短期記憶能力
- 短期記憶とは約20〜30秒間に7±2個の情報を一時的に覚えておく能力で、会話・計算・電話番号の記憶など日常生活に欠かせません。
- DNA領域rs9528384のAを持つ人は短期記憶能力が高い傾向にあることがヘルシンキ大学の研究で分かりました。
- 日本人の95.2%がAA型を持ち、世界平均(55.4%)と比べてAを持つ人の割合が高いです。
概要
【概要】 短期記憶とは、限られた量の情報を短い時間だけ覚えておき、すぐに使えるようにしておく能力のことです。 一般的に、練習や特別な覚え方の工夫をしなくても、短期記憶では約20から30秒の間に7±2個の情報を覚えておくことができます。
【特徴】 覚えておける情報には、目で見たイメージ、音、言葉など、いろいろな種類があります。
【メカニズム】 この能力は、日常生活で大切な役割を果たしています。 例えば、話を理解するために少しの間単語を覚えておくことや、問題を解くために一時的に数字を覚えること、さっきかけた電話番号を思い出すことなどです。 ただし、短期記憶で覚えられる量は人によって違い、年齢、健康状態、頭のトレーニング(認知トレーニング)などの影響を受けます。 短期記憶は、情報を一時的に入れておくフォルダのような役割を果たします。 また、考えごとをするために情報を短い時間で使って処理する「ワーキングメモリー」とも深く関係しています。 短期記憶について説明するときは、ワーキングメモリーの面もよく含まれます。
【科学的根拠】 ヘルシンキ大学のLahtiらの研究により、短期記憶能力がrs9528384というDNA領域と関係していることが分かりました。 このDNA領域にはAA,AG,GGの3つの遺伝子型があり、Aを持つ遺伝子型の人は、短期記憶能力が高い傾向にあることが分かりました。
短期記憶能力とは何か
短期記憶とは、短い時間(約20〜30秒)だけ限られた量の情報(7±2個)を覚えておき、すぐに使えるようにしておく能力です。この能力は、目で見たイメージ・音・言葉など、いろいろな種類の情報を一時的に覚えておき、日常のさまざまな頭の働きの土台になっています。
短期記憶が必要な場面
短期記憶は、次のような日常の場面で欠かせない役割を果たします。
- 会話の理解:話の流れを覚えておき、相手の話を正しく理解します。
- 暗算・問題解決:計算中に一時的に数字を覚えて、処理します。
- 電話番号の記憶:電話をかけるまでの間、番号を一時的に覚えておきます。
- 読書:文章の前の部分を覚えながら続きを読み進めます。
短期記憶の容量と保持時間
心理学者ジョージ・ミラー(1956年)の研究により、短期記憶の容量と特性が明らかになっています。
| 特性 | 数値・内容 |
|---|---|
| 容量 | 7±2個(5〜9個)のチャンク |
| 覚えていられる時間 | 約20〜30秒(頭の中で繰り返さない場合) |
| 情報タイプ | 目で見た情報・耳で聞いた情報・言葉 |
| 影響すること | 年齢・健康状態・頭のトレーニング |
短期記憶とワーキングメモリーの違い
短期記憶とワーキングメモリーは深く関係していますが、役割が違います。
| 比較項目 | 短期記憶 | ワーキングメモリー |
|---|---|---|
| 役割 | 情報を一時的に覚えること | 情報を覚える+使って処理します。 |
| 機能 | 受け身(フォルダのような役割) | 自分から動きます(作業台のような役割)。 |
| 例 | 電話番号を一時的に覚えます。 | 暗算で数字を使いながら計算します。 |
| 頭への負担 | 低い | 高い |
短期記憶は情報を一時的に入れておくフォルダのような役割を果たし、ワーキングメモリーはそのフォルダの中の情報を使って処理する作業台として働きます。短期記憶について説明するときは、ワーキングメモリーの面も含めるのが一般的です。
短期記憶能力に影響すること
- 年齢:年をとるにつれて、短期記憶で覚えられる量は減る傾向があります。
- 健康状態:睡眠不足・ストレス・栄養不足が短期記憶を弱めます。
- 頭のトレーニング:Nバック課題などのトレーニングで短期記憶を良くできます。
