スニチニブの副作用(高血圧症)の重さ
- スニチニブは、血管内皮増殖因子(血管を作るたんぱく質)の働きをおさえる、がんの飲み薬で、副作用として高血圧がよく起こります。
- DNA領域rs1128503のGタイプを持つ人は副作用(高血圧症)が起こりやすい傾向があることが研究で判明しました。
- 治療中の定期的な血圧測定と、血圧を下げる薬による管理が、心臓や血管の病気を防ぐために欠かせません。
概要
【疾患の概要】 スニチニブは、がん細胞が増えるための信号を止める飲み薬(チロシンキナーゼ阻害薬)です。特に腎臓のがん(腎細胞がん)や、胃や腸の壁にできるがん(消化管間質腫瘍)の治療に広く使われています。しかし、副作用の一つである高血圧が大きな心配ごとになります。
【症状と特徴】 この高血圧は、血圧が少し上がるだけではなく、医師による治療が必要になることが多いです。 具体的には、心臓が縮むときの血圧(上の血圧)と、ゆるむときの血圧(下の血圧)の両方が正常な範囲を超えることが多く、注意深く見守り、ケアすることが大切です。 スニチニブで高血圧が起こるしくみは複雑で、血管内皮増殖因子(血管を作り、健康に保つ働きを持つたんぱく質)に薬が働きかけることが関係しています。
【治療と注意点】 血管内皮増殖因子は、血管の内側の細胞(内皮細胞)の働きを保ち、血管を広げることで血圧を調節する大切な役割を持っています。スニチニブがこの働きをおさえると、内皮細胞の働きが弱まり、血管を広げる物質である一酸化窒素が減り、血管が縮んで血液が流れにくくなります。その結果、血圧が上がります。 スニチニブを飲んでいる患者さんには、頭痛、めまい、目のかすみ、息切れなど、高血圧に関係する症状が出ることがありますが、症状がない人もいます。 高血圧をそのままにしておくと、心臓や血管の病気、腎臓の働きの悪化につながる可能性があるため、スニチニブの治療前と治療中に血圧を測り続けることが欠かせません。 ケアの方法には、血圧を下げる薬(降圧薬)を始めたり量を調整したりすることや、場合によってはスニチニブの量を変えたり、一時的にやめたりすることが含まれます。 このように、スニチニブ治療中の高血圧は、心臓や血管の病気を防ぎ、治療の効果を保つために、注意深いケアが必要な課題です。
【遺伝的リスク】 陸軍医科大学のSunらの研究により、スニチニブの副作用がrs1128503というDNA領域と関係していることが分かりました。 このDNA領域にはAA、AG、GGの3つの遺伝子型があり、Gを持つ遺伝子型の人は、スニチニブの副作用が起こりやすい傾向があることが分かりました。
スニチニブの副作用(高血圧症)とは何か
スニチニブの副作用である高血圧症は、血管内皮増殖因子(血管を作り、健康に保つたんぱく質)の働きがおさえられることで、血圧が病気のレベルまで上がる、薬による副作用です。スニチニブ(がん細胞が増える信号を止める飲み薬)は、腎臓のがんや胃・腸の壁にできるがん(消化管間質腫瘍)の治療に使われますが、高血圧は治療を続けるうえで大切な課題です。
スニチニブで高血圧が起こる理由としくみ
スニチニブで高血圧が起こるしくみは、次のとおりです。
- 血管内皮増殖因子をおさえる:スニチニブが血管内皮増殖因子の信号の流れをおさえます。
- 内皮細胞の働きの低下:血管の内側の細胞(内皮細胞)の働きが弱まります。
- 一酸化窒素が減る:血管を広げる働きを持つ一酸化窒素が減ります。
- 血管が縮み、血液が流れにくくなる:体のすみずみの血管が縮み、血液が流れにくくなります。
これらが次々に起こることで、上の血圧と下の血圧が正常な範囲を超えて上がります。
スニチニブの副作用(高血圧症)の主な症状
高血圧に関係する症状として、次のようなものが報告されています。ただし、症状がない人もいるため、定期的に血圧を測ることが欠かせません。
- 頭痛
- めまい
- 目のかすみ
- 息切れ
