膵神経内分泌腫瘍
- 膵神経内分泌腫瘍は膵臓のランゲルハンス島(ホルモンを作る細胞の集まり)から生まれるめずらしい腫瘍で、機能性と非機能性に分けられます。
- DNA領域rs4962081のAを持つ人はかかるリスクが高い傾向にあることが研究で分かりました。
- 機能性の腫瘍はホルモンの出しすぎにより低血糖やゾリンジャー・エリソン症候群を起こします。
概要
【疾患の概要】 膵神経内分泌腫瘍(すいしんけいないぶんぴしゅよう)は、膵臓の「ランゲルハンス島」と呼ばれる細胞から生まれる、めずらしい腫瘍です。ランゲルハンス島は、いろいろなホルモンを作る細胞の集まりです。 この腫瘍は、ホルモンを出すかどうかによって、大きく「機能性」と「非機能性」の2つに分けられます。
【症状と特徴】 機能性の腫瘍は、血液の中にホルモンを出し、出すホルモンの種類に応じてさまざまな症状を起こします。 例えば、インスリノーマはインスリンを作り、血糖値が下がりすぎる「低血糖」を起こします。 また、ガストリノーマは胃酸を増やし、胃や腸の潰瘍(ただれ)と下痢が特徴の「ゾリンジャー・エリソン症候群」を起こします。 さらに、ホルモンが作られすぎることで、汗をかく、体に力が入らない、めまい、心臓がドキドキと速く打つなどの症状が出ることもあります。
【治療と注意点】 非機能性の腫瘍は、はたらくホルモンを作らないため、初めのうちは症状が出ないことが多く、見つけるのがより難しくなります。 症状が出るときは、 おなかの痛みや黄疸(皮膚や白目が黄色くなること)、体重が減る、胃腸の不快感などが起こります。 このように、膵神経内分泌腫瘍は、作られるホルモンの種類や腫瘍の大きさ、膵臓の中のどこにあるかによって、さまざまな症状を起こします。
【遺伝的リスク】 ハーバード公衆衛生大学院のTer-Minassianらの研究により、膵神経内分泌腫瘍にかかるリスクがrs4962081というDNA領域と関係していることが分かりました。 このDNA領域にはGG、GA、AAの3つの遺伝子型があり、Aを持つ遺伝子型の人は、膵神経内分泌腫瘍のリスクが高い傾向にあることが分かりました。
膵神経内分泌腫瘍とは何か
膵神経内分泌腫瘍は、膵臓のランゲルハンス島(ホルモンを作る細胞の集まり)から生まれる、めずらしい腫瘍で、性質もさまざまです。ホルモンを出すかどうかで、機能性と非機能性に大きく分けられます。
機能性と非機能性の違い
膵神経内分泌腫瘍は、ホルモンを出すかどうかで2種類に分けられます。
| 比較項目 | 機能性 | 非機能性 |
|---|---|---|
| ホルモンを出すか | 血液の中にホルモンを出す | はたらくホルモンを作らない |
| 初めの症状 | 作るホルモンに応じた症状が出ます。 | 初めのうちは症状がないことが多いです。 |
| 代表的な症状 | 低血糖、潰瘍、下痢 | おなかの痛み、黄疸、体重が減る |
| 見つけやすさ | 症状があるので比較的見つけやすいです。 | 症状が出ない期間が長く、見つけにくいです。 |
機能性の腫瘍の種類と症状
機能性の腫瘍は、作るホルモンの種類によって、次のように分けられます。
- インスリノーマ:インスリンを作りすぎて、低血糖(血糖値が下がりすぎること)を起こします。
- ガストリノーマ:胃酸を増やしすぎて、ゾリンジャー・エリソン症候群(胃や腸の潰瘍と下痢)を起こします。
ホルモンが作られすぎることで、次のような全身の症状が出ることもあります。
- 汗をかく・体に力が入らない
- めまい
- 心臓がドキドキと速く打ちます。
非機能性の腫瘍の症状
非機能性の腫瘍は、はたらくホルモンを作らないため、初めは症状がないことが多く、進んでから次のような症状が出ます。
- おなかの痛み
- 黄疸(皮膚が黄色くなる)
- 体重が減る
- 胃腸の不快感
膵神経内分泌腫瘍と遺伝子の関係
ハーバード公衆衛生大学院のTer-Minassianらの研究により、膵神経内分泌腫瘍にかかるリスクがDNA領域rs4962081と関係していることが分かりました。
- rs4962081にはGG・GA・AAの3つの遺伝子型があります。
- Aを持つ遺伝子型(GA・AA)の人は、膵神経内分泌腫瘍のリスクが高い傾向があります。
日本人における遺伝子型分布(rs4962081)
| 遺伝子型 | 日本人の割合 | 世界の割合 |
|---|---|---|
| GG型 | 93.3% | 84.1% |
| GA型 | 6.5% | 15.1% |
| AA型 | 0.1% | 0.6% |
検査の理論的根拠
代表的なDNA領域:膵神経内分泌腫瘍
膵神経内分泌腫瘍 に最も強く影響するDNA領域は、rs4962081です。 日本での遺伝子型の分布は下記のとおりです。
- GG
93.3 % - GA
6.5 % - AA
0.1 %
検査の根拠
ハーバード公衆衛生大学院のTer-Minassianらの研究により、膵神経内分泌腫瘍にかかるリスクが遺伝子と関係していることが分かりました。人間のDNAには、rs4962081という領域があり、そこにはGとAの2種類のタイプがあります。Aを持つ人は、膵神経内分泌腫瘍のリスクが高い傾向にあることが分かりました。
今回調査したDNA領域
細胞の中にあるDNAマップの模式図
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関連遺伝子
| 関連遺伝子 | TSC1 |
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よくある質問
Q1. 膵神経内分泌腫瘍とは何ですか?
膵神経内分泌腫瘍は、膵臓のランゲルハンス島(ホルモンを作る細胞の集まり)から生まれる、めずらしい腫瘍です。ホルモンを出すかどうかで機能性と非機能性に分けられます。機能性の腫瘍はインスリンやガストリンなどのホルモンを出しすぎて、低血糖(血糖値が下がりすぎること)やゾリンジャー・エリソン症候群(胃や腸の潰瘍と下痢)を起こします。
Q2. 膵神経内分泌腫瘍のリスクに遺伝子は関係しますか?
ハーバード公衆衛生大学院のTer-Minassianらの研究により、DNA領域rs4962081にAを持つ人は膵神経内分泌腫瘍のリスクが高い傾向にあることが分かっています。rs4962081にはGG・GA・AAの3つの遺伝子型があり、日本人ではGG型が93.3%を占めます。
Q3. 機能性と非機能性の膵神経内分泌腫瘍の違いは?
機能性の腫瘍は血液の中にホルモンを出し、低血糖・潰瘍・下痢などの症状を起こします。非機能性の腫瘍ははたらくホルモンを作らないため初めは症状がなく、進んでからおなかの痛み・黄疸・体重が減るなどの症状が出ます。
Q4. 膵神経内分泌腫瘍の主な症状は何ですか?
機能性の腫瘍では低血糖、汗をかく、めまい、心臓がドキドキと速く打つが起こります。非機能性の腫瘍ではおなかの痛み、黄疸(皮膚や白目が黄色くなること)、体重が減る、胃腸の不快感が主な症状です。作られるホルモンの種類や腫瘍の大きさによって症状は変わります。