カルボプラチンとパクリタキセルによる治療の副作用(血小板減少症)の強さ
- 血小板減少症は、カルボプラチン・パクリタキセルを組み合わせた化学療法で起こる代表的な副作用で、血小板の数が15万/μLより少なくなる状態です。
- DNA領域rs1128503のAのタイプを持つ人は、血小板減少症が起こりやすい傾向があることが研究で分かりました。
- 日本人のrs1128503の遺伝子型の分布はAA型36.1%・AG型47.9%・GG型15.9%で、約84%がAのタイプを持っています。
概要
【疾患の概要】 血小板減少症は、血液の中の血小板が少なくなる状態のことです。 カルボプラチンやパクリタキセルといった抗がん剤による治療(化学療法)の副作用として起こることがあります。
【治療と注意点】 血小板は、出血を止めるために大切なはたらきをしています。 ふつう血小板の数は15万から45万の範囲にあり、これより少なくなると出血しやすくなります。 化学療法のあとに血小板減少症が起こると、いくつかの症状が出ることがあります。 例えば、軽くぶつけただけでも出血しやすくなったり、出血がなかなか止まらなかったり、歯ぐきや鼻から出血したりすることがあります。 月経の出血が多くなることや、体に小さな赤い点ができることもあります。 こうした症状は、抗がん剤が骨髄(骨の中で血液を作る場所)で血小板を作るはたらきをじゃますることで起こります。 その結果、血小板の数が減って出血しやすくなるため、状態に合わせた治療が必要になることもあります。
【遺伝的リスク】 カンピーナス大学のFerraciniらの研究により、カルボプラチンとパクリタキセルによる治療の副作用である血小板減少症が、rs1128503というDNA領域と関係していることが分かりました。 このDNA領域にはAA、AG、GGの3つの遺伝子型があり、Aを持つ遺伝子型の人は、血小板減少症が起こりやすい傾向があることが分かりました。
カルボプラチン・パクリタキセルによる治療で起こる血小板減少症とは
血小板減少症は、カルボプラチンとパクリタキセルを組み合わせた化学療法で起こる副作用の一つで、血液の中の血小板の数がふつうの範囲より少なくなる状態です。血小板のふつうの値は15万〜45万/μLで、これより少なくなると出血しやすくなります。
血小板減少症が起こるしくみ
抗がん剤が骨髄で血小板を作るはたらきをおさえることで起こります。くわしいしくみは次のとおりです。
- 骨髄抑制:カルボプラチン・パクリタキセルが、骨髄の中で血液のもとになる細胞(造血幹細胞)にはたらき、巨核球(血小板のもとになる細胞)が増えたり育ったりするのをおさえます。
- 血小板寿命:血小板はふつう8〜10日で入れかわりますが、新しく作られる量が追いつかず、血液の中の血小板が減ります。
- 起こる時期:薬を使ってから7〜14日後に最も少なくなる(最低値)例が報告されています。
血小板減少症の主な症状
血小板の減り方に応じて、次のような症状が出ます。
- 軽くぶつけただけでも出血しやすくなる
- 出血がなかなか止まりません。
- 歯ぐきや鼻からの出血
- 月経の出血が多くなります(月経過多)。
- 皮膚の点状出血(小さな赤い点)
血小板減少症の重さの分類
| グレード | 血小板の数(/μL) | 体にあらわれる特徴 |
|---|---|---|
| グレード1 | 7.5万〜15万 | 少し減っていますが、症状はありません。 |
| グレード2 | 5万〜7.5万 | 少し出血しやすいです。 |
| グレード3 | 2.5万〜5万 | 出血しやすくなり、治療が必要 |
| グレード4 | 2.5万未満 | 重い出血の危険があり、血小板の輸血が必要です。 |
遺伝子と血小板減少症の起こりやすさの関係
DNA領域rs1128503と副作用の起こりやすさの関係
カンピーナス大学のFerraciniらの研究(2021年)により、DNA領域rs1128503が、カルボプラチン・パクリタキセルによる治療の副作用である血小板減少症と関係していることが分かりました。
- rs1128503にはAA・AG・GGの3つの遺伝子型が存在します。
- Aのタイプを持つ遺伝子型(AA・AG)の人は、血小板減少症が起こりやすい傾向があります。
- 関連遺伝子はABCB1(ATP-binding cassette sub-family B member 1)です。
日本人における遺伝子型分布(rs1128503)
| 遺伝子型 | 日本人の割合 | 世界の割合 |
|---|---|---|
| AA型 | 36.1% | 17.8% |
| AG型 | 47.9% | 48.8% |
| GG型 | 15.9% | 33.3% |
日本人ではAA型の割合が36.1%で、世界平均(17.8%)の約2倍です。Aのタイプを持つ人(AA+AG)は合わせて84.0%になります。
検査の科学的な根拠
代表的なDNA領域:カルボプラチンとパクリタキセルによる治療の副作用(血小板減少症)の強さ
カルボプラチンとパクリタキセルによる治療の副作用(血小板減少症)の強さに最も強く影響するDNA領域は、rs1128503です。 日本人での遺伝子型の分布は下のとおりです。
- AA
36.1 % - AG
47.9 % - GG
15.9 %
検査の根拠
カンピーナス大学のFerraciniらの研究により、カルボプラチンとパクリタキセルによる治療の副作用である血小板減少症が、遺伝子と関係していることが分かりました。人の遺伝情報(ゲノム)には、rs1128503というDNA領域があり、ここにはAとGの2つのタイプがあります。Aのタイプを持つ人は、血小板減少症が起こりやすい傾向があることが分かりました。
今回調査したDNA領域
細胞の中にあるDNAの地図(模式図)
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関連遺伝子
| 関連遺伝子 | ABCB1 |
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よくある質問
Q1. カルボプラチンとパクリタキセルによる治療で起こる血小板減少症とは何ですか?
血小板減少症は、カルボプラチンとパクリタキセルを組み合わせた化学療法で起こる副作用の一つで、血小板の数がふつうの値(15万〜45万/μL)より少なくなる状態です。血小板は出血を止めるために欠かせない細胞で、少なくなると出血しやすくなります。
Q2. 血小板減少症はなぜ起こるのですか?
抗がん剤(カルボプラチン・パクリタキセル)が骨髄で血小板を作るはたらきをおさえることで起こります。骨髄抑制(骨髄で血液を作るはたらきが弱まること)は化学療法の代表的な副作用で、薬を使ってから7〜14日後に血小板の数が最も少なくなります。
Q3. 遺伝子と血小板減少症の起こりやすさはどう関係しますか?
カンピーナス大学のFerraciniらの研究により、DNA領域rs1128503のAのタイプを持つ遺伝子型の人は、カルボプラチン・パクリタキセルによる治療で血小板減少症が起こりやすい傾向があることが分かっています。
Q4. 血小板減少症の症状にはどのようなものがありますか?
軽くぶつけただけでも出血しやすくなる、出血がなかなか止まらない、歯ぐきや鼻からの出血、月経の出血が多い、皮膚の点状出血(赤い点)などが主な症状です。