統合失調症
- 統合失調症は幻覚・妄想・考えのまとまりにくさを特徴とするこころの病気で、10代後半から成人したばかりの時期に発症し、人付き合いや仕事に大きな影響が出ます。
- DNA領域rs1378559のTタイプを持つ人は発症リスクが高い傾向にあることがPsychiatric Genomics Consortiumの研究で判明しました。
- 抗精神病薬・心理療法・リハビリテーションを組み合わせた組み合わせた治療により症状をおさえ、生活の質を高めることが可能です。
概要
【疾患の概要】 統合失調症は、こころの病気(精神疾患)の一つで、現実と現実ではないものの区別がつきにくくなる病気です。 考え方、気持ち、行動に影響が出て、幻覚(実際にはない声が聞こえるなど)、妄想(事実ではないことを強く信じ込むこと)、まとまりのない考えや行動が起こるのが特徴です。
【症状と特徴】 統合失調症の症状は、大きく陽性症状、陰性症状、認知症状の3つに分けられます。 陽性症状は、幻覚や妄想などの症状です。 陰性症状は、楽しさを感じにくい、やる気が出ない、会話を避ける、感情があまり表に出ないなどの症状です。 認知症状は、考える力や情報を整理する力に影響し、集中力・判断力・記憶力が落ちるため、日常生活や仕事、勉強に大きな支障が出ます。 統合失調症は多くの場合、10代後半から成人したばかりの時期に発症し、人付き合いや仕事に大きな影響が出ることがあります。
【治療と注意点】 症状の種類や重さは人によって違いますが、治療では通常、抗精神病薬(統合失調症の症状をおさえる薬)と周りからの支えを組み合わせ、症状をおさえて生活の質を高めることを目指します。 薬による治療では、脳内で情報を伝える物質(神経伝達物質)の一つであるドーパミンの働きを整えることで、症状を軽くします。 また、患者さんが病気を理解し、症状とうまく付き合う方法を身につける心理療法や、仕事への復帰を助けるリハビリテーションも行われます。 これらの治療で完全に治すことは難しいですが、適切な治療と支援を受けることで、生活の質を高めることができます。
【遺伝的リスク】 Psychiatric Genomics ConsortiumのSchizophrenia Working Groupの研究により、統合失調症にかかるリスクがrs1378559というDNA領域と関係していることが分かりました。 このDNA領域にはTT、TC、CCの3つの遺伝子型があり、Tを持つ遺伝子型の人は、統合失調症のリスクが高い傾向にあることが分かりました。
統合失調症とは何か
統合失調症は、現実と現実ではないものの区別がつきにくくなるこころの病気です。考え方・気持ち・行動に影響が出て、幻覚・妄想・まとまりのない考えや行動が起こります。10代後半から成人したばかりの時期に発症することが多く、人付き合いや仕事に大きな影響が出ます(1)。
統合失調症の3つの症状の種類
統合失調症の症状は次の3種類に分けられます。
| 症状の種類 | 主な症状 | 日常生活への影響 |
|---|---|---|
| 陽性症状 | 幻覚・妄想 | 現実を正しくとらえにくいです。 |
| 陰性症状 | やる気の低下・感情が表に出にくい・会話を避ける | 人との関わりが減る・人間関係の難しさ |
| 認知症状 | 集中力・判断力・記憶力の低下 | 仕事・勉強・日常生活への支障 |
統合失調症の原因とリスクを高める要因
統合失調症の発症には、遺伝子の影響と環境の影響の両方が関わっています。
- 遺伝子の影響:DNA領域rs1378559のTタイプがリスクに関係しています(1)。
- 脳内の物質の乱れ:脳内のドーパミン(情報を伝える物質)の働きの乱れ
- 環境の影響:強いストレス・出産前後のトラブル(周産期合併症)・都会で育つこと
- 年齢の要因:10代後半から成人したばかりの時期に発症しやすいです。
治療法と今後の見通し
統合失調症の治療は、以下の3つのアプローチを組み合わせて行います。
- 薬物療法:抗精神病薬でドーパミンの働きを整え、症状を軽くします。
- 心理療法:認知行動療法で病気を理解し、症状とうまく付き合う方法を身につけます。
