域がんセンターのMuraliらの研究で、口腔がんにかかるリスクが遺伝子と関係していることが分かりました。人のDNAにはrs3092904という場所があり、そこにはTとAの2種類のタイプがあります。Tタイプを持つ人は、口腔がんのリスクが高い傾向があることが分かりました。
今回調査したDNA領域
細胞の中にあるDNAの模式図
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関連遺伝子
| 関連遺伝子 | Rb1-1 |
|---|---|
| 関連遺伝子 | ERCC5 |
よくある質問
Q1. 口腔がんとは何ですか?
口腔がんは、口の中(舌・歯ぐき・舌の下の部分・頬の内側・上あご・唇)の扁平上皮細胞から発生する悪性腫瘍(がん)です。頭や首にできるがん(頭頸部がん)全体の約40%を占め、喫煙・飲酒・ヒトパピローマウイルスへの感染が主なリスク要因です。
Q2. 口腔がんの原因は何ですか?
主な原因は喫煙(リスク約6倍)、お酒の飲みすぎ(リスク約6倍)、ヒトパピローマウイルスへの感染です。喫煙と飲酒が重なると、リスクは約15倍に上がります。DNA領域rs3092904でTタイプを持つ人もリスクが高い傾向があります。
Q3. 口腔がんの初期症状は?
2週間以上治らない口内炎・潰瘍、口の中の白い斑点や赤い斑点(白板症・紅板症)、原因の分からない出血、しびれや感覚がにぶくなることが代表的な初期症状です。早く見つければ、5年生存率(診断から5年後に生きている人の割合)は80%以上とされています。
Q4. 遺伝子検査で口腔がんのリスクは分かりますか?
DNA領域rs3092904の遺伝子型を調べることで、口腔がんのなりやすさの傾向を知ることができます。Tタイプを持つ遺伝子型の人はリスクが高い傾向があることが、研究で分かっています。
Q5. 口腔がんの予防法は?
禁煙とお酒を控えることが最も効果的な予防法です。年2回以上の定期的な歯科検診で早く見つけること、バランスの良い食事(ビタミンA・C・Eを含む食品をとる)、日光を浴びすぎないことも効果があります。