腎臓機能の良さ(クレアチニン)
- クレアチニンは腎臓のろ過の働きを調べる大切な目安で、血液中の濃さが上がると、腎臓の働きの低下や慢性腎臓病のリスクがあることを表します。
- DNA領域rs17786744のGを持つ人は腎臓の働きが落ちるリスクが高い傾向にあることがブリストル大学の研究で分かりました。
- 日本人のAA型保有率は52.7%で、世界平均の35.7%と比べて高い割合です。
概要
【疾患の概要】 クレアチニンの値は、腎臓が健康かどうか、腎臓がしっかり働いているかを知るための大切な目安です。 クレアチニンは、体の筋肉がふだん通りに分解されるときに出るゴミ(老廃物)で、ふつうは腎臓が血液からこし取って取り除きます。
【治療と注意点】 そのため、血液中のクレアチニンの濃さは、腎臓の働きを調べる大切な基準になります。 健康な人では、腎臓がクレアチニンの量をちょうどよい範囲に保ち、このゴミを血液からしっかり外に出しています。 血液中のクレアチニンの濃さが高いときは、腎臓の働きが落ちていて、このゴミを十分にこし取れていないことを表します。 反対に、とても低い値になるのはまれで、筋肉が減っていることや栄養が足りないことなど、別の状態のサインである可能性があります。 腎臓の働きを調べるには、血液検査でクレアチニンの濃さを測ります。 この結果に年齢・性別・体格などを組み合わせると、クレアチニンクリアランス(腎臓がクレアチニンを取り除く速さ)や推定糸球体ろ過率(腎臓が血液をどれだけろ過できるかを推定した値)を計算できます。 これらの値から、腎臓のろ過の働きをくわしく知ることができます。 推定糸球体ろ過率は、腎臓の病気がどの段階まで進んでいるかを判断するのに広く使われ、病気の診断や治療の計画に役立ちます。
【遺伝的リスク】 ブリストル大学のRichardsonらの研究で、腎臓の働き(クレアチニン)に関わるリスクが、rs17786744というDNA領域と関係していることが分かりました。 このDNA領域にはAA・AG・GGの3つの遺伝子型があり、Gを持つ遺伝子型の人は、腎臓の働きが落ちるリスクが高い傾向にあることが分かりました。
腎臓機能の良さ(クレアチニン)とは何か
クレアチニンとは、筋肉がふだん活動する中でできるゴミ(老廃物)で、腎臓が血液からこし取って体の外に出す物質です。血液中のクレアチニンの濃さは腎臓のろ過の働きをそのまま映すため、腎臓の働きを調べるときに最もよく使われる目安の1つです。
クレアチニンの値から分かること
クレアチニン検査は、腎臓の状態を数字で知るための基本的な血液検査です。下に、クレアチニンの値が高いとき・低いときに分かることをまとめます。
クレアチニンの値が高い場合
- 腎臓の働きの低下:腎臓がゴミ(老廃物)を十分にこし取れていないことを表します。
- 慢性腎臓病:高い値が続くときは慢性腎臓病が進んでいる可能性があります。
- 脱水・筋肉の損傷:一時的に上がるのは、体の水分不足(脱水)や筋肉が急に傷ついたことが原因の場合があります。
クレアチニンの値が低い場合
- 筋肉量の減少:年をとることや長く寝たきりでいることによる筋肉の減少を表します。
- 栄養不足:タンパク質を十分にとれていないことが関わっている可能性があります。
クレアチニンと推定糸球体ろ過率の違い
| 比較項目 | クレアチニン | 推定糸球体ろ過率 |
|---|---|---|
| 定義 | 血液中のゴミ(老廃物)の濃さを直接測ります。 | クレアチニンの値から腎臓のろ過の力を推定して計算 |
| 計算要素 | 血液検査で直接測ります。 | クレアチニン+年齢+性別+体格 |
| 用途 | 腎臓の働きを大まかに調べる最初の検査 | 慢性腎臓病の段階分け・治療計画づくり |
| 精度 | 筋肉の量に左右されます。 | 一人ひとりの差を調整してより正確 |
推定糸球体ろ過率(腎臓が血液をどれだけろ過できるかを推定した値)は、クレアチニンの値に年齢・性別・体格を組み合わせて計算する目安で、腎臓の病気の段階分けに広く使われています。この値が60 mL/min/1.73m²未満の状態が3か月以上続く場合、慢性腎臓病と診断されます。
遺伝子と腎臓機能(クレアチニン)の関係
DNA領域rs17786744と腎機能の関係
ブリストル大学のRichardsonらの研究(2022年、PLOS Biology誌に掲載)で、腎臓の働き(クレアチニン)がDNA領域rs17786744と関係していることが分かりました。
- rs17786744にはAA・AG・GGの3つの遺伝子型があります。
- Gを持つ遺伝子型(AG型・GG型)の人は腎臓の働きが落ちるリスクが高い傾向があります。
- このDNA領域はSTC1遺伝子に関係しています。
