変形性関節症
- 変形性関節症は関節の軟骨がすり減り、痛み・こわばり・腫れが起こる長く続く病気で、世界で約3億人以上がかかっています。
- DNA領域rs10502437のGを持つ人は変形性関節症のリスクが高い傾向にあることがGSK医薬品研究センターの研究で分かりました。
- 日本人でGを持つ人(GG+GA)の割合は81.1%で、よく起こる場所は手・膝・股関節・背骨です。
概要
【病気の概要】 変形性関節症は、関節を守るクッションの役割をする軟骨がすり減ることで起こる、長く続く関節の病気です。 軟骨がすり減ると骨と骨が直接こすれ合い、関節が痛んだり、こわばったり、腫れたりすることがあります。
【症状と特徴】 よく起こるのは手、膝、股関節、背骨の関節です。 少しずつ進み、関節が動きにくくなったり、骨の端にとげのような余分な骨(骨棘)ができたり、関節の内側をおおう膜に炎症が起きたりします。 変形性関節症の人は、関節を動かすときにゴリゴリという音(クレピタス)がしたり、こわばりを感じたりすることがあります。 特に休んだ後や朝に症状が出やすいです。
【治療と注意点】 ただし、体を動かすと症状が楽になる場合もあります。 年齢が高いこと、太りすぎ、以前の関節のけが、遺伝子の影響などが変形性関節症のリスクを高めます。 完全に治す方法はまだありませんが、痛みのケアや生活習慣の見直し、リハビリ(理学療法)、場合によっては手術が、症状をやわらげ、毎日を快適に過ごす助けになります。
【遺伝子との関係】 GSK医薬品研究センターのTachmazidouらの研究により、変形性関節症になるリスクがrs10502437というDNA領域と関係していることが分かりました。 このDNA領域にはGG、GA、AAの3つの遺伝子型があり、Gを持つ遺伝子型の人は、変形性関節症のリスクが高い傾向にあることが分かりました。
変形性関節症とは
変形性関節症とは、関節を守る軟骨が少しずつすり減り、骨同士が直接ぶつかることで、痛み・こわばり・腫れが起こる、長く続く関節の病気です。世界保健機関の推計では、世界で約3億人以上がこの病気にかかっており、65歳以上の約50%に何らかの変形性関節症が見られます。
変形性関節症の主な症状
変形性関節症では、次のような症状が少しずつ進みます。
- 関節痛:動かすと痛み、進むと休んでいるときにも痛みます。
- こわばり:特に朝起きたときや長く休んだ後に関節がこわばります(ふつうは30分以内におさまります)。
- 腫れ:関節の内側をおおう膜に炎症が起き、関節が腫れます。
- 関節の音(クレピタス):関節を動かすときにゴリゴリ・パキパキという音がします。
- 動かせる範囲が狭くなる:関節がかたくなり、動かせる範囲がせまくなります。
- 骨のとげ(骨棘)ができる:骨の端に余分な骨ができ、痛みや変形の原因になります。
変形性関節症の主な原因とリスクを高める要因
| リスクを高める要因 | くわしく | 影響度 |
|---|---|---|
| 年齢 | 軟骨が自然にすり減り、治る力も弱くなります。 | 65歳以上の約50%がかかっています。 |
| 太りすぎ | 体重が増えて関節に負担がかかりすぎます。 | 体格指数30以上で膝の変形性関節症のリスクが約4倍になります。 |
| 関節のけが | 過去のスポーツのけがや骨折の後 | けがをしたことがあると発症リスクが約3〜5倍になります。 |
| 遺伝子の影響 | rs10502437などのDNAの違い | Gを持つとリスクが高い傾向 |
| 性別 | 女性は閉経後にリスクが上がります。 | 女性の有病率は男性の約1.5倍です。 |
変形性関節症が起こりやすい場所と特徴のくらべ
| よく起こる場所 | 主な症状 | 頻度 |
|---|---|---|
| 膝関節 | 歩くときの痛み、階段の上り下りがつらいです。 | 最も多いです。 |
| 股関節 | 歩きにくさ、足の付け根の痛み | 2番目に多いです。 |
| 手指関節 | 指の第一関節のこぶ(ヘバーデン結節)、握る力の低下 | 女性に多いです。 |
| 背骨 | 腰の痛み、首の痛み、神経の圧迫 | お年寄りに多いです。 |
遺伝子と変形性関節症の関係
DNA領域rs10502437と変形性関節症の関係
GSK医薬品研究センターのTachmazidouらの研究により、変形性関節症になるリスクがDNA領域rs10502437と関係していることが分かりました。
- rs10502437にはGG・GA・AAの3つの遺伝子型が存在します。
- Gを持つ遺伝子型(GG型・GA型)の人は変形性関節症のリスクが高い傾向があります。
- 関連遺伝子:TMEM241(細胞の膜にあるたんぱく質に関わる遺伝子)