高血圧をそのままにした場合の危険
高血圧をそのままにしておくと、次のような病気につながる可能性があります。
- 心臓や血管の病気(心筋梗塞・脳卒中など)
- 腎臓の働きの悪化
スニチニブの副作用(高血圧症)の管理方法
| 管理手段 | 具体的内容 |
|---|---|
| 血圧の測定 | 治療前と治療中に定期的に血圧を測ります。 |
| 血圧を下げる薬を始める | アンジオテンシン変換酵素阻害薬・アンジオテンシン受容体拮抗薬・カルシウム拮抗薬などの使用・調整 |
| 薬の量の調整 | スニチニブの量を変える、または一時的にやめます。 |
遺伝子とスニチニブの副作用(高血圧症)の関係
DNA領域rs1128503と副作用の起こりやすさの関係
陸軍医科大学のSunらの研究(1)により、DNA領域rs1128503がスニチニブの副作用(高血圧症)の起こりやすさと関係していることが分かりました。
- rs1128503にはAA・AG・GGの3つの遺伝子型があります。
- Gタイプを持つ遺伝子型の人は、副作用が起こりやすい傾向があります。
日本人と世界における遺伝子型の割合(rs1128503)
| 遺伝子型 | 日本人の割合 | 世界の割合 |
|---|---|---|
| AA型 | 36.1% | 17.8% |
| AG型 | 47.9% | 48.8% |
| GG型 | 15.9% | 33.3% |
検査の理論的根拠
代表的なDNA領域:スニチニブの副作用(高血圧症)の重さ
スニチニブの副作用(高血圧症)の重さに最も強く影響するDNA領域は、rs1128503です。 日本における各遺伝子型の割合は下記のとおりです。
- AA
36.1 % - AG
47.9 % - GG
15.9 %
検査の根拠
陸軍医科大学のSunらの研究により、スニチニブの副作用が遺伝子と関係していることが分かりました。人間のDNAには、rs1128503という場所があり、そこにはAとGの2種類のタイプがあります。Gタイプを持つ人は、スニチニブの副作用が起こりやすい傾向があることが分かりました(1)。
今回調査したDNA領域
細胞の中にあるDNAの地図の模式図
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関連遺伝子
| 関連遺伝子 | ABCB1 |
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よくある質問
Q1. スニチニブの副作用による高血圧症とは何ですか?
スニチニブ(がん細胞が増える信号を止める飲み薬)は、腎臓のがんや胃・腸の壁にできるがん(消化管間質腫瘍)の治療に使われる薬で、副作用として高血圧がよく起こります。血管内皮増殖因子の働きがおさえられると、血管の内側の細胞の働きが弱まり、一酸化窒素が減って血管が縮むため、上の血圧と下の血圧がどちらも上がります(1)。
Q2. スニチニブで高血圧が起こるしくみは?
スニチニブが血管内皮増殖因子(血管を作り、健康に保つたんぱく質)の働きをおさえることで、血管の内側の細胞の働きが弱まり、血管を広げる一酸化窒素が減り、血管が縮んで血液が流れにくくなるため、血圧が上がります(1)。
Q3. 遺伝子検査でスニチニブの副作用の起こりやすさは分かりますか?
DNA領域rs1128503の遺伝子型を調べることで、スニチニブの副作用(高血圧症)の起こりやすさの傾向を知ることができます。Gタイプを持つ遺伝子型の人は副作用が起こりやすい傾向があることが研究で分かっています(1)。
Q4. スニチニブによる高血圧の管理方法は?
治療前・治療中の定期的な血圧測定が欠かせません。管理には、血圧を下げる薬(アンジオテンシン変換酵素阻害薬、アンジオテンシン受容体拮抗薬、カルシウム拮抗薬など)の使用や、必要に応じたスニチニブの量の調整や一時的な中止が含まれます(1)。