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マラリアへの抵抗性

マラリアへの抵抗性のイメージ画像
  • マラリアは蚊を通してうつる病気で、DNA領域rs113776891が中くらいの程度のマラリア症状が出るリスクにかかわります。
  • Tのタイプを持つ遺伝子型の人は、中くらいの程度のマラリア症状が出るリスクが高い傾向にあることが研究で判明しました。
  • 日本人の99.9%がTT型を持っており、合った抗マラリア薬で治療すれば重症になるのを防げます。

概要

【疾患の概要】 マラリアは、蚊に刺されることでうつる病気です。 軽症のマラリアは、主にプラスモディウム・ファルシパルム、プラスモディウム・ビバックス、プラスモディウム・オバレ、プラスモディウム・マラリエ、そしてまれにプラスモディウム・ノウレシという小さな寄生虫(原虫)によって起こり、よく見られる症状が出ます。

【症状と特徴】 軽症のマラリアは、重症のマラリアや合併症(病気が原因で起こる別の悪い状態)があるマラリアと比べると、症状が軽めです。 例えば、発熱、寒気、汗をかく、頭痛、筋肉痛、吐き気、嘔吐などがあります。 熱は一定の間隔で出ることが多く、感染したプラスモディウムの種類によっては、48から72時間ごとにくり返すことがあります。

【治療と注意点】 疲れやすさもよく見られます。これは、体が感染と戦うためにたくさんのエネルギーを使うことで起こることがあります。 ただし、軽症のマラリアでは、大事な臓器のはたらきに影響する合併症はふつう起こりません。 しかし、きちんと治療を受けなかったり、合わない治療を受けたりすると、重症のマラリアに進む可能性があります。 診断は血液検査で行い、治療には合った抗マラリア薬(マラリアの原虫をやっつける薬)を使います。 治療の内容は、プラスモディウムの種類や症状の重さによって決めます。

【遺伝的リスク】 パリ大学のMiletらの研究により、中くらいの程度のマラリア症状が出るリスクが、rs113776891というDNA領域と関係していることが分かりました。 このDNA領域にはTT、TC、CCの3つの遺伝子型があり、Tを持つ遺伝子型の人は、中くらいの程度のマラリア症状が出るリスクが高い傾向にあることが分かりました。

マラリアへの抵抗性とは何か

マラリアへの抵抗性とは、蚊を通してうつるマラリアの原虫に対して、体がどう守りの反応をするか(免疫の反応)や、症状がどれくらい重くなるかにかかわる、遺伝子の影響を受ける体質です。DNA領域rs113776891の遺伝子型によって、中くらいの程度のマラリア症状が出るリスクがちがうことが、パリ大学のMiletらの研究(1)で分かりました。

マラリアの原因とメカニズム

マラリアはプラスモディウム属の原虫が、蚊に刺されることで体の中に入り発症します。原因となる原虫は次の5種類です。

  • プラスモディウム・ファルシパルム:最も重症になりやすい「熱帯熱マラリア」の原因
  • プラスモディウム・ビバックス:三日熱マラリアの原因
  • プラスモディウム・オバレ:卵形マラリアの原因
  • プラスモディウム・マラリエ:四日熱マラリアの原因
  • プラスモディウム・ノウレシ:サルのマラリアの原因(まれに人にもうつる)

軽症マラリアの主な症状

軽症マラリアでは、次のような症状が一定の間隔で出ます。熱は、感染した原虫の種類によって48〜72時間ごとにくり返します。

  • 発熱・寒気・発汗
  • 頭痛・筋肉痛
  • 吐き気・嘔吐
  • 長く続く疲れやすさ

軽症マラリアと重症マラリアの違い

比較項目 軽症マラリア 重症マラリア
症状 発熱・頭痛・筋肉痛 脳性マラリア・重い貧血
臓器へのダメージ なし あり(腎臓・脳・肺)
命にかかわる危険 低い 高い(すぐに治療が必要)
診断 血液検査 血液検査+臓器のはたらきの検査
治療 抗マラリア薬 集中治療+抗マラリア薬

