スニチニブの副作用(高血圧症)の重さ
概要
薬剤スニチニブは、口腔内チロシンキナーゼ阻害剤として、特に腎細胞癌や消化管間質腫瘍の治療に広く使用されていますが、その副作用の一つである高血圧が重要な懸念事項となります。
この高血圧は、単なる血圧のわずかな上昇ではなく、医療介入が必要となる場合が多いです。具体的には、スニチニブによる高血圧は、収縮期および拡張期の血圧が正常範囲を超えることが多く、慎重な監視とケアが求められます。
スニチニブによる高血圧のメカニズムは複雑で、血管内皮成長因子(VEGF)経路に対する薬剤の作用が関係しています。
VEGFは、内皮機能の維持と血管拡張の促進によって血圧を調節する上で重要な役割を果たしますが、スニチニブがVEGFを抑制することで、内皮機能不全、一酸化窒素の生成減少、血管収縮、血管抵抗の増加などが起こり、その結果、血圧が上昇します。
スニチニブを服用している患者は、頭痛、めまい、視覚のぼやけ、息切れなど、高血圧に関連する症状を経験することがありますが、無症状の人もいます。
制御されていない高血圧は心血管合併症や腎機能障害の悪化の可能性を含むため、スニチニブ治療前および治療中の血圧監視が不可欠です。
ケア戦略には、降圧薬の導入や調整、場合によってはスニチニブの用量変更や一時中断が含まれることがあります。
したがって、スニチニブ治療を受けている患者に見られる高血圧は、心血管リスクを軽減し、治療効果を確保するために、慎重なケアを必要とする治療上の課題です。
陸軍医科大学のSunらの研究により、スニチニブの副作用がrs1128503というDNA領域と関連していることが明らかになりました。
このDNA領域にはAA,AG,GGの3つの遺伝子型があり、Gを持つ遺伝子型の人は、スニチニブの副作用のリスクが高い傾向にあることが分かりました。
遺伝子領域rs1128503において日本で各遺伝タイプを持つ人の割合
- AA36.12%
- AG47.96%
- GG15.92%
遺伝子領域rs1128503において世界で各遺伝タイプを持つ人の割合
- AA17.88%
- AG48.81%
- GG33.31%
検査の理論的根拠
体表的なDNA領域:スニチニブの副作用(高血圧症)の重さ
体表的なDNA領域:スニチニブの副作用(高血圧症)の重さ
スニチニブの副作用(高血圧症)の重さ に最も強く影響する遺伝子領域は、rs1128503です。 日本における同型の遺伝子タイプの分布は下記のとおりです。
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AA
36.1% -
AG
48.0% -
GG
15.9%
検査の根拠
陸軍医科大学のSunらの研究により、スニチニブの副作用が遺伝子と関連していることが明らかになりました。人間のゲノムには、rs1128503という領域が存在し、その領域の遺伝子にはAとGの2種類の変異があります。Aタイプの変異を持つ人は、スニチニブの副作用のリスクが高い傾向にあることが分かりました。
今回調査したDNA領域
細胞中に存在するDNAマップの模式図
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関連遺伝子
| 関連遺伝子 | ABCB1 |
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参考文献
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関連遺伝子 ABCB1
- 参考リンク : 2021 Mar、Fengjun Sunと研究グループがFront Pharmacol に発表したMeta-Analysis of ABCG2 and ABCB1 Polymorphisms With Sunitinib-Induced Toxicity and Efficacy in Renal Cell Carcinomaという研究によるとスニチニブの副作用(高血圧症)の重さ に関連するrs1128503の関連性が認められました。