網膜疾患
- 網膜疾患とは、緑内障・糖尿病性網膜症・加齢黄斑変性など、網膜に異常が起こる病気をまとめた呼び方で、重くなると失明することがあります。
- DNA領域rs1346786のCタイプを持つ人は網膜疾患のリスクが高い傾向にあることが、エラスムス医療センターの研究で分かりました。
- 日本人でCタイプを持つ人(CC+CT)の割合は36.2%で、世界平均の89.6%と比べて低い割合です。
概要
【疾患の概要】 網膜疾患とは、網膜(目の奥にある膜で、見たものの情報を脳に伝える大切な役割をもつ)に何らかの異常がある病気です。 代表的な網膜疾患には、緑内障、糖尿病性網膜症、加齢による黄斑変性、網膜色素変性、網膜の損傷などがあり、重い場合は失明につながります。
【治療と注意点】 これらの病気で大切な目印になるのが、視神経乳頭陥凹の深さや広がりです。 視神経乳頭陥凹は、視神経と網膜がつながる部分にできる凹みのことです。 ふつうは軽く凹んでいるだけですが、病気によってこの凹みが深くなることがあり、特に緑内障などの網膜疾患で見られます。 緑内障は、眼圧(目の中の圧力)が上がって視神経が押され、視神経が少しずつ傷つき、視神経乳頭に凹みができる状態です。 この凹みが進むと、見える範囲がせまくなるなど、目の見え方に障害が起こります。 診断では、眼科医が眼底検査(目の奥を調べる検査)を行い、凹みの深さや広がりを確認します。 必要に応じて視野検査や眼圧の測定も行います。 視神経乳頭陥凹は網膜疾患を見分けるための大切な目印です。早く見つけて正しく治療すれば見え方の障害を防げるため、定期的な眼科検査が大切です。
【遺伝的リスク】 エラスムス医療センターのSpringelkampらの研究により、網膜疾患にかかるリスクがrs1346786というDNA領域と関係していることが分かりました。 このDNA領域にはCC、CT、TTの3つの遺伝子型があり、Cを持つ遺伝子型の人は、網膜疾患のリスクが高い傾向にあることが分かりました。
網膜疾患とは何か
網膜疾患とは、目の奥にある網膜に何らかの異常が起こる病気をまとめた呼び方です。網膜は見たものの情報を脳に伝える大切な組織で、異常が起こると視力が下がったり、失明につながったりします。
網膜疾患の代表的な種類と特徴
網膜疾患にはいくつかの代表的な種類があり、それぞれ原因と症状が違います。
| 疾患名 | 主な原因 | 特徴 |
|---|---|---|
| 緑内障 | 眼圧(目の中の圧力)が上がることによる視神経の傷です。 | 見える範囲が少しずつせまくなる、日本人の失明原因の第1位です。 |
| 糖尿病性網膜症 | 血糖値が高い状態が続くことによる網膜の血管の傷です。 | 糖尿病の人の約30~40%に起こります。 |
| 加齢黄斑変性 | 年をとることによる黄斑(網膜の中心部分)の変化 | ものを見る中心部分の視力が下がります。50歳以上に多いです。 |
| 網膜色素変性 | 遺伝子の影響による網膜の細胞の変化 | 暗い所で見えにくくなる症状から始まり、見える範囲が少しずつせまくなります。 |
| 網膜剥離 | けが・加齢・強い近視 | 目の前に虫が飛ぶように見える・光が走って見えるのが前ぶれ、すぐに治療が必要です。 |
視神経乳頭陥凹とは何か
視神経乳頭陥凹とは、視神経と網膜がつながる部分にできる凹みのことです。ふつうは軽く凹んでいますが、緑内障などの網膜疾患では眼圧(目の中の圧力)が上がって視神経が押され、凹みが深くなります。
- 正常な状態:軽い凹みがあります(視神経乳頭に対する凹みの比率が0.3以下が目安です)。
- 異常な状態:凹みが深く広がります(視神経乳頭に対する凹みの比率が0.7以上で緑内障が疑われます)。
- 診断方法:眼底検査で凹みの深さ・広がりを確認し、視野検査や眼圧の測定もあわせて行います。
