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腎臓機能の良さ(推定糸球体ろ過率)

腎臓機能(推定糸球体ろ過率)のイメージ画像
  • 推定糸球体ろ過率は、腎臓が血液をこす力を数字で表した目安で、正常値は90以上、60未満で腎臓の働きの低下、15未満で末期腎不全と判断されます。
  • DNA領域rs4774940のCタイプを持つ人は推定糸球体ろ過率の値が低めになりやすいことが、ペンシルベニア大学の研究でわかりました。
  • 日本人でGG型を持つ人の割合は72.4%で、世界平均の48.8%と比べて約1.5倍高い割合です。

概要

【疾患の概要】 推定糸球体ろ過率とは、腎臓がどれだけしっかり血液をろ過している(こしてきれいにしている)かを表す目安です。糸球体とは、腎臓の中にある、血液をこす小さなフィルターのことです。

【症状と特徴】 この数値は、腎臓の働きの状態を知り、腎臓病を早く見つけたり、病気の進み具合を見守ったりするために使われます。

【治療と注意点】 ふつう、この数値は年齢、性別、体重と、血液検査でわかる血清クレアチニン値から計算されます。 クレアチニンは筋肉が活動したときに出る老廃物で、腎臓から体の外に出されるため、血液中の量が腎臓の働きの目安になります。 値は「ミリリットル毎分毎1.73平方メートル(mL/min/1.73㎡)」という単位で表します。 腎臓の働きが正常なら約90以上ですが、60未満の場合は腎臓の働きが落ちていることを示します。 さらに、30未満なら腎臓の働きが大きく落ちた状態、15未満なら末期腎不全(腎臓がほとんど働かなくなった状態)の可能性が高いとされます。 このように、推定糸球体ろ過率は腎臓の働きを調べるための大切な目安です。 値が下がっている場合は、腎臓病の進行を遅らせる治療や、生活習慣の見直しが必要になります。 きちんと検査を続けて適切な治療を受けることで、腎臓の健康を保ち、腎不全へ進むのを防ぐことが大切です。

【遺伝的リスク】 ペンシルベニア大学のHongbo Liuらの研究で、推定糸球体ろ過率の値にrs4774940というDNA領域が関係していることがわかりました。 このDNA領域にはGG、GC、CCの3つの遺伝子型があり、Cを持つ遺伝子型の人は、値が低めになりやすいことがわかりました。

推定糸球体ろ過率とは何か

推定糸球体ろ過率とは、腎臓が血液をこしてきれいにする力を数字で表した、腎臓の働きの目安です。年齢・性別・体重・血清クレアチニン値から計算され、腎臓病を早く見つけたり、進み具合を見守ったりするために使われます。

推定糸球体ろ過率の基準値と腎臓の働きの段階分け

値はmL/min/1.73㎡の単位で表され、数値によって腎臓の働きの状態が次のように分けられます。

ろ過率の値(mL/min/1.73㎡) 腎臓の働きの段階 状態
90以上 ステージ1(正常) 腎臓の働きが正常、または高いです。
60〜89 ステージ2(少しの低下) 腎臓の働きが少し低下
30〜59 ステージ3(中くらいの低下) 腎臓の働きが中くらいに低下
15〜29 ステージ4(大きな低下) 腎臓の働きが大きく低下
15未満 ステージ5(末期腎不全) 透析(機械で血液をきれいにする治療)が必要です。

推定糸球体ろ過率の計算方法とは

推定糸球体ろ過率は血清クレアチニン値をもとに計算されます。クレアチニンは筋肉が活動したときに出る老廃物で、腎臓から体の外に出されるため、血液中の量が腎臓の働きの目安になります。

  • 血清クレアチニン値:血液検査で測る、腎臓の働きの基本的な目安です。
  • 年齢・性別:筋肉の量の違いを調整するために使います。
  • 体格:体の表面積1.73㎡あたりにそろえて計算

腎臓の働きの低下を防ぐための生活習慣

推定糸球体ろ過率の値を保ったり良くしたりするには、次のような生活習慣がすすめられます。

  • 塩分制限:1日6g未満の塩分をめざす
  • 適度な運動:週150分以上の、ほどよい強さの有酸素運動です。
  • 水分摂取:十分な水分補給で腎臓への負担を減らします。
  • 禁煙:たばこは腎臓の血管を縮め、腎臓の働きを悪くします。
  • 定期検診:年1回以上の健康診断で推定糸球体ろ過率の値を確認します。

遺伝子と推定糸球体ろ過率の関係

DNA領域rs4774940と推定糸球体ろ過率の関係とは

ペンシルベニア大学のHongbo Liuらの研究(2022年、Nature Genetics掲載)で、推定糸球体ろ過率の値がDNA領域rs4774940と関係していることがわかりました。