- リハビリテーション:社会復帰・仕事への復帰を助けるプログラム
完全に治すことは難しいですが、適切な治療と支援を受けることで生活の質を高めることができます。
遺伝子と統合失調症の関係
DNA領域rs1378559と発症リスクの関係
Psychiatric Genomics ConsortiumのSchizophrenia Working Groupの研究(1)により、DNA領域rs1378559が統合失調症にかかるリスクと関係していることが分かりました。
- rs1378559にはTT・TC・CCの3つの遺伝子型があります。
- Tを持つ遺伝子型(TT型・TC型)の人は、統合失調症のリスクが高い傾向があります。
日本人の遺伝子型の割合(rs1378559)
| 遺伝子型 | 日本人の割合 | 世界の割合 |
|---|---|---|
| TT型 | 44.1% | 75.1% |
| TC型 | 44.5% | 23.1% |
| CC型 | 11.2% | 1.7% |
DNA領域rs72934570と統合失調症の関係
rs72934570も統合失調症に関係するDNA領域です。
- rs72934570にはCC・CT・TTの3つの遺伝子型があります。
- 日本人ではCC型が99.9%を占め、CT型・TT型はほとんど見られません。
- 世界ではCC型86.8%、CT型12.6%、TT型0.4%の割合です。
検査の科学的な根拠
代表的なDNA領域:統合失調症
統合失調症 に最も強く影響するDNA領域は、rs1378559です。 日本でのそれぞれの遺伝子型の人の割合は下記のとおりです。
- TT
44.1 % - TC
44.5 % - CC
11.2 %
ほかに、統合失調症に関わるDNA領域としてrs72934570があります。 日本でのそれぞれの遺伝子型の人の割合は下記のとおりです。
- CC
99.9 % - CT
0.1%以下 - TT
0.1%以下
検査の根拠
Psychiatric Genomics ConsortiumのSchizophrenia Working Groupの研究により、統合失調症にかかるリスクが遺伝子と関係していることが分かりました。人間のDNA全体(ゲノム)には、rs1378559という場所があり、そこにはTとCの2種類のタイプがあります。Tタイプを持つ人は、統合失調症のリスクが高い傾向にあることが分かりました。
今回調査したDNA領域
細胞の中にあるDNAマップの模式図
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関連遺伝子
| 関連遺伝子 | RNU6-133P |
|---|---|
| 関連遺伝子 | LINC01415 |
よくある質問
Q1. 統合失調症とは何ですか?
統合失調症は、現実と現実ではないものの区別がつきにくくなるこころの病気です。幻覚・妄想・まとまりのない考えや行動が特徴で、10代後半から成人したばかりの時期に発症することが多い病気です。人付き合いや仕事に大きな影響が出ます(1)。
Q2. 統合失調症の原因は何ですか?
主な原因は遺伝子の影響と環境の影響の組み合わせです。DNA領域rs1378559のTタイプがリスクに関係し、脳内のドーパミン(情報を伝える物質)の働きの乱れが症状の出方に深く関わっています(1)。
Q3. 遺伝子検査で統合失調症のリスクは分かりますか?
DNA領域rs1378559の遺伝子型を調べることで、統合失調症の発症リスクの傾向を知ることできます。Tを持つ遺伝子型(TT型・TC型)の人はリスクが高い傾向にあることがPsychiatric Genomics Consortiumの研究で分かっています(1)。
Q4. 統合失調症の治療法にはどのようなものがありますか?
抗精神病薬を使う薬物療法、認知行動療法(考え方のくせを見直す方法)などの心理療法、社会への復帰を助けるリハビリテーションの3つが主な治療法です。完全に治すことは難しいですが、適切な治療と支援により生活の質を高めることができます。