関節リウマチ
- 関節リウマチは免疫が自分の関節を攻撃してしまう自己免疫疾患で、日本でかかっている人は人口の約0.5〜1.0%です。
- DNA領域rs4239702でCを持つ人を持つ人は発症リスクが高い傾向があることが、ハーバード医科大学の研究で判明しました。
- 早期診断と適切な薬による治療・リハビリテーションによって、関節が壊れていくのを抑えることができます。
概要
【疾患の概要】 関節リウマチは、関節に炎症(腫れや熱)が起き、長く続く痛みをもたらす自己免疫疾患(免疫が自分の体を攻撃してしまう病気)です。 多くの場合、手、手首、足の関節に起こりますが、それ以外の関節に起こることもあります。
【症状と特徴】 特に朝や、長い時間体を動かさなかった後に、こわばりや痛みが強くなります。 関節リウマチは関節だけでなく全身にも影響し、だるさ、発熱、食欲がないなどのさまざまな症状が出ます。 時間がたつと関節の中の形が変わり、動かしにくくなったり、変形したりすることもあります。 また、リウマトイド結節と呼ばれるしこりができることもあります。痛みがないことが多いですが、病気が進んでいるサインになることがあります。 片方の手に症状が出ると、反対側の手にも症状が出やすいのも特徴です。 ただし、症状の重さは人によって違い、軽いものから重いものまでさまざまです。
【遺伝的リスク】 ハーバード医科大学のYukinori Okadaらの研究で、関節リウマチのかかりやすさがrs4239702というDNA領域と関係していることが分かりました。 このDNA領域にはTT,TC,CCの3つの遺伝子型があり、Cを持つ遺伝子型の人は、関節リウマチのリスクが高い傾向があることが分かりました。
関節リウマチとは何か
関節リウマチは、免疫(体を守るしくみ)が間違えて、自分の関節の内側をおおう膜(滑膜)を攻撃してしまう自己免疫疾患です。関節の炎症が長く続き、進むと関節が壊れたり変形したりします。日本では人口の約0.5〜1.0%(約60〜100万人)がかかっています(1)。
関節リウマチの原因としくみ
関節リウマチは、免疫の異常によって起こります。次のような要因が重なって関係します。
- 自己免疫反応:免疫細胞が関節の滑膜を「敵」と間違えて攻撃し、炎症が長く続きます。
- 遺伝子の影響:HLA-DR4遺伝子など複数の遺伝子が関わり、家族に患者がいると発症しやすさが2〜3倍高いです。
- 環境の影響:喫煙は発症リスクを約1.5〜2.0倍に高めます。
- ホルモン:女性がかかる割合は男性の3〜4倍で、女性ホルモンが関係している可能性があります。
関節リウマチの主な症状
症状は左右両方の関節に同時に出やすいのが特徴です。片方の手に症状が出ると、反対側の手にも症状が出やすい傾向があります。
- 朝のこわばり:朝起きたときに関節がこわばり、30分以上続きます。
- 関節の腫れ・痛み:手・手首・足の小さな関節に起こりやすいです。
- 全身の症状:だるさ、微熱、食欲がありません。
- リウマトイド結節:肘や指にできる痛みのないしこりです(病気が進んでいるサイン)。
- 関節の変形:進むと関節が動かしにくくなり、指が変形します(スワンネック変形、ボタン穴変形)。
関節リウマチと変形性関節症の違い
| 比較項目 | 関節リウマチ | 変形性関節症 |
|---|---|---|
| 原因 | 自己免疫反応 | 年齢・使いすぎによる軟骨のすり減り |
| 好発年齢 | 30〜50歳代 | 60歳以上 |
| 発症パターン | 左右両方に起こります。 | よく使う関節 |
| 朝のこわばり | 30分以上続く | 30分未満でよくなります。 |
| 炎症の検査結果 | 血液検査で陽性です(炎症の値・リウマトイド因子)。 | 血液検査で陰性が多いです。 |
| 治療 | 免疫の働きを抑える薬(メトトレキサートなど) | 痛み止め・運動療法・手術 |
関節リウマチの治療法
早めに治療を始めることが、関節が壊れるのを防ぐために大切です。主に次のような治療があります。
- 抗リウマチ薬:メトトレキサートが最初に使われる代表的な薬で、免疫の働きを抑えます。
- 生物学的製剤:炎症を起こす物質(腫瘍壊死因子やインターロイキン6など)だけを狙って働きを抑える注射や点滴の薬
- ヤヌスキナーゼ阻害薬:細胞の中で炎症の信号が伝わるのを止める飲み薬です。
- ステロイド:強い炎症を短い期間おさえるために使います。
- リハビリテーション:関節が動く範囲を保ち、筋力をつけます。
