乾癬
- 乾癬は免疫の異常で皮膚の細胞が約10倍の速さで増える、長く続く皮膚の病気で、世界の人口の約2〜3%がかかっています。
- DNA領域rs9808753のA型を持つ人はかかりやすい傾向があることが研究で分かりました。
- 関連遺伝子IFNGR2が、免疫の反応を調節するしくみ(インターフェロンγという物質を受け取る部分)に関わります。
概要
【疾患の概要】 乾癬(かんせん)は、皮膚が赤く炎症を起こし、銀白色のかさぶたのような皮(鱗屑:りんせつ)がはがれ落ちる、長く続く皮膚の病気です。 こうして盛り上がった部分をプラークと呼び、大きさや厚さはさまざまで、かゆみや痛みが出ることがあります。
【症状と特徴】 乾癬は、体を守る免疫のしくみが誤って皮膚の細胞を増やしすぎてしまい、皮膚の表面に細胞がどんどんたまることで起こります。 頭皮、ひじ、ひざ、腰に出やすいです。 見た目は人によって違いますが、皮膚が厚く盛り上がり、細かいかさぶた状の皮でおおわれることがあります。 症状が強いときは、プラークどうしがつながって広がります。爪にも影響し、爪のへこみや形の異常、色の変化が起こることもあります。 また、乾癬性関節炎と呼ばれる関節の痛みや腫れが起こることもあります。 症状はストレスや感染症、天候の変化などで良くなったり悪くなったりし、症状がほとんど消える時期もあります。
【遺伝的リスク】 復旦大学のZuoらの研究で、乾癬へのかかりやすさがrs9808753というDNA領域と関係していることが分かりました。 このDNA領域にはAA,AG,GGの3つの遺伝子型があり、Aを持つ遺伝子型の人は、乾癬にかかりやすい傾向があることが分かりました。
乾癬とは何か
乾癬(かんせん)は、免疫のしくみの異常によって皮膚の細胞が生まれ変わるスピードが通常の約10倍に速くなり、皮膚の表面に赤い炎症と銀白色のかさぶた状の皮(鱗屑:りんせつ、プラーク)が現れる、長く続く皮膚の病気です。世界の人口の約2〜3%がかかっています。
乾癬の原因とメカニズム
乾癬は、免疫のしくみが誤って皮膚の細胞を増やしすぎてしまい、皮膚の表面に細胞がどんどんたまることで起こります。健康な皮膚の細胞は約28日で新しく生まれ変わりますが、乾癬ではそれが3〜4日に短くなります。
- 免疫の異常:免疫細胞の一種であるT細胞が誤って健康な皮膚の細胞を攻撃し、炎症を起こす物質(サイトカイン)を出します。
- 皮膚の細胞の増えすぎ:皮膚の表面をつくる細胞(ケラチノサイト)が増えすぎて、かさぶた状の皮(プラーク)ができます。
- 生まれつきの体質:DNA領域rs9808753のA型がかかりやすさに関係しています(復旦大学 Zuoら, 2015)。
主なリスク要因は次のとおりです。
- 生まれつきの体質(家族に乾癬の人がいる)
- ストレス・心の負担
- 感染症(特に溶連菌によるのどの感染)
- 天候の変化(寒さ・乾燥)
- 一部の薬(リチウム・βブロッカーという血圧の薬など)
乾癬の主な症状
症状には個人差がありますが、主なものは次のとおりです。
- 皮膚の赤い炎症と銀白色のかさぶた状の皮(プラーク)
- プラークのかゆみ・痛み
- 爪のへこみ・形の異常・色の変化
- 乾癬性関節炎(関節痛・腫れ)
- 頭皮・ひじ・ひざ・腰に出やすいです。
乾癬の種類と特徴
| 種類 | 特徴 | できやすい場所 |
|---|---|---|
| 尋常性乾癬 | 最も多いタイプ(約80〜90%)。赤く盛り上がった部分と銀白色のかさぶた状の皮。 | ひじ・ひざ・頭皮・腰 |
| 滴状乾癬 | 小さな水滴のような発疹。のどの溶連菌感染の後に出やすいです。 | 胴体・手足 |
| 膿疱性乾癬 | うみを含む小さな水ぶくれができます。重くなることがあります。 | 手のひら・足の裏・全身 |