日本人と世界における遺伝子型分布の比較(rs17786744)
| 遺伝子型 | 日本人の割合 | 世界の割合 |
|---|---|---|
| AA型 | 52.7% | 35.7% |
| AG型 | 39.7% | 48.0% |
| GG型 | 7.5% | 16.1% |
日本人のAA型保有率は52.7%で、世界平均の35.7%と比べて約1.5倍高い割合です。一方、GG型の割合は日本人が7.5%と、世界平均16.1%の約半分です。日本人はGを持つ人の割合が低いという遺伝子の特徴があります。
もう1つの関連DNA領域:rs4774940
腎臓の働き(クレアチニン)に関わるもう1つのDNA領域としてrs4774940が見つかっています。rs4774940にはGG・GC・CCの3つの遺伝子型があります。
| 遺伝子型 | 日本人の割合 | 世界の割合 |
|---|---|---|
| GG型 | 72.4% | 48.8% |
| GC型 | 25.3% | 42.1% |
| CC型 | 2.2% | 9.0% |
日本人のGG型保有率は72.4%で、世界平均48.8%と比べて約1.5倍高く、CC型は2.2%で、世界平均9.0%の約4分の1と、日本人ならではの割合になっています。
検査の根拠となる考え方
代表的なDNA領域:腎臓機能の良さ(クレアチニン)
腎臓機能の良さ(クレアチニン)に最も強く影響するDNA領域は、rs17786744です。 日本人での遺伝子タイプの割合は下のとおりです。
- AA
52.7 % - AG
39.7 % - GG
7.5 %
ほかに、腎臓機能の良さ(クレアチニン)に関わるDNA領域としてrs4774940があります。 日本人での遺伝子タイプの割合は下のとおりです。
- GG
72.4 % - GC
25.3 % - CC
2.2 %
検査の根拠
ブリストル大学のRichardsonらの研究で、腎臓の働き(クレアチニン)に関わるリスクが遺伝子と関係していることが分かりました。人のDNAには、rs17786744という場所があり、そこにはAとGの2種類の違いがあります。Aタイプの違いを持つ人は、腎臓の働きが落ちるリスクが高い傾向にあることが分かりました。
今回調査したDNA領域
細胞の中にあるDNAの地図のイメージ図
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関連遺伝子
| 関連遺伝子 | STC1 |
|---|---|
| 関連遺伝子 | CGNL1 |
よくある質問
Q1. クレアチニンとは何ですか?腎臓機能とどう関係しますか?
クレアチニンは筋肉の活動でできるゴミ(老廃物)で、腎臓が血液からこし取って体の外に出します。血液中のクレアチニンの濃さが高いときは、腎臓のろ過の働きが落ちていることを表します。健康な腎臓はクレアチニンをちょうどよい範囲に保ち、しっかり血液から外に出します。クレアチニンの値に年齢・性別・体格を組み合わせて推定糸球体ろ過率(腎臓が血液をどれだけろ過できるかを推定した値)を計算し、腎臓の病気がどの段階かを分けるのに使われています。
Q2. 腎臓機能の良さ(クレアチニン)は遺伝子と関連していますか?
はい。ブリストル大学のRichardsonらの研究(2022年、PLOS Biology誌)で、DNA領域rs17786744が腎臓の働き(クレアチニン)と関係していることが分かっています。rs17786744にはAA・AG・GGの3つの遺伝子型があり、Gを持つ遺伝子型の人は腎臓の働きが落ちるリスクが高い傾向にあります。
Q3. 腎機能に関する遺伝子型(rs17786744)の日本人における分布は?
日本人でのrs17786744の遺伝子型の割合はAA型52.7%、AG型39.7%、GG型7.5%です。世界全体ではAA型35.7%、AG型48.0%、GG型16.1%で、日本人はAA型の割合が世界平均の約1.5倍と高いのが特徴です。
Q4. クレアチニンの値が高いと、どんなリスクがありますか?
血液中のクレアチニンの値が基準の範囲を超えると、慢性腎臓病・腎不全・高血圧・心臓や血管の病気のリスクが上がります。定期的に血液検査を受けてクレアチニンの値を確認し、早く見つけて早く対応することが大切です。
Q5. 推定糸球体ろ過率とクレアチニンの違いは何ですか?
クレアチニンは血液中のゴミ(老廃物)の濃さを直接測った値です。推定糸球体ろ過率は、クレアチニンの値に年齢・性別・体格を組み合わせて計算する目安で、腎臓のろ過の力をより正確に調べられます。この値が60 mL/min/1.73m²未満の状態が3か月以上続く場合、慢性腎臓病と診断されます。