診断方法
次のような検査を組み合わせて診断します。
- リウマトイド因子の血液検査
- 抗シトルリン化ペプチド抗体検査(関節リウマチを見分ける精度が高い血液検査。特異度約95%)
- 炎症の強さを調べる血液検査(C反応性たんぱく・赤血球沈降速度)
- 関節の超音波検査・磁気共鳴画像検査
- X線検査(骨が削れていないか、関節のすき間が狭くなっていないかを確認)
遺伝子と関節リウマチの関連
DNA領域rs4239702と発症リスクの関係
ハーバード医科大学のYukinori Okadaらの研究(1)で、DNA領域rs4239702が関節リウマチのかかりやすさと関係していることが分かりました。
- rs4239702にはTT・TC・CCの3つの遺伝子型があります。
- Cを持つ遺伝子型の人は、関節リウマチのリスクが高い傾向があります。
日本人における遺伝子型分布(rs4239702)
| 遺伝子型 | 日本人の割合 | 世界の割合 |
|---|---|---|
| TT型 | 21.3% | 7.3% |
| TC型 | 49.7% | 39.5% |
| CC型 | 28.9% | 53.0% |
検査の理論的な根拠
代表的なDNA領域:関節リウマチ
関節リウマチに最も強く影響するDNA領域は、rs4239702です。 日本での遺伝子型の分布は下のとおりです。
- TT
21.3 % - TC
49.7 % - CC
28.9 %
ほかに、関節リウマチに関わるDNA領域としてrs9603616があります。 日本での遺伝子型の分布は下のとおりです。
- CC
57.7 % - CT
36.5 % - TT
5.7 %
ほかに、関節リウマチに関わるDNA領域としてrs13397があります。 日本での遺伝子型の分布は下のとおりです。
- GG
10.8 % - GA
44.1 % - AA
45.0 %
ほかに、関節リウマチに関わるDNA領域としてrs2476601があります。 日本での遺伝子型の分布は下のとおりです。
- AA
0.1%以下 - AG
0.1%以下 - GG
99.9 %
検査の根拠
ハーバード医科大学のYukinori Okadaらの研究で、関節リウマチのかかりやすさが遺伝子と関係していることが分かりました。人間のDNAには、rs4239702という領域があり、この領域にはTとCの2種類の違いがあります。Cを持つ人は、関節リウマチのリスクが高い傾向があることが分かりました(1)。
今回調査したDNA領域
細胞の中にあるDNAの模式図
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関連遺伝子
| 関連遺伝子 | CD40 |
|---|---|
| 関連遺伝子 | COG6 |
| 関連遺伝子 | TMEM187 |
| 関連遺伝子 | PTPN22 |
よくある質問
Q1. 関節リウマチとは何ですか?
関節リウマチは、免疫が間違えて自分の関節を攻撃してしまう自己免疫疾患です。手・手首・足の関節に長く続く炎症と痛みを起こし、進むと関節が変形したり、うまく動かなくなったりします。日本では人口の約0.5〜1.0%がかかっています(1)。
Q2. 関節リウマチの原因は何ですか?
主な原因は免疫の異常による自己免疫反応です。遺伝子の影響(HLA-DR4遺伝子など)、環境の影響(喫煙・感染症)、ホルモンのバランスが重なって関係します。DNA領域rs4239702でCを持つ人はリスクが高い傾向があります(1)。
Q3. 関節リウマチと変形性関節症の違いは?
関節リウマチは自己免疫疾患で、免疫が関節を攻撃します。変形性関節症は年齢や使いすぎによる軟骨のすり減りが原因です。関節リウマチは左右両方の関節に同時に出やすいのに対し、変形性関節症はよく使う関節に起こります。
Q4. 遺伝子検査で関節リウマチのリスクは分かりますか?
DNA領域rs4239702の遺伝子型を調べることで、関節リウマチの発症リスクの傾向を知ることができます。Cを持つ遺伝子型の人はリスクが高い傾向があることが、ハーバード医科大学の研究で分かっています(1)。
参考文献
- 参考リンク1 : 2014 Feb., Yukinori Okada, Nature
- 参考リンク2 : 2012 Dec., Steve Eyre, Nat Genet
- 参考リンク3 : 2019 Mar., Vincent A Laufer, Hum Mol Genet