日本人と世界における遺伝子型分布の比較(rs10502437)
| 遺伝子型 | 日本人の割合 | 世界の割合 |
|---|---|---|
| GG型 | 32.1% | 40.3% |
| GA型 | 49.0% | 46.3% |
| AA型 | 18.7% | 13.3% |
DNA領域rs11842874と変形性関節症の関係
Day-Williamsらの研究により、rs11842874も変形性関節症に関わるDNA領域であることが報告されています。
- rs11842874にはAA・AG・GGの3つの遺伝子型が存在します。
- 関連遺伝子:MCF2L
日本人と世界における遺伝子型分布の比較(rs11842874)
| 遺伝子型 | 日本人の割合 | 世界の割合 |
|---|---|---|
| AA型 | 63.6% | 84.9% |
| AG型 | 32.2% | 14.4% |
| GG型 | 4.0% | 0.6% |
日本人でGを持つ人(AG+GG)の割合は36.2%で、世界平均の15.0%とくらべて約2.4倍高い割合です。
変形性関節症の予防と対策
変形性関節症を完全に治すのは難しいですが、次の方法で症状が進むのを遅らせ、毎日を過ごしやすくできます。
- 適正体重を保つ:体格指数(肥満の目安)25未満を目指し、膝の関節への負担を減らします。
- 負担の少ない運動:水泳・ウォーキング・ヨガなど関節にやさしい運動を続けます。
- 筋力トレーニング:関節のまわりの筋肉をきたえ、関節を安定させます。
- リハビリ(理学療法):専門家の指導による運動や、関節を動かせる範囲を広げる訓練です。
- 薬:痛み止めの飲み薬(非ステロイド性抗炎症薬)や、ヒアルロン酸の注射で痛みをおさえます。
- 手術:重い場合は人工関節に入れかえる手術を考えます。
検査の考え方の根拠
代表的なDNA領域:変形性関節症
変形性関節症に最も強く影響するDNA領域は、rs10502437です。 日本での遺伝子型の分布は下記のとおりです。
- GG
32.1 % - GA
49.0 % - AA
18.7 %
ほかに、変形性関節症に関わるDNA領域としてrs11842874があります。 日本での遺伝子型の分布は下記のとおりです。
- AA
63.6 % - AG
32.2 % - GG
4.0 %
検査の根拠
GSK医薬品研究センターのTachmazidouらの研究により、変形性関節症になるリスクが遺伝子と関係していることが分かりました。人のDNAには、rs10502437という場所があり、そこにはGとAの2種類のタイプがあります。Gタイプを持つ人は、変形性関節症のリスクが高い傾向にあることが分かりました。
今回調べたDNA領域
細胞の中にあるDNAの地図のイメージ図
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関連遺伝子
| 関連遺伝子 | TMEM241 |
|---|---|
| 関連遺伝子 | MCF2L |
よくある質問
Q1. 変形性関節症とは何ですか?
変形性関節症とは、関節を守る軟骨が少しずつすり減り、骨同士が直接ぶつかることで、痛み・こわばり・腫れが起こる、長く続く関節の病気です。主に手・膝・股関節・背骨に起こり、世界で約3億人以上がかかっています。65歳以上の約50%に何らかの症状が見られます。
Q2. 変形性関節症と遺伝子の関連は?
GSK医薬品研究センターのTachmazidouらの研究により、DNA領域rs10502437が変形性関節症になるリスクと関係していることが分かっています。rs10502437にはGG・GA・AAの3つの遺伝子型があり、Gを持つ遺伝子型(GG型・GA型)の人はリスクが高い傾向にあります。
Q3. 変形性関節症の主な原因は何ですか?
主な原因は年齢とともに軟骨が自然にすり減ること、太りすぎで関節に負担がかかりすぎること、過去の関節のけが、遺伝子の影響の4つです。体格指数(体重と身長から計算する肥満の目安)が30以上の場合、膝の変形性関節症のリスクは約4倍に上がります。
Q4. 変形性関節症のリスクを下げる方法はありますか?
適正体重を保つこと(体格指数25未満)、関節に負担の少ない運動(水泳・ウォーキング)、関節のまわりの筋肉をきたえる筋力トレーニングが効果的です。早く気づいて早く対策することが、症状を進ませないために大切です。
Q5. 変形性関節症に関連する遺伝子型(rs10502437)の日本人分布は?
日本人におけるrs10502437の遺伝子型分布はGG型32.1%、GA型49.0%、AA型18.7%です。Gを持つ人の割合(GG+GA)は日本人81.1%、世界平均86.6%です。