診断方法と治療

マラリアの診断は血液検査(血液を顕微鏡で見る検査・短時間で結果が出る検査)で行います。治療は、次のことをもとに決めます。

  • 感染するプラスモディウムの種類
  • 症状の重さ
  • 患者の年齢・体の状態

合った抗マラリア薬を使えば、軽症マラリアは治すことができます。治療が合っていないと、重症マラリアに進むリスクがあります。

遺伝子とマラリアリスクの関連

DNA領域rs113776891と発症リスクの関係

パリ大学のMiletらの研究(1)により、DNA領域rs113776891が中くらいの程度のマラリア症状が出るリスクと関係していることが分かりました。

  • rs113776891にはTT・TC・CCの3つの遺伝子型があります。
  • Tのタイプを持つ遺伝子型の人は、中くらいの程度のマラリア症状が出るリスクが高い傾向があります。

日本人・世界における遺伝子型分布(rs113776891)

遺伝子型 日本人の割合 世界の割合
TT型 99.9% 97.6%
TC型 0.1%以下 2.3%
CC型 0.1%以下 0.1%以下

DNA領域rs113776891で、日本で各遺伝子型を持つ人の割合

  • TT
    99.9%
  • TC
    0.1%以下
  • CC
    0.1%以下

DNA領域rs113776891で、世界で各遺伝子型を持つ人の割合

  • TT
    97.6%
  • TC
    2.3%
  • CC
    0.1%以下

検査の理論的根拠

代表的なDNA領域:マラリアへの抵抗性

マラリアへの抵抗性に最も強く影響するDNA領域は、rs113776891です。 日本でのこの場所の遺伝子型の割合は、下のとおりです。

  • TT
    99.9 %
  • TC
    0.1%以下
  • CC
    0.1%以下

検査の根拠

パリ大学のMiletらの研究により、中くらいの程度のマラリア症状が出るリスクが遺伝子と関係していることが分かりました。人のDNA全体の中には、rs113776891という場所があり、そこにはTとCの2種類のタイプがあります。Tのタイプを持つ人は、中くらいの程度のマラリア症状が出るリスクが高い傾向にあることが分かりました(1)。

今回調査したDNA領域

細胞の中にあるDNAの地図の模式図

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関連遺伝子

関連遺伝子 PTPRM

よくある質問

Q1. マラリアへの抵抗性とは何ですか?

マラリアへの抵抗性とは、蚊を通してうつるマラリアの原虫に対して、体がどう守りの反応をするか(免疫の反応)や、症状がどれくらい重くなるかにかかわる、遺伝子の影響を受ける体質です。DNA領域rs113776891の遺伝子型によって、中くらいの程度のマラリア症状が出るリスクがちがうことが、パリ大学のMiletらの研究(1)で分かりました。

Q2. マラリアの原因は何ですか?

マラリアはプラスモディウムという仲間の原虫(主にプラスモディウム・ファルシパルム、ビバックス、オバレ、マラリエ、ノウレシの5種類)が、蚊に刺されることで体の中に入り、赤血球(血液の中の赤い細胞)の中で増えることで発症します(1)。

Q3. 軽症マラリアと重症マラリアの違いは?

軽症マラリアは発熱・寒気・頭痛・筋肉痛などの症状が出ますが、大事な臓器が傷つくことはありません。重症マラリアは脳性マラリア(脳がおかされるマラリア)や重い貧血など命にかかわる合併症が起こり、すぐに治療が必要です。

Q4. 遺伝子検査でマラリアリスクは分かりますか?

DNA領域rs113776891の遺伝子型を検査することで、中くらいの程度のマラリア症状が出るリスクの傾向を知ることができます。Tのタイプを持つ遺伝子型の人はリスクが高い傾向にあることが、研究で分かっています(1)。

参考文献