  • rs4774940にはGG・GC・CCの3つの遺伝子型が存在します。
  • Cを持つ遺伝子型(CC型・GC型)の人は推定糸球体ろ過率の値が低めになりやすいです。
  • このDNA領域はCGNL1遺伝子に関係しています。

日本人と世界における遺伝子型分布の比較(rs4774940)

遺伝子型 日本人の割合 世界の割合
GG型 72.4% 48.8%
GC型 25.3% 42.1%
CC型 2.2% 9.0%

日本人でCを持つ遺伝子型(CC+GC)の人の割合は27.5%で、世界平均の51.1%と比べて低い割合です。一方、GG型の割合は日本人が72.4%と世界平均の48.8%の約1.5倍高く、日本人の遺伝的な特徴を表しています。

DNA領域rs1815739と推定糸球体ろ過率の関係

推定糸球体ろ過率に関わるもう一つのDNA領域としてrs1815739が報告されています。このDNA領域はACTN3遺伝子に関係しています。

日本人と世界における遺伝子型分布の比較(rs1815739)

遺伝子型 日本人の割合 世界の割合
TT型 23.5% 18.5%
TC型 49.9% 49.0%
CC型 26.4% 32.3%

DNA領域rs4774940で、日本で各遺伝子型を持つ人の割合

  • GG
    72.4%
  • GC
    25.3%
  • CC
    2.2%

DNA領域rs4774940で、世界で各遺伝子型を持つ人の割合

  • GG
    48.8%
  • GC
    42.1%
  • CC
    9.0%

DNA領域rs1815739で、日本で各遺伝子型を持つ人の割合

  • TT
    23.5%
  • TC
    49.9%
  • CC
    26.4%

DNA領域rs1815739で、世界で各遺伝子型を持つ人の割合

  • TT
    18.5%
  • TC
    49.0%
  • CC
    32.3%

検査の理論的な根拠

代表的なDNA領域:腎臓機能の良さ(推定糸球体ろ過率)

腎臓機能の良さ(推定糸球体ろ過率)に最も強く関わるDNA領域は、rs4774940です。 日本における各遺伝子型の分布は下記のとおりです。

  • GG
    72.4 %
  • GC
    25.3 %
  • CC
    2.2 %

ほかに、腎臓機能の良さ(推定糸球体ろ過率)に関わるDNA領域としてrs1815739があります。 日本における各遺伝子型の分布は下記のとおりです。

  • TT
    23.5 %
  • TC
    49.9 %
  • CC
    26.4 %

検査の根拠

ペンシルベニア大学のHongbo Liuらの研究で、腎臓の働きを表す推定糸球体ろ過率に遺伝子が関係していることがわかりました。人のDNAにはrs4774940という場所があり、ここにはGとCの2種類のタイプがあります。Cタイプを持つ人は、推定糸球体ろ過率の値が低めになりやすいことがわかりました。

今回調査したDNA領域

細胞の中にあるDNAマップの模式図

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関連遺伝子

関連遺伝子 CGNL1
関連遺伝子 ACTN3

よくある質問

Q1. 推定糸球体ろ過率とは何ですか?

推定糸球体ろ過率とは、腎臓が血液をこしてきれいにする力を数字で表した、腎臓の働きの目安です。年齢・性別・血清クレアチニン値から計算され、単位はmL/min/1.73㎡です。正常値は90以上で、60未満は腎臓の働きの低下、15未満は末期腎不全と判断されます。腎臓病を早く見つけたり、進み具合を見守ったりするために欠かせない検査です。

Q2. 推定糸球体ろ過率の値は遺伝子と関係していますか?

はい。ペンシルベニア大学のHongbo Liuらの研究(2022年、Nature Genetics掲載)で、DNA領域rs4774940が推定糸球体ろ過率の値と関係していることがわかっています。rs4774940にはGG・GC・CCの3つの遺伝子型があり、Cを持つ遺伝子型の人は推定糸球体ろ過率の値が低めになりやすいです。

Q3. 推定糸球体ろ過率に関わる遺伝子型(rs4774940)の日本人での分布は?

日本人でのrs4774940の遺伝子型の分布はGG型72.4%、GC型25.3%、CC型2.2%です。世界全体ではGG型48.8%、GC型42.1%、CC型9.0%で、日本人はGG型の割合が世界平均の約1.5倍と高いのが特徴です。

Q4. 推定糸球体ろ過率の値を良くするにはどうすればよいですか?

推定糸球体ろ過率の値を保ったり良くしたりするには、塩分を控える(1日6g未満)、適度な運動(週150分以上の有酸素運動)、十分な水分補給、禁煙がすすめられます。値が60未満の場合は腎臓の専門医を受診し、適切な治療と生活習慣の見直しに取り組むことが大切です。

参考文献