seeDNAロゴアイコン 卵巣がん

概要

1. 概要

卵巣は、子宮の両脇に1つずつある親指大の臓器で、卵子の生成・成熟・排卵を行い、女性ホルモン(エストロゲンやプロゲステロン)を分泌します。
卵巣がんは、卵巣に悪性腫瘍ができる病気であり、婦人科癌のなかで最も死亡率が高いとされています。
卵巣がんの種類には、漿液性がん、類内膜がん、明細胞がん、粘液性がんがあり、
特に漿液性がんの一種である高異型度漿液性卵巣がん(HGSOC)は進行が早く、予後不良とされています。
卵巣がんの発症リスク因子には、子宮内膜症の既往や家族歴があげられます。
.最近の研究報告によると、遺伝子「MAGEC1」付近のある部位が特に「HGSOC」の発症リスクに影響を与えていることが明らかになりました。

2. 理論的根拠

最近、イギリスのケンブリッジ大学やアメリカの国立がん研究所(NCI)などが行った研究により、遺伝子「MAGEC1」付近の特定の部位の遺伝子型によって、
「HGSOC」という卵巣がんが多くみられる傾向があることが明らかになりました。
この部位は、DNA領域「rs57403204」と呼ばれており、「AA型」「AG型」「GG型」という3つの遺伝子型が存在します(参考リンク1)。
Risk Alleleである「G」を持つ「GG型」では、「HGSOC」の発症が多くみられる傾向があり、「AG型」ではやや多くみられる傾向があることがわかっています。

日本人の遺伝子タイプは、「AA型」が70.2%、「AG型」が27.2%、「GG型」が2.6%であることが分かっています(参考リンク2)。
つまり、「AG・GG型」の人々は、日本人の約30%を占めることがわかります。
一方、世界全体的な遺伝子タイプでは、「AA型」が93.9%、「AG型」が6.1%、「GG型」がおおよそ0%です。
つまり、「AG・GG型」の人々は世界全体の約6%を占めることがわかります。
このことから、日本人は世界と比較して、「HGSOC」の発症リスクが高い傾向にある遺伝子をもつ人種であると言えます。

卵巣がんは、骨盤の奥深くに存在しているため、痛みなどの症状が出にくく、自覚症状がほとんどないことが多く、
進行した状態で発見されるケースが多いため、「サイレントキラー(沈黙の殺人者)」とも呼ばれています。
このような背景から遺伝子検査により、卵巣がんの遺伝的発症傾向をあらかじめ把握しておくことで、早期発見・治療に役立つことが期待されます。

3. 作用機序

遺伝子「MAGEC1」は、ヒトのX染色体の中に存在し、「HGSOC」の発症に関与する可能性があることが分かっています。
この遺伝子は通常、卵巣ではほとんど発現しませんが、卵巣がんでは発現が見られます。このことから、遺伝子「MAGEC1」ががん化に関与していることが示唆されています。

一般的に、がん細胞は、もともとの組織の特性を失い、増殖の速い生殖細胞のような特性に変化する現象が知られています(somatogermline transformation)。
そして、この変化に遺伝子「MAGEC1」が関与することが分かっています。
実際、「HGSOC」患者で、遺伝子「MAGEC1」付近にあるDNA領域「rs57403204」の多型が確認されているため、「HGSOC」に関与する可能性がある一塩基多型として注目されています。(参考リンク3、4、5)

遺伝子領域rs57403204において日本で各遺伝タイプを持つ人の割合

65.4% 30.8% 3.6%
  • AA65.4%
  • AG30.8%
  • GG3.6%

遺伝子領域rs57403204において世界で各遺伝タイプを持つ人の割合

94.8% 5.1% 0.0%
  • AA94.8%
  • AG5.1%
  • GG0.0%

seeDNAロゴアイコン検査の理論的根拠

体表的なDNA領域:卵巣がん

体表的なDNA領域:卵巣がん

卵巣がん に最も強く影響する遺伝子領域は、rs57403204です。 日本における同型の遺伝子タイプの分布は下記のとおりです。

  • AA

    65.4
    %
  • AG

    30.8
    %
  • GG

    3.6
    %

seeDNAロゴアイコン今回調査したDNA領域

細胞中に存在するDNAマップの模式図

seeDNAロゴアイコン関連遺伝子

関連遺伝子 MAGEC1

seeDNAロゴアイコン参考文献

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