視神経乳頭陥凹は網膜疾患を見分けるための大切な目印で、定期的な眼科検査で早く見つけることが、見え方の障害を防ぐためにとても大切です。
遺伝子と網膜疾患の関係
DNA領域rs1346786と網膜疾患の関係
エラスムス医療センターのSpringelkampらの研究(2015年、Genetic Epidemiology掲載)により、網膜疾患にかかるリスクがDNA領域rs1346786と関係していることが分かりました。
- rs1346786にはCC・CT・TTの3つの遺伝子型があります。
- Cを持つ遺伝子型(CC型・CT型)の人は網膜疾患のリスクが高い傾向があります。
- このDNA領域はEFEMP1遺伝子に関係しています。
日本人と世界における遺伝子型分布の比較(rs1346786)
| 遺伝子型 | 日本人の割合 | 世界の割合 |
|---|---|---|
| CC型 | 4.0% | 46.0% |
| CT型 | 32.2% | 43.6% |
| TT型 | 63.6% | 10.3% |
日本人でCタイプを持つ人(CC+CT)の割合は36.2%で、世界平均の89.6%と比べて低い割合です。一方、TT型の割合は日本人が63.6%と世界平均の10.3%より約6.2倍高く、日本人の遺伝子の特徴を表しています。
検査の理論的根拠
代表的なDNA領域:網膜疾患
網膜疾患 に最も強く影響するDNA領域は、rs1346786です。 日本でのこの領域の遺伝子タイプの分布は下記のとおりです。
- CC
4.0 % - CT
32.2 % - TT
63.6 %
検査の根拠
エラスムス医療センターのSpringelkampらの研究により、網膜疾患にかかるリスクが遺伝子と関係していることが分かりました。人間のDNAには、rs1346786という領域があり、この領域にはCとTの2種類のタイプがあります。Cタイプを持つ人は、網膜疾患のリスクが高い傾向にあることが分かりました。
今回調査したDNA領域
細胞の中にあるDNAマップの模式図
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関連遺伝子
| 関連遺伝子 | EFEMP1 |
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よくある質問
Q1. 網膜疾患とは何ですか?
網膜疾患とは、目の奥にある網膜に異常が起こる病気をまとめた呼び方です。代表的な病気には緑内障、糖尿病性網膜症、加齢黄斑変性、網膜色素変性、網膜剥離があります。網膜は見たものの情報を脳に伝える組織で、異常が進むと見える範囲がせまくなったり、失明したりすることがあります。
Q2. 網膜疾患と遺伝子の関係は?
エラスムス医療センターのSpringelkampらの研究(2015年)により、DNA領域rs1346786が網膜疾患にかかるリスクと関係していることが分かりました。rs1346786にはCC・CT・TTの3つの遺伝子型があり、Cを持つ遺伝子型の人はリスクが高い傾向にあります。
Q3. 日本人の網膜疾患に関係する遺伝子型の分布は?
日本人でのrs1346786の遺伝子型の分布はCC型4.0%、CT型32.2%、TT型63.6%です。世界全体ではCC型46.0%、CT型43.6%、TT型10.3%で、日本人はTT型の割合が世界平均より約6.2倍高いという特徴があります。
Q4. 視神経乳頭陥凹とは何ですか?
視神経乳頭陥凹とは、視神経と網膜がつながる部分にできる凹みのことです。ふつうは軽い凹みですが、緑内障などでは眼圧(目の中の圧力)が上がることで凹みが深くなります。眼底検査で確認でき、視神経乳頭の大きさに対する凹みの大きさの比率が0.7以上だと緑内障が疑われます。定期的な眼科検査で早く見つけることが、見え方の障害を防ぐためにとても大切です。