| 乾癬性紅皮症 | 全身の皮膚が赤く炎症を起こします。すぐに治療が必要です。 | 全身 |
| 乾癬性関節炎 | 関節の炎症・腫れ・痛み。乾癬の人の約30%に起こります。 | 指・背骨・大きな関節 |
乾癬の治療法
治療は症状の重さに合わせて段階的に行われます。
- 塗り薬:ステロイドの塗り薬・ビタミンD3の塗り薬
- 光線療法:紫外線を当てる治療(光を当てる前に薬を使う方法もある)
- 全身に効く治療:免疫の働きを抑える薬・生物学的製剤(炎症を起こす物質の働きを止める注射薬など)
遺伝子と乾癬の関連
DNA領域rs9808753とかかりやすさの関係
復旦大学のZuoらの研究(2015年, Nature Communications)で、DNA領域rs9808753が乾癬へのかかりやすさと関係していることが分かりました。
- rs9808753にはAA・AG・GGの3つの遺伝子型があります。
- A型を持つ遺伝子型の人は、乾癬にかかりやすい傾向があります。
日本人の遺伝子型の割合(rs9808753)
| 遺伝子型 | 日本人の割合 | 世界の割合 |
|---|---|---|
| AA型 | 23.5% | 72.9% |
| AG型 | 49.9% | 24.9% |
| GG型 | 26.4% | 2.1% |
検査の根拠となる研究
代表的なDNA領域:乾癬
乾癬 に最も強く影響するDNA領域は、rs9808753です。 日本における各遺伝子型の割合は下記のとおりです。
- AA
23.5 % - AG
49.9 % - GG
26.4 %
検査の根拠
復旦大学のZuoらの研究で、乾癬へのかかりやすさが遺伝子と関係していることが分かりました。人のDNAにはrs9808753という場所があり、そこにはAとGの2種類の違いがあります。A型を持つ人は、乾癬にかかりやすい傾向があることが分かりました。
今回調査したDNA領域
細胞の中にあるDNAの地図のイメージ図
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関連遺伝子
| 関連遺伝子 | IFNGR2 |
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よくある質問
Q1. 乾癬とは何ですか?
乾癬(かんせん)は、免疫のしくみの異常によって皮膚の細胞が生まれ変わるスピードが通常の約10倍に速くなり、赤い炎症と銀白色のかさぶた状の皮(鱗屑:りんせつ)が現れる、長く続く皮膚の病気です。世界の人口の約2〜3%がかかっており、頭皮・ひじ・ひざ・腰に出やすい病気です。
Q2. 乾癬の原因は何ですか?
主な原因は免疫のしくみの異常によって、T細胞(免疫細胞の一種)が働きすぎることです。生まれつきの体質(DNA領域rs9808753のA型)、ストレス、感染症、天候の変化が、発症や悪化のきっかけになります。
Q3. 乾癬は遺伝しますか?
乾癬には遺伝による体質の影響があります。復旦大学のZuoらの研究によって、DNA領域rs9808753にA型の違いを持つ人は乾癬にかかりやすい傾向があることが分かっています。日本人ではAA型23.5%、AG型49.9%、GG型26.4%の割合です。
Q4. 乾癬の治療法にはどのようなものがありますか?
治療は塗り薬による治療(ステロイド・ビタミンD3の塗り薬)、光線療法(紫外線を当てる治療)、全身に効く治療(免疫の働きを抑える薬・生物学的製剤)の3つの段階に分けられます。症状の重さに合わせて、段階的に治療を進めます。
参考文献
- 参考リンク1 : 2015 Apr., Xianbo Zuo, Nat Commun