- 遺伝子の影響:DNA領域rs9528384が短期記憶能力に関係しています。
遺伝子と短期記憶能力の関係
DNA領域rs9528384と短期記憶能力の関係
ヘルシンキ大学のJari Lahtiらの研究(2022年、Molecular Psychiatry誌掲載)により、短期記憶能力がDNA領域rs9528384と関係していることが分かりました。
- rs9528384にはAA・AG・GGの3つの遺伝子型が存在します。
- Aを持つ人(AA型・AG型)は短期記憶能力が高い傾向にあります。
- 日本人の95.2%がAA型であり、世界平均(55.4%)と比べて大幅に高いです。
日本人における遺伝子型分布(rs9528384)
| 遺伝子型 | 日本人の割合 | 世界の割合 | 短期記憶との関連 |
|---|---|---|---|
| AA型 | 95.2% | 55.4% | 短期記憶能力が高い傾向 |
| AG型 | 4.6% | 38.0% | 短期記憶能力がやや高い傾向 |
| GG型 | 0.1%以下 | 6.5% | 標準的 |
日本人はAを持つ人の割合が99.8%(AA型95.2%+AG型4.6%)ととても高く、遺伝子の面から見ると短期記憶能力が高い傾向にある集団です。一方、世界全体ではGG型の人が6.5%いて、地域によって遺伝子型の割合に違いがあります。
検査の理論的根拠
代表的なDNA領域:短期記憶能力
短期記憶能力 に最も強く影響するDNA領域は、rs9528384です。 日本における遺伝子型の分布は下記のとおりです。
- AA
95.2 % - AG
4.6 % - GG
0.1%以下
検査の根拠
ヘルシンキ大学のJari Lahtiらの研究(2022年、Molecular Psychiatry誌)により、短期記憶能力が遺伝子と関係していることが分かりました。人のDNAのrs9528384という場所には、AとGの2種類の型があります。Aを持つ人は短期記憶能力が高い傾向にあることが、統計的にはっきりと示されました。日本人ではAA型が95.2%を占め、世界平均(55.4%)と比べてAを持つ人の割合がとても高いのが特徴です。
今回調査したDNA領域
細胞の中にあるDNAの模式図
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関連遺伝子
| 関連遺伝子 | LINC02339 |
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よくある質問
Q1. 短期記憶とは何ですか?
短期記憶とは、約20〜30秒間に7±2個の情報を一時的に覚えておき、すぐに使えるようにしておく能力です。目で見たイメージ・音・言葉など、いろいろな種類の情報を短い時間覚えておき、会話の理解や計算など日常生活に欠かせない役割を果たします。
Q2. 短期記憶能力に遺伝子は関係していますか?
はい。ヘルシンキ大学のJari Lahtiらの研究(2022年)により、DNA領域rs9528384が短期記憶能力と関係していることが分かりました。Aを持つ人は短期記憶能力が高い傾向にあります。日本人ではAA型が95.2%を占めます。
Q3. 短期記憶とワーキングメモリーの違いは?
短期記憶は情報を一時的に覚えておく受け身の働きであり、ワーキングメモリーは覚えた情報を使って処理する自分から動く働きです。短期記憶が「一時フォルダ」なら、ワーキングメモリーは「作業台」に例えられます。
Q4. 短期記憶能力を高める方法はありますか?
頭のトレーニング(少し前に見たものを思い出す「Nバック課題」など)、十分な睡眠(7〜8時間)、有酸素運動(週150分以上)、瞑想、バランスの良い食事が短期記憶を良くするのに役立ちます。遺伝子の影響だけでなく、生活習慣を見直すことで短期記憶能力を高めることも可能です。
Q5. 短期記憶の容量はどのくらいですか?
心理学者ジョージ・ミラーの研究(1956年)により、短期記憶の容量は7±2個(5〜9個)のチャンク(情報のまとまり)とされています。覚えていられる時間は約20〜30秒で、頭の中で繰り返さないと、すぐに忘れてしまいます。